オルガテック東京2025、創造性が交錯した3日間
“選ばれるワークプレイス”の本質を探る、体験型展示と対話の場
SHIFT DESIGNを軸に、個の感覚に寄り添う空間の可能性と、新たな視座を提示

約45,000人の来場者が訪問
オルガテック東京2025は、6⽉3⽇(火)から5⽇(木)にかけて東京ビッグサイト南1~4ホールにて開催されました。
4回目の開催となった今回は、国内外から約160の有力ブランドが集い、会場には前回を上回る約45,000人の来場者が訪問。アジアを代表するワークプレイスデザインの発信拠点として、さらなる存在感を印象づける機会となったとしています。


「BORDERLESS ~オフィスは私へ~」。
継続テーマ「SHIFT DESIGN」の思想を深化させた、新機軸「BORDERLESS ~オフィスは私へ~」。同テーマは、従来の“働く場所が広がる”という枠組みを超えて、オフィス空間そのものが“私らしさ”に寄り添い、柔軟で多様な在り方へと進化する視点を提示しているといいます。オフィスに居住空間のようなやわらかさやリラックスできる設備が取り入れられ、“働く”という行為がよりパーソナルに、感覚的に最適化されていく時代へ。空間には“自ら選びたくなる理由”が求められる今、本展示では“選ばれる居場所”としてのオフィスのあり方を提示。来場者に新たな気づきと共感をもたらしたとしています。
来場者の回遊性が高まった会場構成
会場構成では、上下階を活用した動線設計によって来場者の回遊性が高まりました。特に上階ではホール照明を落とし、各ブースのライティング演出により独自の世界観を演出。光とデザインが織りなす没入感が生まれ、五感で体験するオフィス空間が印象に残る仕上がりに。本国・ケルンで磨かれた展示演出を取り入れた試みは、東京では今回が初めての本格導入となり、多くの注目を集めたとしています。
オフィスづくりにおける『デザイン』の重要性
プラチナスポンサーである株式会社イトーキ 代表取締役社長の湊宏司氏は、「今年のオルガテック東京では、ファッショナブルな来場者の姿が多く見られ、オフィスづくりにおける『デザイン』の重要性が一層高まっていることを象徴しているようでした。また、オフィス家具メーカーにとどまらず、多様なバックグラウンドを持つ出展者が増えた点も印象的でした。こうした新たな視点の広がりが、業界のさらなる活性化につながることを期待しています。」と語りました。
Xperience Area では多彩な登壇者によるセミナーを実施
Xperience Area では、空間づくりの最前線を担う多彩な登壇者によるセミナーを実施。初⽇には成瀬・猪熊建築設計事務所の成瀬友梨氏・猪熊純氏が登壇し、「本当のウェルビーイングをかなえるオフィス空間とは」をテーマに講演。空間が人の快適性やエンゲージメントに与える影響について、建築的視点から語られたといいます。

トレンドフォーラムでは、ロンドンを拠点とする建築学者クロード・ダットソン博士が登壇し、シリコンバレー黎明期の実験精神が現代の企業キャンパスにどのように受け継がれているかを考察。さらに、『エル・デコ』⽇本版編集長と気鋭の建築家による対談形式のセッションでは、ワークプレイスデザインに関する多角的な視点を交わしたとしています。

「ORGATEC TOKYO Awards」

コンセプトを体現した空間デザインとモノづくりの姿勢を称える「ORGATEC TOKYO Awards」では、「SHIFT DESIGN」の思想を基盤に、各ブランドが掲げたコンセプトをいかに空間として具現化したかが評価の軸となったといいます。
造形の美しさだけでなく、空間に込められたメッセージ性や、来場者がその場で感じ取り、体験できる演出力が問われるという同アワード。今年も、心に深く残る展示が数多く誕生しまたといいます。
グランプリならびに出展者が選ぶベストブース賞、ふたつの栄誉に輝いたのは、《コクヨ》ブース。

椅子1点に絞り込んだ潔さと、美しい空間との劇的な一体感が際立ち、雲の上に座るような感覚、プロダクトと人の自然な関わりを生んだ唯一無二の体験が高く評価されたとしています。
準グランプリには、“座る”という行為を、ものづくりの原点から静かに問い直し、光と構成美、知性あるインスタレーションが来場者の記憶に残った《オカムラ》ブース、実際の職場課題に寄り添いながら、自社ソリューションを丁寧に紐解き、 “自分らしく働く”ためのヒントと、オフィスへの思いやりが伝わる《PLUS》ブース、そして、緻密な設計と色彩の調和が、ブランドの世界観を際立たせた《HIDA》ブースがそれぞれ受賞しました。



加えて、変化を象徴するような印象的かつ従来の枠組みを超えたコンセプトと構成を打ち出した10社には、特別賞が授与されました。選考委員を務めた『エル・デコ』⽇本版 編集長の木熊太郎氏は、「どのブースからも出展者のみなさんの熱意やものづくりに対する真面目さが伝わってきて、非常に評価が難しかったです。伝統的なオフィス家具のアップデートや新しい素材、そして自宅のリビングでも使いたいような木の家具まで、個性的で新しい提案に出合えるのが、オルガテック東京の魅力であることを改めて感じました。来年以降も引き続き各ブランドやメーカーの皆さんのクリエイティビティを楽しみにしています。」と今後の更なる期待を述べたとしています。
ケルンメッセ株式会社 代表取締役社長の髙木誠氏のコメント
ケルンメッセ株式会社 代表取締役社長の髙木誠氏は、本展を振り返り、「展示ブースやプレゼンテーションの質の高さは圧倒的でした。また、来場者の多くが空間や働き方について真剣に語り合う姿が印象的でした。オフィスというフィールドを超えて、社会全体に広がる議論と実践の場として、本展がさらに成長していく手応えを感じています」と語ったといいます。

「オルガテックナイト」、テーマは「オルガテックサーカス」
会期中の夜を彩った「オルガテックナイト」では、「オルガテックサーカス」と題したパフォーマンスも披露。展示会の枠を越えた文化的な演出として、参加者同士の交流をより深める時間となったといいます。

⽇本オフィス家具協会(JOIFA)会長の中村雅行氏のコメント
⽇本オフィス家具協会(JOIFA)会長の中村雅行氏は、「来場者のご意見や熱気から、多様化するワークスタイルの未来に向けたイノベーションに期待する気持ちが強く感じられました。オルガテック東京は名実ともにアジアを代表するオフィス家具、ワークプレイスの展示会となり、ケルンメッセとJOIFAは2031 年までオルガテック東京を継続開催することを決定しました。今後もオフィスのトレンドを発信する場として成長できるように、JOIFAとしても積極的に関与していきたいと考えています。」と抱負を述べたといいます。

“私らしさ”と響き合うオフィス空間へ
「どこで働くか」から「どう働きたいか」へ——その価値観のシフトを象徴するように、会場全体では“自分で選びたくなる空間”をテーマに、展示や対話が繰り広げられたといいます。多様な働き方に寄り添うオフィスの未来像が、各所で描き出される中、オフィスという空間が“私らしさ”と響き合いながら確かに変わり始めているといいます。3⽇間の熱気に包まれた会場には、その確かな手応えが刻まれていたとしています。
次回のオルガテック東京は、2026年6月2日(火)から
次回のオルガテック東京は、2026年6月2日(火)~4日(木)/ 東京ビッグサイト 南展示棟1・2・3・4号館にて開催される予定です。
オルガテック東京 2025開催レポート
15 の国と地域から157社が出展
うち国内から83社、海外から74社が出展(国内比率53%)
来場者数 44,891人(前回比 110%)
総展示面積 約20,000㎡