イトーキ、瀬戸内での実証実験結果を公開

ワーケーションでチームワークや議論の質が向上

「ウェルビーイング」「仕事への意欲」「チームの連携」「ワークショップの質」などでポジティブな結果に

イトーキは、2025年4月18日(金)から開催された「瀬戸内国際芸術祭 2025」のパートナーとして、舞台となる直島や豊島を中⼼にワーケーションの実証実験をパナソニック エナジー株式会社と⾏った」といいます。
ワーケーション前後で参加者に実施したアンケート調査では、「ウェルビーイング」「仕事への意欲」「チームの連携」「ワークショップの質」などの指標でポジティブな結果となったとしています。

■調査ハイライト

・疲労感33%減少・幸福感23%が最大増加──ウェルビーイングの劇的な改善
・ワーク・エンゲージメントが最大18%向上・仕事における成長意欲が最大17%向上──仕事への意欲と取り組む姿勢に前向きな変化
・参加者間のソーシャル・キャピタルが最大51%向上──チームの繋がりが大きく深化
・普段と違う意見が出やすい、アイデアが浮かびやすい──議論の質が向上、創造的な対話を促進
※割合は、実施前を100%とした場合の変化率。

■調査背景

2022年、イトーキは新たな働き方の可能性を探る取り組みの一環として、パートナーとなっている「瀬戸内国際芸術祭」の舞台でもある直島や豊島を中心にワーケーションの実証実験を行ったといいます。アート体験を取り入れながら「ソロワーク(個人の活動)」に与える効果を検証した結果、仕事のパフォーマンスやウェルビーイングへの好影響が確認できているとしています。
そして今年、同社は引き続き「瀬戸内国際芸術祭 2025」のパートナーとして、ワーケーションの実証実験を実施。今回は「チームワーク」にフォーカスし、ワークショップを取り入れながらチームのパフォーマンスやエンゲージメントに与える具体的な影響の可視化に取り組んだとしています。

■ワーケーション実証実験の結果

【1】ウェルビーイングの劇的な改善

最初に注目すべきは、参加者のストレス指標に大きな変化が見られた点だといいます。疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴(食欲不振や睡眠障害など)は実施直後から大幅に軽減され、2週間後もその効果は持続していたとしています。具体的には、実施後に最大で疲労感が33%、不安感が30%、抑うつ感が31%、身体的愁訴(食欲がない、よく眠れない)が24%の減少という結果が得られたとしています。


さらに、主観的幸福感は実施直後から向上し、その傾向は2週間後も継続。プレゼンティズム(自覚的な仕事のパフォーマンスの発揮度)も同様に改善が見られたといいます。主観的幸福感は実施後に最大23%の向上、プレゼンティズムは最大16%の向上と、ワーケーションが心身の健康を土台から支える効果が数値として可視化されたとしています。

【2】仕事への意欲と姿勢にも前向きな変化

参加者の仕事に対する意識にもポジティブな変化が生まれたといいます。ワーク・エンゲージメント(仕事への没頭・熱量・活力)は実施後に最大で18%向上。仕事における成長意欲も17%、業務への積極性についても14%の改善が見られたとしています。
こうした数値からは、ワーケーションが心身のリフレッシュにとどまらず、仕事への主体的な関わり方を高めることにつながっていることが読み取れるとしています。

【3】チームの繋がりが飛躍的に向上

今回の実証では、個人レベルの変化にとどまらず、チーム間の関係性にも明確な効果が確認されたといいます。メンバー同士の思いやりや相互理解、協力意識といった“人と人とのつながり”を示す「ソーシャル・キャピタル」の指標は、実施直後から大きく向上し、その後も持続的な効果が見られたとしています。
このソーシャル・キャピタルは、今回調査した全ての項目の中で最も大きな変化率を示しており、実施前に比べて最大で51%の改善という結果になったといいます。非日常の環境で、同じ時間を共に過ごすことの価値が、数値でも裏づけられたとしています。

【4】議論の質が向上、創造的な対話を促進

最終日のワークショップでは、普段の業務と比較して、自由で活発な議論が展開されたといいます。参加者からは「新しい視点が生まれやすかった」「意見が自然に出てきた」との声が多く、発言のしやすさや協力意識の向上も確認されたとしています
一方で、参加者の60%は議論のまとまりやすさには大きな変化が見られなかったと回答しており、ワーケーションにおいて行ったワークショップが特にアイデアの発散や多様な視点の獲得に効果的であることが示唆されたとしています。

■総括

「環境が働き方を変える」──ワーケーションの実証結果を、新しい働き方のヒントに

株式会社イトーキ ワークスタイルデザイン統括部第1デザインセンター3ルーム 室長 武田 勇氏

今回の実証を通じて、ワーケーションが個人とチームの両面に与える具体的な変化を、数値として明確に捉えることができました。特に、疲労感や抑うつ感などのストレス指標が実施直後から大きく改善し、その効果が2週間後も持続していた点は、私たちがこれまで感覚的に捉えていた「環境が人に与える力」が伺えます。
また、幸福感やプレゼンティズムの向上とともに、仕事への関与度や成長意欲が高まるという結果は、単なるリフレッシュではなく、働く人の「内側からの意欲」に火をつける仕組みとしての可能性を感じています。さらに、ソーシャル・キャピタルの大幅な向上は、共通体験の力がチームの土台を強化することを強く示しており、これは組織づくりの観点からも非常に示唆に富む結果でした。
今後は、今回の実証実験で得られた知見をもとに、より良い働き方の実現に向けた取り組みを一層深めていきたいと考えています。働くことが単なる業務遂行にとどまらず、心身の健康やチームとの信頼関係、そして創造性の発揮にもつながるような環境や仕組みを、現場の実践とデータに基づいて検討していきます。
働き方を取り巻く環境が大きく変化するなかで、個人と組織の双方にとって持続可能で前向きな関係性を築くためのヒントが、こうした実証の積み重ねにあると感じています。今後も多様なパートナーと協働しながら、実践に根ざしたかたちで、働き方の質の向上に貢献していきます。

■実証実験概要

実施時期:2024年11月~12月
実施場所:瀬戸内国際芸術祭のメイン会場である直島と豊島を中⼼に実施
実施内容:2泊3日(⼀部、3泊4日)のワーケーション体験を実施。1-2日目にアート体験、ウェルビーイング体験、人々の交流を、3日目にワークショップを行った。
参加者数:12名(株式会社イトーキ 4名、パナソニック エナジー株式会社 8名)
検証手順:ワーケーション1週間前、実施直後、実施2週間後の計3回のアンケートを実施
検証協力:株式会社TATAMI、株式会社ベネッセホールディングス

■「瀬戸内国際芸術祭 2025」パートナーとして、モバイルオフィスカーを提供

2025年4月18日開幕の『瀬戸内国際芸術祭2025』にあわせ、同社はパートナー企業として「ITOKI MOBILE OFFICE PROJECT -みんなの移動空間-」で企画・製作した特別仕様のモバイルオフィスカーを提供。
社内クラウドファンディングを通じて誕生したこの移動型オフィスは、ワーケーションやレクリエーション用途にも対応。芸術祭スタッフ車両としての活用に加え、社員が実際にワーケーションを体験することで、働き方の実証にも取り組むといいます。
“明日の「働く」を、デザインする。”企業として、瀬戸内の魅力発信と地域活性にも貢献していくとしています。

<瀬戸内国際芸術祭2025 開催概要>

瀬戸内の島々を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典。約100日間の会期は、春・夏・秋の3シーズンに分かれていて、季節ごとに瀬戸内の魅力が体験できるといいます。期間中は約100万人の人々が国内外から訪れる日本を代表する国際的な芸術祭だとしています。

会期
春会期:2025年4月18日(金)~5月25日(日)
夏会期:2025年8月1日(金)~8月31日(日)
秋会期:2025年10月3日(金)~11月9日(日)
島・会場
全会期:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港エリア、宇野港エリア
春会期:瀬戸大橋エリア(春会期)
夏会期:志度・津田エリア、引田エリア
秋会期:本島、高見島、粟島、伊吹島、宇田津エリア

(画像はイトーキ様リリースより)

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