イトーキ、カンディハウスと北海道産材の共同開発を開始

北海道発の協業を全国展開、2026年の製品化へ

イトーキは、株式会社カンディハウスと、北海道産材を活用した家具の共同開発を開始したといいます。
両社は2024年から北海道における法人協業を開始。地域材を活用した空間提案を推進し、地域資源の価値を最大限に引き出しながら、木の心地よさをオフィスに取り入れているといいます。今後は、全国規模での提案強化とともに、家具製造過程で生じる北海道産材の端材や未利用材の活用による家具開発を進め、2026年の製品化およびプロジェクト受注拡大を目指すとしています。

協業の背景:出社回帰時代の象徴空間に“地域材×デザイン”で新価値を

同社によると、近年、オフィスは人的資本の最大化に寄与する場として再定義されつつあり、イトーキにおいても家具納入にとどまらず、空間デザインや働き方コンサルティングを通じた付加価値の高いオフィス空間の提供に注力しているといいます。
出社回帰の動きが加速する中、企業は従業員の帰属意識を高めるシンボリックな空間や、コミュニケーションを促進する設計が求められるようになったといいます。加えて、ESG経営や地域創生への関心の高まりを背景に、地域資源を活用した空間づくりにも注目が集まっているとしています。

このような課題に対して、イトーキが培ってきた空間デザイン力や人間工学に基づく製品開発力と、北海道産材を活かした高いデザイン性と使い心地を誇るカンディハウスの家具づくりを掛け合わせることで、新たな価値を創造していくため、今回の協業に至ったといいます。特に、北海道産の広葉樹は、美しい木目や温かみのある風合いにより、働く場に安心感と誇りをもたらし、企業ブランディングや従業員のウェルビーイング向上にも寄与するとしています。

協業の一例目となったのが、北海道・旭川に本社を置く荒井建設株式会社のオフィス改修プロジェクト。2025年4月に実施したコミュニケーションスペースの整備だといいます。イトーキが全体の空間デザインや設計、家具計画を行い、カンディハウスの北海道産材家具で空間の質を高めることで、両社の強みを融合させたといいます。打ち合わせブースやハイテーブル、靴を脱いで過ごせる小上がりスペース、仮眠が可能なエリアなど、多様なシーンを考慮した空間は、荒井建設株式会社から「企業バリューの向上につながる」との高い評価を得ているとしています。

製品開発に向けた取り組み:2026年の製品化を目指して共創始動

昨今、ウッドショックに伴う輸入材価格の高騰や、2024年度から導入された森林環境税を背景に、国内では地域材・国産材の利活用が急速に注目を集めているといいます。こうした中で同取り組みは、カンディハウスの家具製造過程で出る北海道産材の端材や、未利用材の活用による新たな製品価値の創出を通じて、「国産材回帰」「サスティナブルな製品開発」の流れを実践・加速するものと位置づけているとしています。

2025年7月には、イトーキのデザイナー・開発・営業メンバーが旭川を訪問し、カンディハウスの工場および木材加工現場を視察。製造工程の見学や道産材加工の実演、端材活用など環境への配慮、木材の特性や歴史に関するレクチャーを受け、複数種類の天板サンプルを前に両社で意見を交わしたといいます。製品開発に向けた重要な一歩となる視察となったとしています。
今後は2026年にテーブル/デスクの製品化を目指し、構成部材の一部に端材や未利用材を活用する方向で、技術的検証と意匠性の調整を進めていくとしています。

今後の展望

北海道内におけるオフィスの新築やリニューアル案件を中心に、ロビーやエントランス、待合スペースといった企業の顔となる空間にカンディハウスの家具を組み込んだ提案をさらに強化するといいます。
提案の際は、イトーキの札幌ショールームやカンディハウスの直営店を活用し、設計図面や実物家具を通じた立体的なプレゼンテーションを実施。導入後の使用イメージをより具体的に描ける提案体験を提供することで、案件化率の向上を図るとしています。イトーキとしては、同連携を通じて年間4~5件のプロジェクト受注を目指すとともに、カンディハウスにおいても、2026年に法人取引比率を25%(2024年比+5pt)、総売上高を34億円(同+10%)へと拡大する計画だといいます。
また今後は、新たなオフィスアイテムの協同開発をはじめ、全国規模での提案を強化し、さらなる受注拡大を目指すとしています。

代表コメント

イトーキ 代表取締役社長 湊 宏司 氏

素材への深いこだわりと優れたデザイン性を持つカンディハウスとの協業により、より質の高いオフィス空間の提案が可能になりました。地域材の活用を通じたサステナブルな空間づくり、そして働く人々にとって快適で誇れる職場環境の実現に向けて、引き続き連携を深めてまいります。

カンディハウス 代表取締役社長 染谷 哲義 氏



良質な北海道材を活かし、自然と調和したものづくりに取り組む当社は、近年需要が高まる“心地よいオフィス空間“にふさわしい木製家具をお届けしてまいりました。今回、ワークプレイス事業に高いデザイン力を発揮されているイトーキとの連携を深めることで、より付加価値の高いオフィス空間の創造に貢献してまいります。

イトーキと旭川のつながり:家具産地との協働と素材研究の蓄積

旭川は国内有数の家具産地として「旭川家具」のブランドを育んできたといいます。イトーキは北海道の拠点(札幌支店、道東支店)を軸に、道内の企業・自治体の空間づくりを多数支援しており、旭川エリアのメーカー各社との接点を重ねてきたとしています。
また直近では、イトーキの開放特許「人体収納用構造体及び睡眠用筐体」を広葉樹合板株式会社(北海道旭川市)がライセンス契約を結び、立ったまま寝る仮眠ボックス「giraffenap(ジラフナップ)」を開発、2025年7月にはイトーキからも販売を開始したといいます。旭川発のプロダクトがワークプレイスのウェルビーイング向上に資する動きも広がっているとしています。
こうした旭川のものづくりとの協働を礎に、同取り組みにおいても地域資源の新たな可能性をオフィス空間に活かし、全国へと広がる持続的な価値創造に挑戦していくとしています。

※「giraffenap」は広葉樹合板による製品であり、今回のプレスリリースにおけるイトーキとカンディハウスによる共同開発対象ではありませんが、地域発のプロダクトとオフィス設計の親和性を示す好例として位置付けているとしています。

(画像はイトーキ様リリースより)

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