イトーキ、製品・空間・ブランドの7件で「2025年度グッドデザイン賞」を受賞
イトーキは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2025年度グッドデザイン賞」で、製品4件、空間2件、ブランド1件の計7件を受賞したといいます。

受賞内容について
NII(ニー)

「Ingenious design-創意創発するデザイン」をコンセプトに、イトーキが新たに立ち上げたファニチャーブランド。グローバルに活躍するデザイナーとのコラボレーションによって生み出されたプロダクトは働く場所に新たな価値を生む原動力となるとしています。
(審査員コメント)
人が働く時、それがどのような環境や空間であるかは、仕事の効率や質に少なからず影響を与える場合があるだろう。ブランドロゴタイプのデザインの過程や考え方に説得力があり、仕上がりも簡素で美しい。多様性ある人々が最大限に力を発揮できるための環境や空間を生み出そうとするブランドビジョンが感じられる。総じて、美しく独創性な商品の世界観を演出するグローバルに展開されるブランディングとして、普遍的で創造的な魅力が感じられる。
ディレクター:株式会社イトーキ チーフクリエイティブディレクター 田幸宏崇氏
デザイナー:有限会社タングラム
BITMAP(ビットマップ)

大小サイズの異なるブロックが一つのエッジで繋がり、独特な佇まいを生み出すソファだといいます。上面は簡易のテーブル、肘置き、背もたれとしても活用でき、さらには腰掛けることも可能だとしています。1モデュールでありながら、それぞれを交差するように組み合わせて配置することで、平行、対面、斜めなどあらゆる方向でのコミュニケーションを可能にするとしています。
(審査員コメント)
大小のブロックが組み合わさって構成されたこのソファは、シンプルでありながらも力強い存在感を放つプロダクトである。浮遊感のある小さなブロック部分はテーブルや腰掛けとして機能するだけでなく、さまざまな方向への組み合わせを可能にする構造を備えている。人々の多方向からのコミュニケーションを促し、空間に動きと交流を生み出す製品として、1モジュールから広がる高い拡張性と、色の組み合わせによる視覚的な魅力が高く評価された。空間に個性と柔軟性をもたらし、ユーザーの創造性を刺激するプロダクトである。
デザイナー:Todd Bracher氏 / Todd Bracher Studio
Parlamento(パーラメント)

4つの高さが異なるユニットによって、多様な個が交わる空間をつくるモデュール家具だといいます。ロー/ハイソファ、そしてロー/ハイテーブルからなるユニットは、空間のどの位置にいてもフラットに情報を共有できるよう設計されているとしています。ボードルームはもちろん、レセプションやコミュニケーションエリアにも対応し、一体感のある空間を演出するとしています。
(審査員コメント)
本製品は、1970年代のラウンジシートに着想を得て、現代の文脈において再解釈されたモジュール式家具である。高さの異なる四つのユニットは、快適性と機能性を備えると同時に、彫刻的な造形によって豊かな表現力を示し、空間に奥行きと広がりをもたらしている。多様な配置構成やテーブルとの組み合わせにより、現代のオフィスや公共空間に求められる多彩なシーンを創出し、利用者に円滑なコミュニケーションの場を提供するデザインとして高く評価された。
デザイナー:Jun Aizaki 氏/ CRÈME
Centra(セントラ)

Centraは人が集まり思い思いに過ごせるビッグテーブルだとしています。
1人で深く考える時間にも、ゆったり会話を楽しむ場面にも馴染み、安定感と自由さを兼ね備えたデザインだとしています。太い脚と低めのビームは重厚感を生み、視線を自然に下へ誘導し空間に落ち着きを与えるとしています。一方、端を1本脚で支える構造は、重厚な中に解放感を生み、軽やかな印象を与えるといいます。さらに天板形状や本体構造には、人との適度な距離感や快適な仕事を支える機能性が織り込まれていますが、特定の使い方を押し付けず、心地よい場所として存在し、利用者が自然に快適な状況や交流を生み出すとしています。
(審査員コメント)
本製品は、多様化するワークスタイルに柔軟に対応するテーブルである。独特の天板形状と、天板端を1本脚で支える構造により着座位置の自由度を高め、心地よい距離感を保ちながらも自然なコミュニケーションを促す機能が、違和感なく製品に落とし込まれている。安定性にも優れ、天板形状・カラーバリエーション・素材の組み合わせも豊富である。さらに電源などの配線処理にも細やかな配慮がなされており、用途や空間コンセプトに応じて柔軟に対応できる点も高く評価された。
デザイナー:株式会社イトーキ 加藤幸佳氏、山下浩治氏
DAP with MediMonitor(調剤薬局向け薬剤ピッキングシステム)

DAP(Drug Automatic Picking system) with MediMonitor は、薬剤ピッキング業務を効率化する薬剤自動ピッキングシステムだといいます。小型ロボットによる薬剤トレイの自動入出庫と高度な監査支援システムにより、調剤薬局における「薬剤ピッキング」と「監査支援機能」を一体化したシステムとすることで、薬剤ピッキング業務の過誤防止と薬剤師の人手不足解消に貢献するとしています。
(審査員コメント)
本メーカーは半世紀以上、自動倉庫のピッキング技術を磨いてきた実績を持ち、その蓄積を生かして開発された薬剤のピッキング機器である。設置環境に配慮した薄型・コンパクト設計で、薬棚に溶け込むフラットな面構成で凹凸を抑えた実直なデザインは、現場の動線や清掃性にも配慮されている。本体には8つの引き出しを備え、点滅表示で取り出し箇所を案内することで、取り違いを防ぐ仕掛けになっている。これらにより調剤の一部を半自動化し、薬剤師が患者と向き合う時間を確保できる。薬剤師の働き方も変わる次の社会に向けての素晴らしい提案である。
デザイナー:株式会社イトーキ 大澤幸一氏
ITOKI DESIGN HOUSE 11F

ITOKI DESIGN HOUSEとは、明日の「働く」を、デザインするクリエイティブハブだといいます。
次世代のワークスタイルを構想し、実践、体験するオフィスであり、ショールーム、ラボでもあるとしています。
人々が集い、コラボレーションを通じて、新たな「働く」文化を発信していくとしています。
(審査員コメント)
多くの来訪者を迎えるショールーム型オフィスにおいて、社員が長時間落ち着いて働ける空間を丁寧に追求している点を高く評価したい。ダークトーンの色使いや囲われ感のある座席配置により、視線への配慮が行き届き、「見られている」ことによるストレスが和らげられている。イベントにも対応するエントランス空間では、あえて大型家具を固定する一方で、床のレベル差を活用して柔軟性を生み出す構成が秀逸である。単に可変性を求めるのではなく、空間の質を保ちながら機能を両立する姿勢に、オフィスデザインへの成熟した視点が感じられる。
デザイナー:株式会社イトーキ 香山幸子氏、西岡利恵氏、岩松里紗氏、槌田美紀氏、小林祐未子氏、福島勇希氏
東洋エンジニアリング本社オフィス Bay Tech Makuhari

「Bay Tech Makuhari」プラントエンジニアリング事業を展開する東洋エンジニアリング本社オフィス。TOYOが事業を拡げ新たな時代を切り開くため、コンセプト「BLUE PLANeT」のもとインナーブランディングを強化、多様化する社員が一体となって集まれる場所を設計したといいます。共創を加速させ新たなTOYOを形にするとしています。
(審査員コメント)
多様化する社員が一体となれる場所をつくり、企業の未来像を空間に映し出した本社オフィスである。「BLUE PLANeT」をコンセプトに掲げ、企業のフィロソフィーや社会的メッセージを端正に空間化することで、社員自身が誇りをもって語れる場を実現した。固定席を廃し、多彩な働く場を自由に選べるゾーニングは自然な交流を促し、共創を育む仕掛けとなっている。全社参加型ワークショップによるデザインプロセスは、社員の意識変革を伴いながら高い完成度へと結実した。既存建築の美しさを尊重しながら刷新を遂げた空間は、細部まで統一感が行き届き、機能性と美しさが響き合う。新しい東洋エンジニアリングの姿を力強く体現したオフィスである。
デザイナー:株式会社イトーキ 島村正信氏、古田望氏、大塚香那氏、加藤徳明氏、小畑登生氏、安藤優奈氏
グッドデザイン賞について

1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザインの評価・推奨の仕組みだといいます。有形無形を問わず様々な物事を、デザインだけではなくプロセス、思想、意義などを総合的に評価し、審査委員会により特に高い評価を得た100件が、「グッドデザイン・ベスト100」として選定されるとしています。
(画像はイトーキ様リリースより)