イトーキ、関東工場のオフィスエリアを大規模リニューアル

“働きたくなる工場”へ。

オフィスエリアの書類を8割削減!従業員の声から生まれた「Challenge to Craft」をコンセプトに、製造現場の新しい働き方をデザイン

イトーキは、2025年9月11日(木)、千葉県千葉市にある関東工場のオフィスエリアを全面リニューアルしました。

同取り組みは、製造拠点における人的資本経営を空間から実践する先進事例として、働く一人ひとりの能力と意欲を引き出し、組織全体のエンゲージメントと生産性の向上をめざしているものだといいます。

オフィスエントランス

背景とねらい:工場の課題を“空間”で解決する

同社によると、製造業の現場ではいま、「人材不足」「安全性の確保」「生産性の向上とイノベーションの創出」といった複合的な課題が深刻化しているといいます。こうした課題に対応するためには、従業員一人ひとりが健康的に、前向きに働き続けられる職場環境の整備が不可欠だとしています。
また、従来は生産効率が重視されてきた工場においても、近年では、現場からアイデアや技術革新を生み出す“イノベーションの場”としての機能が求められるようになり、「空間への投資」が注目を集めているといいます。
イトーキ関東工場でも、これらの課題を解決し、生産現場の力を最大化させるため、オフィスエリアを全面リニューアル。現場で働く従業員を中心に理想の働き方を描き、アイデアを出し合って、17年間使用されてきた旧オフィスを全面的に刷新したとしています。
今後はショールームとして見学の受け入れも予定しており、製造業における「空間からの人的資本経営」のモデルとして、企業の課題解決に貢献することを目指していくとしています。

「Challenge to Craft」──現場の声から生まれた、“働きたい工場”

今回のリニューアルは、「Challenge to Craft」を空間コンセプトに掲げ、製造現場における“これからの働き方”を具現化する取り組みとして推進したといいます。
プロジェクトは、プロジェクトマネージャーを中心に、現場で働く従業員の声を丁寧に汲み取りながら共創型で進行。コンセプトと空間ゾーニングの検討にあたっては、アンケートやワークショップを実施し、現場メンバー自身がアイデアを出し合いながら具体化を図ったとしています。
この取り組みの根底には、働く人の健康とものづくりの魅力の両立を大切にし、健康的かつ前向きに働き続けられる環境こそが、より良い製品づくりを支えるという考え方があるといいます。この価値観をもとに、「進化する工場」と「イキイキ働く」という2つの視点を空間設計の柱として設定。「進化する工場」では、“常により良いものを生み出す挑戦を後押しする場”としてのあり方を、「イキイキ働く」では“安全・安心を前提に、活力と一体感を育む環境”を空間に反映したとしています。
これらは、製造業が抱える「人材不足」「安全性の確保」「生産性とイノベーションの両立」といった共通課題に対し、空間の力で現場からアプローチする実践的な解決策となっているとしています。

そして、今回のリニューアルで最大のチャレンジとなったのが、書類の削減だといいます。法律上保管が義務付けられているものも多く、あふれる書類がスペースを圧迫していたものを、廃棄や倉庫整理を徹底し、オフィスエリアの書類を約8割削減したとしています。
これにより空間にゆとりが生まれ、より働きやすいオフィスデザインを実現しているとしています。

製造現場の課題に、空間デザインで応える3つの実践アプローチ

(1) 人材不足への対応:採用と定着を支える、柔軟な働き方と居心地

今回のリニューアルでは、従業員が気分や業務内容に応じて働く場所を選べるよう、グループアドレス席・集中席・ソロブース・コラボエリア・ラボ・カフェなど、多様なスペースで構成。製造現場においても、柔軟な働き方の実現を可能にしたといいます。
空間インテリアには、イトーキのデザイン指針「ITOKI SENSE 2025」の中から「つむぐ(Timeless)」を採用。木材や石などの自然素材を活かした上質で居心地の良い空間が、快適な働く環境を演出しているといいます。さらに、インテリアの要所には、関東工場で生産されたパーティションやラックなど自社製品を活用。自分たちの手でつくった製品が働く場に取り入れられることで誇りや共感が生まれ、「働きたい」「続けたい」と思える空間づくりにつながっているとしています。

(2) 安全性の確保:集中とリラックスを切り替える多様な空間の工夫

製造拠点においては、作業中の安全確保に加え、オフィスで働く人々が心身ともに健康に働き続けられる「心の安全・身体の安全」も重要なテーマだといいます。
今回のリニューアルでは、こうした観点からの環境づくりにも力を入れたといいます。グリーンを多く配置した開放的な空間をはじめ、業務の合間に意識を切り替えてリフレッシュできるカフェ、靴を脱いでリラックスできるミーティングスペース、静かな環境で作業に取り組める集中席など、多様な空間を整備。業務内容や気分に応じて「集中」と「リラックス」を自然に切り替えられることで、作業効率の向上だけでなく、心身の安定や働くモチベーションの維持にもつながるとしています。
こうした「休む・話す・切り替える」ための場づくりは、目に見えにくい“安全性への投資”であり、安心して長く働ける職場環境の実現に寄与しているとしています。

窓際席

コラボエリアとカフェエリア

(3)生産性の向上とイノベーションの創出:連携を促すグループアドレス制と動線設計

製造現場では、ささいな声かけや気づきが品質や安全性に影響を与えることもあるため、チーム単位でスムーズに連携できる環境整備が不可欠だといいます。
今回導入したのは、固定席を廃止し、チームごとにフレキシブルに座席を使える「グループアドレス制」。業務ごとの関係性に応じて最適な距離感で作業ができ、その場で即座に確認・判断・共有が可能な“即応力のある現場”を実現したとしています。
中にはチームの域を超えた連携を促進する「ダブルアドレス席」も用意し、組織横断的な協働や柔軟なチーム運営を支援する工夫も取り入れているといいます。
また、固定席で直線的な動線が主だった旧オフィスとは異なり、空間内に多様なエリアを分散配置。自然と人の動きが生まれ、偶発的な出会いや会話が活性化されることで、イノベーション創出のきっかけを育む設計だとしています。

グループアドレス席

今後の展望:空間から“人的資本経営”を広げる

同リニューアルは、イトーキが実践し、顧客にも提案している「人的資本投資に寄与するオフィス投資」という考え方にもとづく取り組みのひとつだといいます。これまでも本社をはじめ、全国各地の拠点でも同様の施策を進めており、関東工場のリニューアルもその延長線上に位置づけているといいます。
今後は、“工場の働き方改革”という観点から、同取り組みを空間提案や見学受け入れにも活かしていく予定だとしています。

同社はこれからも、働く人の可能性を引き出す空間づくりを通じて、より良い働き方の実現に貢献していくとしています。

イトーキ関東工場概要

名称:イトーキ関東工場
住所:〒267-0056千葉県千葉市緑区大野台2-5-1
在籍者数約:130名(2025年8月時点)
見学について:イトーキ関東工場では法人の顧客の工場見学を受け付けているといいます。
見学可能時間:10時00分~16時00分(完全予約制)
予約:以下に問合せ
関東生産企画部 043-226-5391
※予約状況によって、見学を受けられない可能性があるとしています。

(画像はイトーキ様より頂戴しました)

【追記】

イトーキは2025年9月11日(木)、千葉県千葉市にある同社関東工場において報道関係者向けオフィスエリア見学&取材会を開催しました。その模様は原稿ができ次第ご報告させていただきます。

Follow me!