東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

11/28~12/4、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

オカムラ、中国におけるオフィスチェア製造事業を目的とした新会社の設立・工場稼働

2022年11月28日から12月4日までの1週間の業界の主なハイライトについては、オカムラは、中国にオフィスチェアの製造を行う新会社を杭叉集団股份有限公司(本社:中国)と設立し、2022年12月から工場の稼働を開始するといいます。

同社グループは、中期経営計画(2020~2022年度を対象、2020年5月策定)において、「海外事業の強化」を重点課題の一つに掲げ、全社横断的に取り組んでいるとしています。その一環として、中国におけるオフィスチェアの製造事業を目的に新会社杭州奥卡姆拉家具有限公司を設立し、2022年12月から工場の稼働開始を予定しているといいます。

オフィス環境事業の中国事業において、オフィスチェアの競争力強化を図り、同製品の拡販を通じ、オカムラブランドの認知度の向上を目的として新会社を設立するとしています。

オカムラ、創研工業が行う事業譲受に向けた基本合意書を締結

また、オカムラは11月30日、創研工業株式会社が行う冷凍及び冷蔵施設の設計、製造に関する事業の譲受に向けた基本合意書を締結したといいます。

事業譲受に向けた基本合意書締結の理由として同社は、長野県須坂市に冷凍冷蔵ショーケースの新工場建設を進めているといいます。創研工業株式会社は、同社グループの商環境事業における主要取引先であり、冷凍冷蔵ショーケースの製造開発に実績を有しているとしています。今後、製造開発のノウハウを共有し、新工場をスムーズに立ち上げるとともに、生産能力及び生産効率の一層の向上を図り、商環境事業の成長を目指すといいます。

コクヨ、「SHARE LOUNGE 渋谷スクランブルスクエア」に「ingLIFE」の体験コーナー

コクヨは、仕事やくつろぎ、勉強、読書等の様々なワーク&ライフシーンに対応する新発想ワーキングチェアー「ingLIFE(イングライフ)」を、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が運営する「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)渋谷スクランブルスクエア」に納入したといいます。12月1日から、SHARE LOUNGE 渋谷スクランブルスクエアの一部エリアで体験できるとしています。

今回、「ingLIFE」と「SHARE LOUNGE」は、「ingLIFE」の持つ「仕事と生活を楽しむ」「心地よい動き」であるというチェアーのコンセプトが、「SHARE LOUNGE」の「発想が生まれ、シェアする場所」「ラウンジのような居心地の良い空間」と共感し、12脚納入し、SHARE LOUNGE 渋谷スクランブルスクエアの一部エリアを「ingLIFE」の体感コーナーとしたといいます。

コクヨ、「PASS THE BATON MARKET Vol.10」を共催へ

コクヨは、12月10日(土)~11(日)に、株式会社スマイルズが運営するニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」が主催する「PASS THE BATON MARKET Vol.10」を、みんなのワーク&ライフ開放区「THE CAMPUS」で共催し、販売ブースの出展とワークショップを実施するといいます。

今回、コクヨの出展エリアでは、季節限定商品やエコフレンドリー素材を採用したアイテム等が並ぶといいます。また、「捨てない社会」の実現に向けて活動を広げていきたいという想いを込めて、活動趣旨に共感した社外パートナーと一緒にユニークな訳あり品や取り組みを紹介する企画もトライアルするとしています。ワークショップでは、オフィス家具の製造過程で発生してしまう端材を文具アイテムへアップサイクルするといいます。

イトーキ、フレキシブルなオフィスづくりに最適なワークソファ『inSAIL(インセイル)』を発売

イトーキは、フォーカスワークからコミュニケーションまで、ワーカー⾃⾝が⽤途を選択できる、フレキシブルなオフィスづくりに適しているというワークソファ『inSAIL(インセイル)』を2022年11⽉から発売したといいます。

インセイルは、フレキシブルにレイアウトを可変できる機動性を備えたワークソファだといいます。ソファを囲うファブリックのパネルを備えることで周囲の視線を遮り、フォーカスワークをサポートするとしています。キャスター付きのため、ワンアクションでコミュニケーションのレイアウトに変えることができるといいます。各々の作業に最適な空間をワーカー⾃⾝が選択しながら使える商品だとしています。

内田洋行、鴻巣市と最先端の教育ICT空間を構築、事業連携を締結

内田洋行は、埼玉県鴻巣市と、PBL型学習(Project Based Learning:問題解決型学習)と21世紀スキル育成のための教育推進についての事業連携を11月28日に締結したといいます。また、そのための研究推進の場として、鴻巣市立鴻巣中央小学校に最先端のICT機器を実装した学習空間「のすっ子未来教室」の開設の披露を行うとしています。

「のすっ子未来教室」では、発表のステージの場を意識したアーチ型のカーペットが広がるといいます。デジタルでの発表・創作活動を重視した実験教室として、ICTを利活用しやすい空間デザインと可動性を重視した机や椅子を採用しているとしています。グループワークの教育場面に応じて即興的にレイアウトを動かすなど、躍動感のある授業を行えるとしています。

最新のICT機器を自在に実装できる空間構築ユニット「SmartInfill(スマートインフィル)」と大型スクリーンを設置し、遠隔地と等身大サイズでダイナミックな授業が行える「RealSizePresenter(リアルサイズプレゼンター)」を用いて、児童・生徒が制作するデジタル作品を大画面に効果的に投影し、もっと発表したい、もっと伝えたいという意欲を刺激するといいます。生徒端末から大画面スクリーンに簡単に画面投影できる「wiviaR+(ワイビア)」によって、生徒同士の作品やまとめ方法を比較し、グループディスカッションを行える教室空間としたとしています。教室のICT機器類をシンプルな操作で制御し、先生や生徒の画面を切り替えて授業での新たなコミュニケーションの創出にチャレンジするといいます。

積極的な創作を支援するため、高性能パソコンとモニター21セットを児童2人に1台使用できるよう配備し、デジタルコンテンツ動画制作、プログラミング、モデリングやシミュレーションなどを取り入れ、3Dプリンターでのものづくりやデータを活用した学習など、協働した学びを作品化し発信を行う環境としています。また、外部のゲストティーチャーをオンラインで招いた授業ができることも想定しているといいます。

また「のすっ子未来教室」の環境を活用して、教職員に向けた授業デザイン、指導案や教材の作成などを支援する教員研修や、インテルが制作したIntel® Teach Program教員研修ならびにSkills for Innovationカリキュラムの研修も行うといいます。なお、「のすっ子未来教室」では、デル・テクノロジーズの支援も得ているとしています。

プラス、「MOKURAL(モクラル)」プロジェクトを本格始動

プラスは、国産木材の積極活用で森林の健全化およびカーボンニュートラルの実現を目指すプロジェクト「MOKURAL(モクラル)」を本格始動するといいます。

その第1弾として、国産の早生広葉樹センダンを使用した木金混合のオフィス家具「Vicenda(ヴィチェンダ)シリーズ」を、2023年2月28日に発売するとしています。

同社は、オフィス家具を国産木材で作ることによりカーボンニュートラル実現の一翼を担い、木材循環システムの構築による森林の健全化を目指す活動「センダンサイクル」に参画したとしています。

また、同社は、スギ・ヒノキなど、国産針葉樹の可能性を広げる取り組みとして、オフィス用途にも耐えうる性能や木質感を備えた、環境にやさしい塗料をパートナー企業と開発することで、100%針葉樹で作られたサステナブルな天板の製品化を進めているといいます。また、針葉樹と広葉樹を組み合わせた積層板を作るなど、放置針葉樹を積極活用することで、国産木材の使用量アップと全国的な木材の地産地消によるカーボンニュートラルの実現を目指していくとしています。

「Vicenda(ヴィチェンダ)」シリーズは、数々のプロダクトデザインを手掛ける清水慶太氏をデザイナーに起用したといいます。

「ヴィチェンダ」はイタリア語で"お互い"の意味。異素材のセンダンとスチールが互いに補いながら、双方の魅力を引き出し合う、新しいコンセプトのハイブリッド・ファニチャーだとしています。

プラス、シンプルでコンパクトなフリーアドレスデスク 「minimo(ミニモ)」発売へ

またプラスは、自由に組み合わせ、オフィスのさまざまな シーンに対応するシンプル&コンパクトなフリーアドレスデスク「minimo(ミニモ)」を2023年1月1日に発売するといいます。

同社によると、ハイブリッドワークが広がる中、ワーカーのコミュニケーション活性化やスペースの効率化を図るため、フリーアドレスデスクのニーズが大企業・中小企業を問わず高まっているといいます。

「ミニモ」は、奥行きのサイズを絞ったスリムな設計と、使いやすいスクエアな天板形状を採用。ムダをなくして機能性を重視したデザインと多彩なアイテムバリエーションにより、執務スペースからミーティングルームまであらゆるシーンに対応し、統一感のあるオフィス空間を構築するとしています。

片面タイプと両面タイプに加え、高さ1000mmのハイタイプ、豊富なアクセサリーを用意。天板のカラーは3色で、天板には、SIAA認証の抗菌性能と、防汚・防指紋効果を備えたメラミン化粧板を使用しているといいます。デスクトップパネルのクロスカラーはPET再生クロス8色、バイオPETクロス5色から選べるとしています。

プラス、あらゆる空間になじむプレーンな佇まいオフィスチェア「Rena(レナ)」発売へ

さらにプラスは、あらゆる空間になじむ心地よさを追求したというプレーンな佇まいのオフィスチェア「Rena(レナ)」を2023年3月に発売するといいます。

「Rena」とは、「refined(洗練された)」と「nature(本質)」を組み合わせた造語だとしています。

デザインは、2018年に発売した本格木製オフィス家具「MARU(マル)」をはじめ、さまざまなプロダクト・インテリアデザインで世界的に活躍するというデザイナー・小林幹也氏を起用。デザイン性の高さが際立つフロント/バックシェルが、多様化するオフィスシーンにマッチする上質な意匠を実現したといいます。10,000通り以上の色とタイプの組み合わせから、シンプルな中に自分らしさを表現することができるとしています。

プラスが目指す「良い姿勢」を保つための快適な座り心地を追求。くるぶし支点のシンクロロッキングと、なめらかな肘形状が身体にやさしくフィットし、長時間のデスクワークでも疲れにくくなっているといいます。また、環境に配慮した製品づくりを目指し、背座の張地には植物由来のバイオPETクロスを採用したとしています。

背もたれはミドルバックで、樹脂シェルと背クッションの2タイプ。脚はアルミ脚および樹脂脚のロータイプとハイタイプ。本体カラーはブラック、ライトグレー、ホワイトの3色。肘は可動肘、固定肘、肘なしから選べるといいます。クロスカラーは、さまざまなシーンになじむ全10色のラインアップが揃っているとしています。

プラス、応接家具「S1(エスワン)」シリーズを拡充

最後にプラスは、顧客を迎えるオフィスのロビー・ラウンジ空間を上質に演出する応接家具「S1(エスワン)」シリーズのバリエーションを拡充し、2022年12月1日に発売したといいます。

今回新たに「S1」シリーズのデザイン性を踏襲しつつ、フリースペースやラウンジへの設置に適した拡張性の高いプロダクトをラインアップに加えたといいます。発売するのは「ベンチ」「ラウンドソファφ1200」「ラウンドソファφ650」「ラウンドテーブル」「オプションテーブル」「モニタースタンド」「ラゲージラック」の計7アイテム。従来の「S1」シリーズとも、自在に組み合わせ・レイアウトが可能だとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

2022年11月28日から12月4日までの1週間の業界の主なハイライトについては、オカムラは、中国にオフィスチェアの製造を行う新会社を杭叉集団股份有限公司(本社:中国)と設立し、2022年12月から工場の稼働を開始するといいます。

今回のサッカーのワールドカップを見てもグローバル化というのは明らかにカタチになって表れてきて、それは、あらゆる分野において起こっていることなのではないかと思っています。そのなかで「海外事業の強化」を重点課題の1つにあげている同社が、中国に同社の魂ともいえるオフィスチェアの製造工場を稼働させたということについていよいよ同社もグローバル化の新しいフェーズに入りつつあるのかもしれないと思うようになりました。オフィスチェアとしていますが、同工場で具体的にどのような製品を製造するのかはまだ不明です。競争力強化ということはコスト面も含めてのことでもあるでしょうし、同製品の拡販を通じ、オカムラブランドの認知度の向上を目的としてというところは、中国市場そのものへの拡販を意識しているのかもしれません。

中国は周知のように、商習慣が複雑で、また、世界情勢も含めていろいろな変化が市場だけでなく、政治的にも多いと思われます。そのなかで生産拠点を中国に構えるということは、同社の海外事業に対する本気度というものを表す新しい一歩なのではないかと思います。今後に注目したいと思います。

コクヨの、「渋谷スクランブルスクエア」に「ingLIFE」の体験コーナーの記事ですが、先日のMOVの10周年のアップデートの記事でもお伝えしましたが、「イングライフ」がどんどんBtoCの場面に出てくるようになってきました。

ショールームでの試座ではなく、シェアラウンジで実際のワークを通じて体験ができるということは、より同チェアの特長を感じることができるということになると思います。従来からお伝えしていることですが、イングライフに実際座った感覚は今までになかったものであり、個人的には新しいイスのスタンダードの1つになりうるものだと思っています。今後もこのような流れは続いていくのではないかと思いますが、実際の納入と実践は常に「イングライフ」というブランドとセットで認知されながらBtoCの市場に拡販され、一般の人たちに認知されていくのかもしれません。

イトーキ、フレキシブルなオフィスづくりに最適なワークソファ『inSAIL(インセイル)』を発売の記事ですが、「フォーカスワークからコミュニケーションまで」という「ワークソファ」ということになっています。「フォーカスワーク」と「ワークソファ」というのは山人には初めての言葉で、新鮮に聞こえました。また、いままでのこのタイプのソファは移動まで考慮されたものが少なかったのではないかと思います。オフィスにおけるテレワークにはもちろん、リアルなオフィスワークにおいて、コミュニケーションとフォーカスワークの両方に対応する同製品は、ワークソファの新たなカタチを提案したのではないかと思います。

内田洋行、鴻巣市と最先端の教育ICT空間を構築、事業連携を締結の記事ですが、同社の自治体との連携のケースが次々に行われているような印象があります。記事の本文にもいままでの事例が表示されていますが、今後もどんどん増えていくのではないでしょうか。

この記事をみてあらためて感じたことですが、ICTにより、時間と距離が大きく短縮された社会になって、それをさらに追求していくとレベルや次元までも超えることが可能になっていると思います。

さらに、特に教育にはより有効だと思いますが、リアルでは不可能なこと、むずかしいことを仮想にICTで実現する、ということの有用性を感じています。

プラスの『「MOKURAL(モクラル)」プロジェクトを本格始動』『シンプルでコンパクトなフリーアドレスデスク 「minimo(ミニモ)」発売へ』『あらゆる空間になじむプレーンな佇まいオフィスチェア「Rena(レナ)」発売へ』『応接家具「S1(エスワン)」シリーズを拡充』の4つの記事については、12月6日から開催される「PLUS Furniture Fair 2023」で展示されるということなので、実機を確認してきたいと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

Follow me!