JFMA、第19回 日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメントフォーラム2025)開催

会場開催は2025年2月25日(火)、JFMA賞授賞式や基調講演、ネットワーキングパーティなどを実施

授賞式出席者の記念撮影

公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は、2025年2月1日(土)から28日(金)まで、「第19回ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメントフォーラム2025)」を開催しました。
ファシリティマネジメントは、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」であり、人事、財務、情報システムに次ぐ「第四の経営資源」だといいます。
今年19回目となるファシリティマネジメントフォーラム2025は、「FMネクストステージ ―サステナビリティ・地方創生・成長―」をテーマとし、FM(ファシリティマネジメント)の視点から環境、社会、経済などのサステナビリティ(持続可能性)や東京圏に留まらない全国に向けた地方創生と成長について考えていくとしています。

同フォーラムでは、基調講演や特別講演をはじめ、多数の講演がオンデマンド配信。
また、2月12日(水)には「ミライの働き方 みんなの座談会」をコクヨ THE CAMPUS CORE (東京都港区)にて開催。

さらに、2月25日(火)には、御茶ノ水ソラシティ(東京都千代田区)において、会場講演と対談、ネットワーキングパーティ、JFMA賞授賞式を行いました。

【会場開催】

2月25日(火)御茶ノ水ソラシティにおいてJFMA賞授賞式、会場講演と対談、ネットワーキングパーティを行いました。

■JFMA賞授賞式

日本ファシリティマネジメント大賞 通称JFMA賞の 授賞式では、冒頭同協会専務理事の成田一郎氏が、同賞の説明を行いました。
同賞は、FMに関する優れた業績等を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資することを目的とするといいます。
主催者代表挨拶を同協会会長の米倉誠一郎氏が行い
「皆さん本当におめでとうございます。自画自賛ではないですが本当に素晴らしい賞が集まりました。まさにファシリティマネジメントが営繕や管財の仕事を越えて本当にファシリティをマネジメントしていくんだ、それが未来につながるんだ、持続的発展につながるんだということ。(トランプ政権の誕生で)世界が停滞している間に日本のファシリティマネジメントがこの分野をどんどん進める。日本のファシリティマネジメントというのは本当にすごいなといわれる大チャンスが巡ってきていると思います。そういう意味で今日皆さんが受賞された内容は素晴らしい。これを日本に、世界にどんどん広めていくということが大事だと思います。」などと述べました。

挨拶をする米倉会長


続いて審査委員の紹介が行われました。今回審査にあたった審査委員は以下のとおりです。
委 員 長 北川 正恭氏 (早稲田大学 名誉教授)
副委員長 深尾 精一氏 (首都大学東京 名誉教授)
      伊藤 裕美氏 (経済産業省 製造産業局 生活製品課 企画官)
      猪股 篤雄氏 (神奈川県 政策推進担当 非常勤顧問)
      佐藤 由美氏 (国土交通省大臣官房 官庁営繕部長)
        長澤 泰氏 (東京大学・工学院大学 名誉教授/
一般財団法人ハピネスライフ財団 理事長)
      タライエ ファラ氏
(NewNormDesign Founder/Designer Sustainability consultant)
        安達 功氏 (株式会社日経BP 総合研究所 フェロー)(当日欠席)
仲 隆介氏 (Naka Lab.代表・京都工芸繊維大学 名誉教授)     (当日欠席)      
      村田 博文氏
(株式会社財界研究所 代表取締役/総合ビジネス誌「財界」主幹)
(当日欠席)
      成田 一郎氏
(公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会 専務理事)

審査員の方々

第19回日本ファシリティマネジメント大賞 JFMA賞 授賞式では以下のFM実践組織・個人、サービス提供者が表彰され、それぞれ受賞者の代表が受賞の挨拶を述べました。

優秀ファシリティマネジメント賞 (9件)〈内一件に最優秀ファシリティマネジメント賞 (鵜澤賞)〉
最優秀ファシリティマネジメント賞 (鵜澤賞) 
応募タイトル: 経営の想いを具現化し進化しつづけるFMの取り組み
FM実践組織:富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
富士フイルムビジネスエキスパート株式会社
サービス提供者:(株)アイキューブソリューションズ、
(株)シープランニング
三井不動産ビルマネジメント(株)

授賞式の様子

優秀ファシリティマネジメント賞
応募タイトル: 働く場所の自律的な選択を推進するワークプレイスの具現化をコスト効率高く実現
FM実践組織:株式会社リクルート
サービス提供者:(株)GOOD PLACE
(有)ジャモアソシエイツ

応募タイトル: 築50年ビルと挑むオフィス改革~培ったFMナレッジの全国展開
FM実践組織:損害保険ジャパン株式会社
サービス提供者:SOMPOコーポレートサービス(株)
(株)ワークパス
パーソルファシリティマネジメント(株)
(株)イトーキ
(株)Hite & Co.

応募タイトル:“Future of Work”の実験・実践と進化する運用
FM実践組織:ジョーンズ ラング ラサール株式会社

応募タイトル:世紀を超えて続くオフィスのRe-Novation
FM実践組織:第一生命保険株式会社
サービス提供者:清水建設(株)
(株)イトーキ

応募タイトル: “目的地”となるオフィスを実現する“アジャイル”FM戦略
FM実践組織:森トラスト株式会社
サービス提供者:森トラスト・ビルマネジメント(株)
(株)オカムラ
SIGNAL Inc.
(株)建築設備設計研究所

応募タイトル:馬場川通りアーバンデザインプロジェクト
FM実践組織:一般社団法人前橋デザインコミッション

応募タイトル:未来の世代に責任をもつ循環型FM+PPP
FM実践組織:京都府福知山市
サービス提供者:(株)京都銀行
京都北都信用金庫

応募タイトル:ホテル事業におけるSPC実現に向けたFMの活用
FM実践組織:株式会社金沢彩の庭ホテル

特別賞 (1件)
応募タイトル:未来へつなげるFMオフィス推進活動-清水建設北陸支店新社屋-
FM実践組織:清水建設株式会社
サービス提供者:金沢工業大学名誉教授 垂水弘夫
早稲田大学教授 田辺新一
千葉工業大学教授 望月悦子

技術賞 (2件)
応募タイトル:AIによる省エネ制御~既存建造物の快適性を損なわずCO2削減~
FM実践組織:株式会社アドダイス

応募タイトル:ミュージアムタワー京橋 BIM活用型FMプラットフォームの構築
FM実践組織:株式会社日建設計 
株式会社永坂産業 
公益財団法人石橋財団

功績賞 (2件)
応募タイトル:公共FMに資する固定資産台帳に基づく施設資産評価に関する研究(博士論文)
FM実践個人:斉藤孝治氏(名古屋大学 大学院環境学研究科 助教)

応募タイトル:書籍『現代の建築プロジェクト・マネジメント 複雑化する課題を読み解く』
FM実践組織:一般社団法人建設プロジェクト運営方式協議会

奨励賞 (4件)
応募タイトル:福山市本舎施設整備におけるFMの取組
FM実践組織:広島県福山市
サービス提供者:(株)NTTファシリティーズ
(株)フジタ

応募タイトル:中小企業経営に役立つFM
FM実践組織:倉沢建設株式会社
サービス提供者:(株)加藤設計
(株)堀江建築工学研究所
(株)イノベックス

応募タイトル:坂戸市における学校施設の長寿命化について
FM実践組織:埼玉県坂戸市
サービス提供者:(株)URリンケージ
(一財)日本建築センター

応募タイトル:FM-Base設立による施設管理員早期育成への取り組み
FM実践組織:NECファシリティーズ株式会社

審査委員長総評ならびに審査委員講評

続いて審査委員長の北川 正恭氏が総評として
「本日受賞された皆様本当におめでとうございます。今回受賞の審査をしておりまして感じましたことはやはりFMがまさに時代の要請を受け新しい時代、いわゆる草創期から成長期に完全に入ってきたということでした。コロナのパンデミックにより働き方改革が大きく前進しそれを支える需要な要素としてFMが働きをしているということが世間全体に意識されたことだと思います。

総評を行う北川委員長


最高得点を得た富士フイルム2社の努力は2013年から2024年の十数年間に亘る熱心な担当者の皆様方が毎月経営トップ層にレポートをされ、そして協議をして全国に330あった拠点を280に減らすとか、あるいは賃借料を30%カットするとかそういった経営効率を高めるための努力もさることながら、FMを通じて企業のパーパスやwell-being、あるいはエンゲージメントを高めるという質的なことに関しても、専門家の皆様方が経営トップ層を口説かれてマネジメントサイクルを継続していわゆるマネジメントサイクルを見事回された成果が審査員の高い得点につながっていると思います。
損保保険ジャパンの場合は熱心に経営層と話しをして、自分たちの地位が社内でだんだんと上がっていき、社員教育を熱心にされ、認定ファシリティマネージャーの人たちが20名を超えるなど、担当の仕事から経営トップ層の仕事に専門家が押し上げてきたという点でも表彰をさせていただきました。
金沢彩の庭ホテルは社長自らが認定ファシリティマネージャーの資格を持ちCSを高めるためには何よりもESを高めるということを徹底し、インバウンド効果によって外資に伍して成果を上げている。
倉沢建設は9人という小さな事業所ながら社長自らが認定ファシリティマネージャーの資格を持ち、街の建設のかかりつけ医というプライドをもって自らの社屋のZEBにしてそれを梃に営業活動を活発に行っている点は立派な業績だと思います。
京都府福知山市は、合併によって余ってきた施設を京都市内にある民間金融機関とタイアップしながら公共の仕事を官の独占物ではなく民間の知恵を借りるという働き方をFMが大いに働いて来たということ。
まさにFMが成長期に入ったということを認識していただき、新しい時代が開けていくように一層のご活躍の期待を申し上げたいと思います」などと述べました。
続いて審査副委員長の深尾 精一氏が講評を行い
「今回の受賞式も大変充実したものになったと思いますが、その過程を見ていくと何と幅の広いバリエーションの多い賞なのではないだろうかと思われたのではないかと思います。審査をするなかで同等に審査をしていっていいものだろうか。自分自身がこの20年間を経て、最初にストックをいかに活用するかという時代に入ってくる。今日発表された、皆様のものはかなり素晴らしい建築をどうマネジメントしていくかということが多かったのですが、例えば地方自治体が抱えているものは決してそういう建物ばかりではなくB級の建築もたくさんあるなかでそれらをどういうふうにマネジメントしていくか、そういう努力を全国でいろいろとやられていると思うので、そのような方々に来年以降たくさん応募していただきたいと思っております」などと述べました。
その後、出席の審査員の講評が続きました。

講評を行う深尾副委員長

■会場講演・対談

授賞式に続いて会場講演が行われました。
会場講演は、経営戦略としての働き方改革 ~多様な人材が活躍できる環境へ~で、講師は
株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長小室 淑恵氏
講演に先立ち再び米倉会長が挨拶を述べ
「日本ファシリティマネジメント大会(ファシリティマネジメントフォーラム2025)は今回で19回目、我々は敢えて『FMネクストステージ ―サステナビリティ・地方創生・成長―』ということをテーマにしました。


ご存じのように人、もの、金、情報という経営4資源、その内の人、人的マネジメントがよくいわれるようになりました。
金はファイナンシャルプランナーから始まって色々といわれています。情報はありとあらゆるところで情報を効率的に。もの、実はこれ大事ですね。皆さんが働く貴重なアセットであり、それをどうやって考えていくのか。我々はFMというものが本当に経営のど真ん中に来たなということを認識しております。
この講演の前に行ったJFMA賞の表彰においても、営繕とか管理などを越えて経営と一緒になってどのようにするのかということになっています。少ない資源でより効果的な経営を行っていくのか。そういったことが今度は地方創生につながっていきます。さらにサステナビリティこそが成長の源泉です。
今のような時こそチャンスです。このようなときに一歩一歩、日本ってすごいなと。ファシリティをマネジメントして21世紀を22世紀につなげようとしているのだということを証明する。それがイコール成長なのです。
今回の講演は、本当に我々は効率的だったのか。生産性を上げてきたのか。ワーク&ライフバランスの代表的論者である小室さんに経営戦略として働き方改革を真ん中に据えなければならないのかというお話をお聞きしたいと思います」などと述べました。

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長小室 淑恵氏が、「経営戦略としての働き方改革 ~多様な人材が活躍できる環境へ~」を行いました。

講演を行う小室氏


冒頭、小室氏は起業して来年で20年。それまでに約3000社の働き方の支援をしてきたといいます。色々な働き方の変革のやり方があるけれども、だいたい8カ月タームで3,4年携わることが多いが、その3年目くらいから、業績が大変良くなってくる。それと同時期に結婚や出産する人が倍くらいになる。狙ったことは何もしていないのに働くことと従業員と家族のハッピーが増えてくるとし、それが定着率にもつながるといいます。どうしてそのような変化が出てくるのか、業績とどうつながっているのか、前半でそれを知ってもらうとしました。後半は色々な業種、業界の事例を示し、アクションにつなげてほしいとし、多様な人材が活躍できる環境を一緒に考えていきたいなどと述べました。

講演に引き続いて
小室氏と米倉会長による対談が行われました。

対談の様子

■ネットワーキングパーティ

ネットワーキングパーティ並びに第19回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)授賞祝賀会では、冒頭、米倉会長が挨拶を行い
「今日小室さんの講演を聞いて分かったのは日本国全体の生産性を上げる、それだけではなく、静かなる有事の少子高齢化。皆が結婚したい、子どもを育てたいと思う世の中にして、なおかつ生産性を上げて給料を上げ、妻からのリスペクトも得るという良いお話が聞けました。
FMは本当に大事です。トランプ大統領がいえばいうほどチャンスです。日本の一人勝ちの時代が来たなと。我々はどこにいくのか、我々の未来はどこにあるのか。これからもFMを頑張っていきたいと思います」などと述べました。


講演・対談を行った株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長小室 淑恵氏が再び紹介されました。
乾杯の発声を今フォーラムのPRIME SPONSORで特別講演「経営とIT、そしてFMで未来を拓く」を行った株式会社アイスクウェアド代表取締役社長の蔵知弘史氏が行いました。

乾杯の発声をする蔵知氏

歓談の様子

和やかな歓談の後、パーティは盛況の裡に終了しました。

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