ニューオフィス推進協会(NOPA)、第15回通常総会を開催

日経ニューオフィス賞にサードワークプレイス部門を新設

一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)は2025年6月18日(火)、東京都中央区の銀座キャピタルホテル茜で第15回通常総会を開催しました。

三栖会長が冒頭の挨拶

通常総会の冒頭、挨拶に立った同協会会長の三栖邦博氏は
「当協会の主力事業である本年で38回目を迎える日経ニューオフィス賞は、すでに応募が締め切られ、現地審査対象のオフィスも選定され、まもなく現地審査に入るところでございます。応募総数は148件。2番目に多かった昨年の154件には及びませんでしたが、例年を上回る応募数であり、このことはオフィスづくりが活発に行われ、日経ニューオフィス賞への関心も依然として高いことを示していると考えております。地域別の数としては昨年比で九州、近畿は増加。中部と関東はやや減。ほかは変わらずということでございます。
今年度から日経ニューオフィス賞にサードワークプレイス部門を新設いたしました。この賞始まって以来の大きな見直しとなりますので今日はそれについてお話をさせていただきたいと思います。

サードワークプレイス部門新設の経緯について

従来日経ニューオフィス賞は応募者自身の利用を目的に構築されたオフィスを対象としておりました。この賞への応募は自社ビル、テナントビルを問わず自社でオフィスを構築しそのオフィスを利用する企業に限定されておりました。しかしながら昨今、ファーストプレイスとしての自宅、セカンドプレイスとしての職場に加え、心地よくリラックスできる第3の居場所が豊かな社会生活を営む上で大変重要な役割を果たすということが指摘されております。それに加えて多様な人々が集まり新しい価値観と出会うことができる第3の居場所としてのサードプレイスの必要性とその社会的役割が注目されて来ております。そのようななかでオフィスづくりにおいても他者の利用に供するオフィスを構築し提供する企業がつくるいわゆるシェアオフィスやコワーキングスペースなどサードワークプレイスが普及し、自宅と職場に加え、従業員が働く場所として多くの企業に認識され利用されるようになってきております。加えてオープンイノベーションが企業活動の促進に不可欠の時代にあって社内外の交流、異業種との交流、地域社会との交流が注視されるなかで、またコロナ禍を経てのハイブリッド型ワークスタイルの定着を見たときに、サードワークプレイスの活用が日常的になり働く場としての存在感を増してきております。そのようなことから、従来のオフィスとは別に新たにサードワークプレイス部門を設けることといたしました。サードワークプレイスを日経ニューオフィス賞の対象にすることによりまして、サードワークプレイスが一層進展し、健全な発展を図ることが期待されます。サードワークプレイスは他者の利用を目的につくられたオフィスですので、応募者はオフィスの利用者ではなく、サードワークプレイスを提供する事業者となります。ちなみに初回である今年度は9件の応募がありました」などと述べました。

経済産業省伊藤企画官の来賓挨拶

続いて来賓挨拶を経済産業省製造産業局生活製品課企画官の伊藤裕美氏が行い
「いま我々は、日本経済30年の長きにわたるデフレからの脱却を固めるべく引き続き全力で施策を打っているところです。この春振り返りますと経団連様から官民共通の投資目標の数字を2回頂戴しております。また、春の春闘におきましても5%以上の賃上げというのも2年連続達成したということで、少しずつこれまでの取り組みが形になってきているのではないかと感じております。引き続きこのデフレからの脱却というのを確実なものにすべく全力で取り組んでまいる所存でございます。それと同時に海外に目を向けますと、トランプさんの相互関税のお話などもあり、なかなか先が読めない部分もあろうかと思います。経済産業省といたしましては、相互関税問題については省内対策本部を設定の上、全国1000カ所以上のご相談窓口の開設ですとか、特に中小企業の方向けの金融のご相談などを行いつつまずは現状をしっかり把握するというところで取り組んでいるところでございます。ご案内の通り、G7サミットでは石破総理が現地でトランプ大統領と会談をされています。7月9日には90日間のモラトリアムが終了いたします。交渉事で相手がある話なので今これがどうなるということを断言することはもちろんできません。ただ総理も交渉の前面に立っている赤沢大臣も何かを犠牲にしてまで妥協はしないという明確な方針を示しております。皆様の雇用と産業を守るべく日本政府として引き続き取り組んでまいる所存でございます。

オフィスの役割の重要性が増す

ニューオフィス推進協会様の取り組み、ないしはニューオフィスというトレンドを少し振り返りますと、やはりコロナが明けてからオフィスの役割というのが非常に変わっている。そしてそれが多岐に及んでいると感じております。コロナが明けて、今まで週5日7時間か8時間、それよりももう少し長い間ずっといるはずだったオフィスというものが、色々なところで働くことができる、まさしくサードプレイスにつながるところですが、働き方の多様化、働く場所が多様化しているからこそ、オフィスそのものにどういうファンクションがあり、そこで働くことによってどういう人生ないしは個人の達成ができるのかということがさまざまな形で問われているのではないかと思います。オフィスの重要性、そしてバラエティという意味ではこれまで以上に方針ですとか対応というのが広がっていると思います。そのような色々な企業の方の思いというものを、まさしく現実にしてくださるのがこの場におられるニューオフィス推進協会の皆様であると思います。将来、残念ながら日本の人口が減ることが分かっていて、労働力人口というものがどんどんと少なくなっていきます。働き方の多様化が問われる今だからこそオフィスの役割というところの重要性はあがっていると思います。皆様のお取組みに心からお礼申し上げます
最後にもう1点、4月13日から大阪関西万博が開催されています。立候補から数えると8年がたちます。この8年の間に準備したことがまさしく花開かせているところでございます。おかげさまで日本館は訪れた人たちに大変ご好評をいいただいております。未来社会というもののイメージをまさしく日本館ないしは万博全体で現実にして皆様の目に触れる、触っていただける環境にあるというのも非常に稀有な機会になります。おそらくもう足を運んで下さった方もたくさんおられると思いますが、まだの方はぜひ一度お運びいただけるとありがたく存じます。」などと述べました。

議事の進行

報告事項
2024年度事業報告及び事業報告の附属明細書について
2025年度事業計画及び収支予算書について
審議事項
第1号議案
2024年度決算について承認の決議を求める件
第2号議案
理事の選任について承認の決議を求める件
の説明を
同協会専務理事・事務局長の竹森邦彦氏が行いそれぞれ承認されました。

通常総会終了後懇親会を開催

通常総会終了後懇親会を開催しました。

三栖会長が懇親会挨拶

懇親会の冒頭再び挨拶に立った同協会会長の三栖邦博氏は、
「先ほど、第15回総会も皆様のご協力のおかげをもちまして、無事終了いたしました。このような会員が集まって懇親会を開くのは、私が会長に就任してからは初めてでございます。このような会が皆様のご協力を得て開催されるということを心から皆様に御礼を申し上げます。
新しいアイデアにつながるような出会いは、偶然の出会いから生まれるとよくいわれます。偶然の出会いというのは新しいサービスや製品をつくるために集まって知恵を出すということももちろん大事なのですが、それでは偶然の出会いにはならないわけで、偶然の出会いというのはまず集まる。顔を合わせるという、そこから出るのが偶然による新しい発想、セレンディビティといってもいいのですけれども、そういったところから考えますと、我々がまずこのように集まるということから交流が始まり新しい知識創造につながっていくのではないかと思います。そういった意味でニューオフィス推進協会は、2年前からネクストアクションプラン23~25ということで色々な改革を行っております。オフィスを皆さんが集まりやすいオフィスに改装したり、色々なセミナーであるとか見学会であるとか、そのような事業を拡充しながら、それに参加する方々がただ見る、ただ聞くだけではなくて、そこで講演者と参加者が名刺交換をしたり、交流につながるようなそのような考えでもって活動を拡充してまいりました。

デマンド側を含めた交流を

今後私が大事だと思っておりますのは、協会のもとになるメンバーが耐えずオフィスの企画とか設計とか管理とか施工とかサプライヤー側の人間の集まりでございますけれども、実際のオフィスを見て回りますとオフィスを発注する側の企業の担当者、総務の方であたっり社長室であったり、企画室の方であったり、そういった方がそのオフィスを専門家である我々に発注をいただくのですけれども、できた後に本当にオフィスを使われる皆さんが最大限活用する。そういった方々が引き続いてオフィスの運用に関わり、色々な仕組みや仕掛け、講演会や研修会を行ったり、夕方になればアルコールを出すなど、そういったこともただ出すだけでは皆さん新しいオフィスをつくっても活用できないですから、そういったことを仕掛けてつなぐ役目をする。そういった方々が今後ますます重要になるし、そういったいわゆるデマンド側、顧客側のオフィスをつくるそういった方々を含めた交流を行っていかなくてはいけないのではないかと思っております。我々、よりよいオフィスをつくるには発注者側のオフィスに関わる方々と共にやっていくことが今後ますます重要になると思っております」などと述べました。
次に来賓の紹介が行われ、
一般社団法人専務理事の貫名英一氏
公益社団法人ロングライフビル推進協会専務理事の白井清広氏が紹介されました。

田名網雅人副会長が乾杯の発声

続いて乾杯の発声を同協会副会長で鹿島建設株式会社顧問の田名網雅人氏が行い挨拶として
「本日のご報告にもありましたが、今日では日経ニューオフィス賞の応募が150社くらいになり入賞するのが10分の1くらいの非常に狭き門になっています。我々はオフィスの設計をずっと行ってきましたが、ここ数年でオフィスが非常に革新的なかたちになり、コロナを経てまた一層オフィスニーズというのもが高まっていると思います。これからも日経ニューオフィス賞を中心にこの協会の活動を活性化し、さらにオフィスが注目を浴びるようにしていかなければいけないと思います」などと述べました。

新規会員の紹介

歓談中新規会員の紹介と挨拶が行われ
株式会社オカモトヤ 代表取締役社長 鈴木美樹子氏
ダイビル株式会社 東京営業部 営業課長 村尾圭太氏
東京海上日動ファシリティーズ株式会社 理事 建設部 建設部長 黒住英生氏
ネットワンシステムズ株式会社 管理本部 総務部 部長 内田雅裕氏
北斗工機株式会社 技術部 建築設計担当部長 伊田清作氏
MUSVI株式会社 代表取締役 Founder&CEO 阪井祐介氏
がそれぞれ登壇し挨拶を述べました。
また、
懇親会には欠席でしたが新規会員として
株式会社三菱地所設計が紹介されました。

中村副会長が中締めの挨拶


中締めの挨拶を同協会副会長で株式会社オカムラ 代表取締役 社長執行役員の中村雅行氏が行い
「先週全米のオフィス家具見本市NeoConへ1週間行って帰ってきたのですが、アメリカに1週間居るとアメリカ人と日本人のメンタリティがこんなに違うのかとつくづく思います。先日ある雑誌を読んでおりますと、アメリカ人と日本人では何が違うのかについて書いてあり、ある文化人類学者のタイト/ルーズ理論というのがありました。タイトはきつい、ルーズは緩やかだということで、ある社会で例えばエレベーターの中で物を食べてもいいのか、葬式でいちゃついていいのかということなどをずっと聞いていくと、強要してこれは絶対だめだという一つの方向にまとめてしまうのがタイトな社会だというのです。何でもいいよと認めてくれるのはルーズな社会で、タイトの代表が日本なのだそうです。レストランで騒いでいるとお静かにといわれます。アメリカのレストランへ行くと全員大きい声でしゃべっている。そういうタイトな社会の日本人の得意な技は何かというと大量生産とか細部までこだわったものづくりだそうです。ルーズな社会の代表はアメリカだそうですが、色々な人の考え方があり、得意なことは迅速なイノベーションだそうです。その中間にあるのがドイツ。日本は決められたことを皆同じようにやるということがすごく得意なのです。

オフィスづくりと同時に使うことの進化を

ニューオフィス推進協会の日経ニューオフィス賞も38回目。これのおかげで日本のオフィスも様変わりというか、ものすごくいいオフィスができるようになってきました。色々なオフィスを見るとこれが本当に日本のオフィスか、というような内装ができてきました。でも、アメリカに比べてそのオフィスの使い方がまだまだ画一的だなと思います。ですから働き方をもっと柔軟にするとか、色々なことを取り入れてもっと新しいこととか、コミュニケーションを若い人たちがもっと自由に大きな声で、オフィスのなかでやり合うみたいなことを文化として根付かせていかないと、せっかくお金を投じていいオフィスをつくっても、本当に使い倒すことにならないのではないかという気がします。
これからニューオフィス推進協会が、いいオフィスをつくっていく、表彰していくことも必要ですけれども、一方で使うということをどうやって進化させるか。そちらも同時にやっていかないと本当の日本の競争力がつかないのではないかという気がしてアメリカから帰ってきました。
ここにいらっしゃる方々、日本の競争力をいかにしてつけていくか。日本のオフィスづくりはある程度のところまで来ましたけれども、働く人達がそれをうまく使ってさらに日本が発展するようにぜひ頑張っていきたいと思います」などと述べ、三本締めで懇親会を締めました。

Follow me!