JOIFA、2026新春記念講演会と賀詞交歓会を開催
業界全体では2桁の伸び 新たな視点でさらなる発展を
失われた30年を転換し成長をスタートさせる第1年目の年に
講演は戸川尚樹氏の「AIエージェント時代のDX」
一般社団法人日本オフィス家具協会(JOIFA)は2025年1月15日(木)、東京都港区の赤坂インターシティコンファレンスで、2026年新春記念講演会・賀詞交歓会を開催しました。

第1部 新春記念講演会
第1部の新春記念講演会(Zoom併用)では、「AIエージェント時代のDX」という演題で、株式会社日経BP社 常務執行役員 メディアマーケティング担当 戸川尚樹(とがわ なおき)氏が講演を行いました。
司会進行はJOIFA専務理事・貫名英一氏。

冒頭
貫名専務理事が新年の挨拶を述べた後、
「戸川さんは1996年、日経BP社に入社され、日経コンピ ュータや日経ビジネスなどの記者を経て、2015年9月にデジタル変革リーダー100名を会員組織 化した「IT イノベーターズ」事業を立ち上げました。また、『DX サーベイ』シリーズの著者で、 DX をテーマにしたイベントを数多く手がけています。
皆さんAIはすでにお使いだとは思いますが、今後これによって世の中がどうなるのか、非常に気がかりなことも多いのではと思います。また戸川氏は日経BP社でIT関係をはじめとした雑誌の編集長もされた経験もあり、色々な経営者の方々とお話をされたご経験も踏まえてお話をいただこうと思います」などと述べ、講師である戸川氏の紹介を行いました。
日経BP社 戸川尚樹(とがわ なおき)氏が新春記念講演
戸川氏は自己紹介を行った後、今回の講演の大きな流れとして
顧客を知る
ワークスタイル最新調査
自ら変革する
AIエージェント時代のDX
リーダーの名言
を示しました。

ワークスタイル最新調査
戸川氏は、ワークスタイル最新調査としてまず、日経BP総合研究所の「ワークスタイルに関する動向・意識調査」を提示しました。
それによるとハイブリッドワークが定着しているものの、多種多様な働き方になり、傾向がつかめないといいます。会社個々により働き方は変わってきているとしました。
テレワークは2024年の4割から減少傾向で、半年ほど前と比べてテレワークの実施頻度が下がった理由の注目したものとして「会社や上司、取引先などから出社を求められる、指示されているから」「職場(または派遣・常駐先)で扱う帳票や文書の電子化が進んでいないから」などを挙げました。
テレワークに関しては、現場の人が考える結果と会社が求める生産性基準に見合っていないとしました。生産性を上げていくためには今後も出社を指示する会社が増えそうだといいます。
また、出社が進むにつれ座席難民が約2割発生していて、このことへの対策も次世代オフィスのあり方の課題でもあるとしました。
働き方の潮流
働き方の潮流として、従業員が自由な働き方を求めるという傾向は変わらず、基本的に仕事の内容によって色々なカタチでABWという働き方に対応していかなければならないのは当然だといいます。テレワークが進んだことにより若い人やキャリア入社の人が孤立しやすいという課題にはチームワーク力を高める働き方やオフィスのあり方が重要になるとしました。それについてはハード面のみならずソフト面も必要であるとしオカムラの提案するTBW(チーム・ベースド・ワーキング)なども紹介しました。
また、未来のオフィスとしてAIエージェントが職場に普及するといいます。戸川氏は特に「AIとロボットを融合したフィジカルAI」に注目するとして、日本の技術力は高いといわれているとして、オフィスのツールとしてオフィスのデザインの中に組み込んでいくということがソリューションとして求められるとしました。
さらに戸川氏は、在宅不可能職場をAIが変えるとして、今まで在宅ではできなかった仕事がAIの発達でできるようになり、従来難しかった熟練技能・技術が担う現場業務、リモートワーク化の可能性が高まるといいます。リモートワークができない現場で自分たちのソリューションは関係ないと思っていたことに新たな商機が出てくるなどとし、そういうところに目を付け早くから動ける企業が問われているとしました。また、私見として、オフィス家具プラスαとして、例えばフィジカルAIのようなロボットが家具になるとかツールとして必要だとか、顧客のコミュニケーション・デザイン設計にオフィス家具の知見が役に立つ。例えば新人や異動した人の孤立問題や対話が不得意な人など多様な人が働きやすく生産性を上げ、チームワークを良くするためのハード&ソフト面でどのようなことをすればよいか。その際にメタバースやAIエージェントなどオフィスを活性化させ生産性を高めるための情報システムなどをIT企業と組んでやるか、自らが提供するかという事業のありかたを考えるべきなどとし、そういう意味で提案先は総務部門、人事部門、IT/DX部門、工場などへ拡大していくとしました。

自ら変革する AIエージェント時代のDX
AIエージェント時代のDXではデジタルより大事なのは変革であり新製品やサービスを創出することでそれにより売上を伸ばすことだといいます。また自動化で生産性を高めること、コストを削減する、そのために変革をするのだとしました。DXで成果を上げるためのキーファクターとしては、「ビジョン」「推進体制」「人財」「SoR」「SoE」を挙げ、DXで成し遂げたいものがはっきりしているか、推進体制が大切でこれにエース級を投入すべきだとしました。なぜなら大切なのは変革でありITを導入することではないからだとしました。取材を通して、DXで成果を上げている会社はCEOやCDOが事業部門とかなり密に、対等に議論をしているといいます。システム部門はシステムをつくる下請けの組織ではなく、その構造を変えないとデジタルで変革することは難しく「推進体制」「人財」は重要だとしました。
生成AIの導入格差
生成AIの導入格差においては、
MITの論文「The GenAI Divide-State of AI inBusiness,MIT NANDA (2025年7月)を紹介。生成AIの導入格差(GenAI Devide)が企業競争力を分け始めているとし、先行企業では生成AIを業務プロセスの中核に組み込み、生産性・品質を向上させているのに対し、実験止まり企業では個人の便利ツールとして使用され、効果は限定的だといいます。生成AI導入の成否を分けるのは「技術」ではなく「組織設計」で、それは経営幹部のテーマだとし、AIモデルの性能やツール選定などの技術は大切だがそれ以上に組織設計、すなわち業務プロセスや権限・意思決定ルール、人事・評価制度が大切。会社そのものを見直さないと成果を上げることはできない。生成AIはIT導入ではなく、経営変革そのものであり、DXもまた同じであるとしました。
「AIは競争優位も中核とならず」
さらに戸川氏は「AIは競争優位も中核とならず」といいます。
AIがもたらすメリットは、全ての人が恩恵を受ける。特定の誰かに有利に働くわけではない。差別化の源泉どころか、均質化の源泉になるといいます。
AIの均質化効果は「残余異質性(企業が他社の技術を超えて独自の何かを生み出す能力)」の価値を高めるすなわち独自性を高めることだとし、AI導入はマストだが、一方で本当の源泉力とは何かということを突き詰めそれを磨いて顧客にきちんと提示できる企業でなければ生き残れないといいます。故に企業は昔から言われているアナログ的なこと、創造性、意欲、情熱をもまた育む必要があるとしました。
その例として、IT部門とHR部門を統合した米モデルナ社、デジタル組織に異才を集め社長直轄の「データストラテジーチーム(DST)」を発足させた荏原製作所を挙げました。

生成AIが製品開発を変革
次に戸川氏はAIを製品開発に使うことに言及。米ボストンのロフトデザイン、チェコのクリエーティブドック、スイスのスタートアップ、フレッシュテックなどの事例を紹介しました。
生成AIで成果を生み出すためにとして戸川氏は
エース・ベテラン社員×AIの組み合わせを重視することを提案しました。
すなわち、そこにおいて戸川氏は
属人化をなくすと、企業価値が消えていく。生成AIは属人化を増幅して共有するための道具
最も価値の高い人の“考え方”をAIで増幅し、組織全体で使えるようにする
判断力の高いエース・ベテランの「物事を見る順番」「疑うポイント」「止める判断」をAIに学ばせる
AI化すべきベテランとは「判断の質が高く、問いを立てる人」であって、「作業を多くこなす人」ではない
などとし、その例として博報堂DYホールディングスが、ベテラン×若手で「暗黙知」を継承していることを挙げ、また、クレーム対応やカスハラ対策に有効だとしてカシオ計算機、ニトリ、クレディセゾンの例を挙げました。
業務を「AI前提」で再定義
さらに戸川氏は、
業務を「AI前提」で再定義する必要があるといいます。
最初からAIエージェントがいる前提が業務プロセスを再設計する
既存業務にAIエージェントを付け足すのではない
「業務プロセスを刷新し続ける文化」が求められる
などとし、
「BOAT(ビジネスオーケストレーション&オートメーションテクノロジー、米ガードナーが提唱した企業全体の複雑なビジネスプロセスを一気通貫で統合・調整(オーケストレーション)し、様々な自動化技術(RPA、BPM、AIなど)を組み合わせて自動化する。新型の統合プラットフォームおよび戦略的アプローチ))」に注目するべきだと述べました。
そのなかで、刷新し続ける文化・風土はトップの危機感、実行スピードにかかっているといいます。
3つの落とし穴
さらに戸川氏は以下の3つの落とし穴を挙げ
■PoC止まり
ビジネスインパクトの壁、いくら儲かるの?
品質と信用の壁、AIの嘘を許容できるか?
運用・ガバナンスの壁、誰がAIの面倒を見るか?
■野良AIの乱立
同じ目的のAIチャットポットをバラバラに導入
運用・保守コスト増
セキュリティーリスク増
■コスト増
LLMの従量課金、利用状況を管理せずコスト増
「AI活用のROIはまだ測れない」(CIO多数)
ROIを測定できる仕組み・ルールが必要に
などとしました。
そして戸川氏はいままでのまとめとして
生成AIは「効率化ツール」ではなく価値が生まれる仕組みをAI前提に作り直すのだとしました。すなわち、
(現状)人を増やして考える→(今後)AIで大量に考え、人が決める
(現状)人材×時間×会議→(今後)判断力×AI思考拡張×高速試行
■先行企業は、企画・分析・開発スピードが桁違い。AI活用格差が業績格差に直結
■最大のリスクは様子見
■生成AIは、企業の顧客提供価値の生み出し方を再定義する経営テーマ
■業務を「刷新し続ける」文化・風土を醸成する必要がある
などとしました。

変革の勘所 リーダーの名言に学ぶ
次に変革の勘所 リーダーの名言に学ぶとして、戸川氏は、長年の取材を続けていく中で影響を受けた人や記憶に残った人の以下のようなインタビューの紹介を行いました。
「組織としてやるべきことは、文化に変革だ」
米マイクロソフトCEO サティア・ナデラ氏
「一番大事なことは『人間に興味を持つ』」
日立製作所 会長 中西宏明氏
「目を向けるべきは『不満』」
セコム 創業者 飯田亮氏
「分かっているなら『実行』に移せ」
オリックス 会長兼グループCEO 宮内義彦氏
第2部 新年挨拶
第2部は新年挨拶(Zoom併用)、第3部は賀詞交歓会が行われました。

第2部と第3部の司会進行はJOIFA事務局長の内田道一氏。
中村会長が新年の挨拶
第2部の新年挨拶においては
日本オフィス家具協会 会長の中村雅行 氏(オカムラ代表取締役社長執行役員)が行いました。

中村氏は、新年の挨拶を述べた後、
「2025年を振り返ってみますと、政治・経済・社会の面で大きな変化があったと思います。いまだに世界中で戦争や紛争が起こっておりますが、それに加えて政治的な経済摩擦も引き続き再燃しております。国内に目を向けますと、依然として人口がずっと減っているという影響もあり、社会構造に変化が起きていると感じております。また、昨年から春闘で初任給が2年連続で大幅に改定されるということになりまして、今年も経団連の会長から賃上げをぜひ行ってほしいという話もあります。最低賃金の上昇とか、それにより企業の人件費負担が増えてなかなか利益が出にくい要因になっております。それもあって、色々な業種で値上げが増大化しているというか当たり前になってきている。預金金利もプラスになり、日本社会は完全にインフレの社会に転換したということですが、直近の雇用状況を見ておりますと、従来より少し違う動きが見て取れます。
この間日経新聞に掲載されておりましたが、働く意思と能力がある人が全員働ける「完全雇用」に近い状態が日本で59カ月続いていると書いてありました。一方で正社員の求人が22職種のなかの14職種で減り始めたといいます。ですから、人手不足が深刻だといわれている一方で、企業の成長のために人員を減らす、AIやDXを使って効率化をして人を抑えながら成長するという方向にも動き始めた、というふうに思っております。
業界の売上高は2桁の伸び 変化の時には大きな需要
いま、私たちの業界は企業が優秀な人を採るためにオフィス改装ということを唱えておりますが、一方で働きやすさと効率を求めたオフィスづくりが進み始めたということがJOIFAの統計をみても出ていると思います。先ほどの理事会でも申し上げたのですが、JOIFAの統計で昨年の1月から10月までが最新なのですが、売上高全体は111%で2桁の伸びというのは結構大きな伸びだと思うのですが、そのなかで製品の伸びはたったの4%しかない。104%です。製品以外の伸びが124%あって、そのなかの特にICTやAVとかセキュリティの分野が1.7倍も伸びています。ということはオフィスのつくり方が共創空間の新設と併せて効率性、効率を求めるようなオフィスづくりに変わってきているということだと思います。この変化はものすごく大きな変化だと思うのですが、いつも申し上げますとおり、大きな変化の時には必ず大きな需要が出てくる。ということで皆さんそれぞれの会社で新たな発想で新しい需要をつくっていく。大きなチャンスが来たのではないかと思っております。
成長のための積極投資に期待
先週、経済3団体の賀詞交歓会がホテルニューオータニで行われ、私も参加したのですがものすごい人でした。高市首相が強い経済をつくるといわれて、人気が高く勢いがあるような感じを受けました。今度の衆議院の解散でどのような結果が出るかはわかりませんが、そのなかでAIとか半導体とかをはじめとした17の分野で成長のための積極投資をすると明言されていて、設備投資や研究開発投資を減税対策を含めて実施するというお話がありました。ですから、今年の日本経済というものはそれなりに成長していくのではないかと思います。日本経済全体が成長すると、たぶんまわりまわって私たちの業界にも追い風が吹くと思っております。そういうことを考えますと、私たちのオフィス家具業界、勝手な予測をいいますと8%から10%は間違いなく成長するのではないかと思っております。

新たな中期計画策定へ
そういうことを踏まえて、今年のJOIFAの活動なのですが、今年は3月までで3カ年の中期計画が終わります。4月以降また新たな中期3カ年計画をつくっている最中です。各社から委員を出していただいていま検討を始めておりますが、これからの時代に向けて新たな計画をつくっていきたいと思っています。特にJOIFAとして取り組むべき課題、7つの分野を挙げております。「人財確保と人財育成」「地球温暖化への対応」「市場創造」「市場の変化に合わせた製品開発の向上」「生産性の向上」「JOIFAとして会員満足度の向上や業界の社会的地位の向上」「関連団体との連携」について検討を進めております。
なかでも、「外国人労働者の特定技能育成指導の受け入れ体制の整備」それから「サーキュラーエコノミーの実現」特に「使用済み家具の再資源化」、「お客様から見たわかりやすい新たな品質保証体制」。今、品質保証については業界で1年、2年、3年というルールをつくっていますし、以前決めた標準使用期間というのはどうも世の中の基準に合わないということで再検討したいと思っております。
あと「業界の商習慣の見直し」として休日の出勤。いま若い人もいなくなりましたので、これの抑制。もし、どうしてもやるときには、適正価格を転嫁したものをお客様から頂くということを進めていきたいと思っています。
この4つの重点課題に結論を出して進めていきたいと考えております。

新たな視点でさらに発展を
先ほどの講演会で日経BPの戸川常務からお話をいただきまして、いまAIが花盛りでございますけれども、この間新聞に書いてありましたけれども人は起きたときに夢を忘れるが、断片的に記憶をいれるとAIが映像をつくってくれるそんな時世になったようですが、先日ラスベガスで開催されたCESの内容を見るとヒューマノイドのロボットが花盛りでございます。こういうことを見ると本当に世の中大きく変わり始めたと思います。そういう意味からすると私たちの業界も新たな視点でさらに発展できるように皆様から色々な意見をいただきながら実りある1年にしていきたいと思います」などと述べました。
来賓紹介
続いて来賓の紹介が行われました。
紹介された来賓は以下のとおりです。
経済産業省製造産業局生活製品課 企画官(日用品・地場産品担当) 伊藤裕美氏
経済産業省製造産業局生活製品課 課長補佐 松本麻子氏
経済産業省製造産業局生活製品課 角谷一真氏
一般社団法人ニューオフィス推進協会 専務理事 事務局長 竹森邦彦氏
日本オフィス学会 会長 松岡利昌氏
SOMPOリスクマネジメント(株) 経営戦略室 取締役常務執行役員 川上潤哉氏
SOMPOリスクマネジメント(株) GRCコンサルティング部 執行役員 GRCコンサルティング部長 横山歩氏
SOMPOリスクマネジメント(株) マーケティング部 デジタルマーケティング支援グループリーダー 鈴木健一郎氏
SOMPOリスクマネジメント(株)不動産リスクソリューション部 土壌・環境グループ シニアコンサルタント 水澤克哉氏
SOMPOリスクマネジメント(株)サステナビリティコンサルティング部 コンサルタント 加藤波里氏
ケルンメッセ(株) 代表取締役社長 高木誠氏
ケルンメッセ(株) シニアマーコムマネージャー 丹野牧子氏
監査法人ユウワット会計社 代表社員 東京事務所長 木地健介氏
(株)日本経済社 執行役員 深澤博氏
(株)日本経済社 執行役員 大津絵里子氏
(株)日本経済社 次長 鈴木亮氏
また、新春記念講演を行った
株式会社日経BP社 常務執行役員 メディアマーケティング担当 戸川尚樹氏も再度紹介されました。
来賓挨拶
来賓挨拶を経済産業省製造産業局生活製品課 企画官 伊藤 裕美 氏が行いました。

成長戦略実現へ
伊藤氏は新年の挨拶を述べた後
「国内では賃上げが進んでいること、国内投資が約30年ぶりに高い水準を示したこと、あとはGDPが初めて600兆円を超えたことなどこの辺については日本経済にとっては明るい兆しだと考えております。他方で我が国においては基本的に少子高齢化が進み労働力が減っていくことは抗いようのない事実です。また、世界に目を向けますとアメリカの関税措置、ないしはその関税措置に端を発する自国優先の産業政策、経済政策みたいなものが各国の間で進んでいる。このような新しい国際秩序が生まれているなか、かつ、世界的な資源価格の変動などの外部要因もあり、インフレの圧力が高まる懸念も強くなっていると承知しております。このような状況でできることはもちろん限られてはおりますが、例えば官民の投資により日本経済の供給力を高める。そして需要と供給のバランスを物価の安定につなげていくことというのが国際秩序の変化に対応しつつ高市内閣が目指す強い経済を実現するための1つの策であると考えております。供給力の強化そして輸出拡大も含めた産業政策、成長戦略実現に政府も一丸となって対応していく所存です。
新しいオフィスづくりに期待
オフィス家業界を振り返りますと、コロナ禍によって進んだ働き方改革。これはもう待ったなしで引き続き進んでいると承知しております。オフィスの存在というのが単なるワークプレイスではなく、生産効率、知的創造性を向上する場所、いわゆる投資であるというふうに考えが変わっていく。このような考えが浸透していくという流れも今後さらに進んでいくことと思います。家具というものに限らず情報システムが一体となったオフィスが求められていく。このような潮流が明らかであり、今日の講演会でもあったITの活用というものがさらに重要になっていくと考えております。併せてどこででも働くことができるというのは、逆に自宅なりカフェなり、オフィス以外のところもオフィスのように活用するという可能性が組めるということも意味していると考えております。昨年オルガテックを訪問させていただきました。その際に強く感じたのは、オフィス家具とコンシューマー向けの家具というものの境目がどんどんなくなっているのではないかという点であります。中長期的に見れば人口減少が進んでいく日本社会において自宅にオフィス並みの家具を求める人というのが出てくると思います。このような質の高い自宅のホームオフィスないしはオフィスというのが進んでいくことというのは日本の産業競争力、高競争力、そして経済を強く支えることにほかなりません。皆様の創意工夫でこれからも新しいオフィスづくりが進んでいくことを心から期待しております。

取引適正化の対応
また、今年1月1日から下請法が取引適正化法(「中小受託取引適正化法」)と名前が変更になりました。賃上げや投資を生み出すためには適正な価格転嫁をはじめとする対応が不可欠であります。新しい製品やサービスを提供していくためには業界の皆様自らが古い習慣を断ち切って新しい対応を進めていただくことも必要なことかと思います。皆様と一緒に取引適正化の対応というのも経済産業省として進めさせていただきたいと思っております。
万博の価値をレガシーとして次の世代へ
最後に昨年、大阪関西万博が行われ大変な盛り上がりを見せまして、国内外から約2500万人の来訪者に足を運んでいただきました。サプライヤーとして、乃至は色々なかたちで現地に足を運んでいただくなど、こちらにいらっしゃる皆様にも大変なご協力を賜わったと承知しております。改めてお礼を申し上げます。 本当にありがとうございました。2027年にはまた横浜で万博が開催されます。今回の大阪関西万博そして2027年の横浜万博と、この万博というものが生み出した新しい価値をレガシーとして次の世代に受け継いでいく。さらに花開かせていくことにこれからも全力で取り組んでまいります」などと述べました。
新規会員3社の紹介
続いて
新規会員3社の紹介が行われ、
株式会社Swish 代表取締役CEO 横澤拓海氏
有限会社ウオールライン 代表取締役社長 望月武司氏
株式会社ワッカ 代表取締役 亀井衛馬氏
が紹介されました。
第3部 賀詞交歓会
今泉副会長が乾杯の発声
引き続き第3部として会場参加者のみの賀詞交歓会が行われ、乾杯の発声を日本オフィス家具協会副会長の今泉嘉久氏(プラス取締役会長)が行いました。
今泉氏は乾杯に先立ち挨拶として
「こんなにたくさんのお客様にお集まりいただいてありがとうございます。皆さん新年のお忙しいなかでしょうけれども、大勢の皆様に支えられているのだということをつくづく感じ厚く御礼申し上げます。

製品開発と需要創造を
先ほど中村会長から我々の業界が前年比で11%伸びているという話があり、誠に喜ばしいことではあるのですが、その後に続けて言われたのが物品としての家具の売上は4%の伸びである。それ以外のものが成長を支えてくれたということだと思うのですが、何故まず11%も伸びたのか。実はオフィス家具というのが果たしている役割が昔とだいぶん違ってきて、私は社内でオフィス家具は実はメディアではないかという話をしています。会社が変わろうとしているときにそれをシンボリックに社員に伝える。社長さんが何回も同じことをいうより、他所と違うオフィスをつくること。これによってうちの会社は違う会社になりたいのだということを社員に伝える。もしくは社外から来られるお客様にそれを気づいていただくというメディアとしての役割が非常に強いのではないかと考えています。自分の会社もそういうつもりで思い切り飛んだオフィスをつくってみようと随分工夫をしてまいりましたけれども、それなりに効果がありました。昔のオフィス家具の担当は総務部長さんとか用度の部長さんとかがご担当でしたが、近ごろはオフィスイコール社長マターになってきている。これが私たちの成長を支えてくれたのだと思います。ところが先ほどの話ですが、モノの売上は4%しか伸びていない。それは何かというと私たちの業界の努力がまだ足りないということだと思います。もっと新製品を、胸がときめくような新製品を出してそれを私たちが需要創造、これもJOIFAの重要な役割だと思っていますが、この需要創造、需要をつくっていく作業を併せてやっていって、本当に根っこの部分で10%、20%伸びるような業界になってくれたらありがたいなと思っています」などと述べ乾杯の発声を行いました。

山田副会長が中締めの挨拶
和やかな歓談の後、中締めを日本オフィス家具協会副会長の 山田 匡通氏(イトーキ代表取締役会長)が行いました。

激動の時代 内憂外患
山田副会長は
「業界全体として大変順調に展開してまさに同慶の至りなのですが、日本という観点で見てみますとなかなか大変な時期に入ってきていますね。色々な意味で激動の時代、内憂外患といってもいいかもしれません。
若干振り返ってみますと、失われた30年という日本が失ったものの大きさというものを感じます。 1989年バブルの崩壊直前の世界企業の時価総額ランキングでは上位50社のうち日本の企業は32社です。トップ10のなかで7社が日本企業だった。ちなみに2025年トップ50社のなかに入ったのは1社だけ。49位のトヨタ1社だけです。
もう1つショッキングな数字として記憶しているのは、日本のGNPの規模。1992,3年のバブル崩壊の前の日本のGNPというのは世界GNPの18%を占めていた。アメリカが26%だった。昨年その18%が4%になった。アメリカは26%で変わっていないのです。18%から4%になった間にアメリカは変わっていなかった。もちろんドルベースでの為替のレートの問題もありますが、円安になっていること自体が日本の国力・経済力の凋落を示していると思います。これを何とかしなくてはならない。それをこれからどうするか。私は割合に楽観をしています。というのは日本人というのは潜在能力が非常に大きいと思うからです。その潜在能力というものはいざというときに発揮される。
たとえば日本は第2次大戦で敗れすべてを失った。その後、1979年世界的なアメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルがジャパン・アズ・ナンバーワンを書いた。その間たった25年。
ところが日本人は一旦ナンバーワンになってしまうと油断した。安心したと思うのです。それでその後、失なわれた30年が展開する。特に不動産バブルが弾けた後です。それで先ほどの18%、世界第2位のGNPがまた戦後のGNPが4%に戻ってしまった。
日本の潜在能力に期待
これからどうするかについて私はわりと明るいと思っていていざとなると日本は強い。潜在能力は非常にある。それがここにきて1つ目は、高市さんという人が首相になったこと。日本の潜在能力の1つは女性の力だと思うのです。女性の力は含み資産、含み益がある。表に出ていないのです。欧米に比べると日本の女性の潜在能力は圧倒的に含み益になっている。その含み益がいざというときに出ました。それが高市さんです。この人に私は非常に期待しています。先ほど経済3団体の賀詞交歓会での話がありましたが、私が参加したときにはすでに帰られたあとで、その後ユーチューブで見ました。高市さんは何とかして進めたいとその決意がひしひしと伝わってきます。

2つ目はAIです。先ほどご講演いただいた戸川さんのお話はそのとおりだと思います。IT的な技術では遅れをとった。確かにアメリカ、中国に対して技術の開発では後れを取ったが、これをどう使うかというこのアプリケーションに使う。AIエージェントと言ってもよいし、またフィジカルエージェントといってもよいですが、これからこの技術をどう使うかが勝負です。これは技術の問題ではなく、ほんとうの開発はこれからです。これをどう使って何をやるかここに日本の力を期待したいと思います。
和を以て新しいチャレンジ
3つめは和ですね。分断の世界に必要なのは和です。日本人は根本的に文化として和の力を持っている。共同してやる。この和の文化を世界が求めていると思うのです。日本はもっと潜在的に持っている。和の文化によって我々のこの業界もうまくいっていると思うのです。これからさらに発展するように皆でコラボし合う。提携し合う。そしてこの業界のみならず他の業界ともコラボして、和を以て新しいチャレンジに対応していくことを祈念しております。
失われた30年を転換し成長をスタートさせる第1年目の年
今年は失われた30年を大きく転換し本当の成長をスタートするその第1年となることを、そして皆様の事業の益々のご繁栄、ご健勝を祈念致します」などと述べ一本締めで会を締めました。



