オカムラ、オフィスレイアウト自動生成システムを開発しオフィスの初期設計における試験的な使用を実施

テクトムの建築設計AIプラットフォームとオカムラが長年蓄積してきたレイアウト作成のノウハウを活用した「ワークスペースクリエイター」

オカムラは、建築設計業務のAIソリューション企業である株式会社テクトムと共同で、設計初期段階のオフィスレイアウト案をAI活用により自動生成するシステム「Work Space Creator(ワークスペースクリエイター)」(以下、同システム)を開発し、オフィスの初期設計における試験的な使用を開始していることを2025年3月13日(木)に発表しました。同システムは、テクトムの建築設計AIプラットフォームとオカムラが長年蓄積してきたレイアウト作成のノウハウを活用して開発したといいます。オフィス設計の初期段階において素早くオフィスのイメージを可視化することで、生成されたレイアウト案を起点に顧客とのコミュニケーションを円滑に進めることができ、設計要件の整理や共有の時間の短縮につながるとしています。オフィスづくりにおいて最も重要なオフィスのあるべき姿や働き方についての検討や、オフィス設計の空間デザイナーが創造性を発揮するデザイン業務に多くの時間を充てることが可能になり、顧客へのよりよいオフィス提案に貢献するとしています。

AIによる生成レイアウトイメージ

同社によると、働き方の変化に伴い、多様な働き方に対応するためにオフィスの改装や移転を行う企業が多くなっているといいます。オフィスづくりにおいては、オフィスの空間デザイナーがレイアウト図面を作成し、顧客へ提案を行いますが、案件の増加や要件の複雑化に伴い、規模や用途の違うオフィス一つひとつの要件を整理する初期段階での作業負荷が高くなっているとしています。これにより、本来のデザイン業務であるインテリア設計の検討時間が圧迫されていることが課題となっているといいます。

同システムは、オフィス設計の初期段階において、オフィスの躯体図面の読み込みとともに席数や用途などの要件を入力すると、オカムラの知見を学習させたAIにより、複数のレイアウト案を自動で生成することが可能だといいます。同システムのAIには、オカムラのワークデザイン研究所で長年蓄積してきたレイアウトの構成や規則性に関する知見を学習させており、自動生成するレイアウト案の精度確保につなげているとしています。

同社では、オフィスの初期設計において同システムの使用を試験的に開始しているといいます。設計の初期段階において素早くオフィスのイメージを可視化することで、不足している要件の確認や生成されたレイアウト案をもとにした顧客との議論を進めることができ、設計要件の整理や共有を効率的に行うとしています。オフィスづくりにおいて最も重要なオフィスのあるべき姿や働き方についての検討に多くの時間を割くことができるようになるとともに、空間デザイナーが、創造性を発揮するデザイン業務に多くの時間を充てることが可能となるといいます。同システムの使用を通じて、顧客へのよりよいオフィス提案に貢献するとしています。

同システムは、2024年11月頃から試験的な使用を開始していて、使用を通じてさまざまな効果や課題が得られているといいます。設計初期段階の検討を行うツールとしては、スケッチやCADを使った作業に比べて、圧倒的に作業時間が短縮できているとしています。顧客企業におけるオフィス改装・移転のプロジェクト化により、これまでオフィスづくりにあまり関わりのなかった立場の人が現場の意見を持った担当者としてプロジェクトに加わるケースが多くなっており、同システムによる設計初期段階でのオフィスイメージの可視化は、顧客と共通のイメージを持ってプロジェクトを進められるツールとして有効だといいます。課題としては、生成AIの使い勝手や精度のさらなる向上・改良、デザイナーによって良いとする基準や配慮したいポイントが違い、全てのデザイナーが満足するシステムとしてどこまで対応するかという検討などがあがっているとしています。

引き続き、同システムの使用とともに改良・更新を図るとともに、複雑なレイアウトの生成やオフィストレンドに合わせたレイアウト生成などへの対応を目指していくとしています。

■背景となるオカムラの取り組み

オカムラのワークデザイン研究所では、40年以上にわたり働き方や働く空間の研究を続けているといいます。その中で、AI技術の発展による活用の機会を見据え、オカムラの空間デザイナーが培ってきたレイアウト設計のノウハウを長年蓄積してきたとしています。

また、オカムラではDX戦略における取り組みの一つとして、DX人財育成プログラム「DXラーニングプラットフォーム(DXLP)※」を実施しており、従業員からのビジネスアイデアや業務改善アイデアをプロジェクト化し、先端のデジタル技術の活用を通じた課題解決、業務改善を積極的に行っているといいます。同システムの開発は、「DXLP」からの業務改善アイデアがベースになり、株式会社テクトムの建築設計AIプラットフォームの活用によって実現したとしています。

※オカムラグループ内の幅広い領域でDXリテラシーの高い人財を育成することで、現場からDXアイデアが湧き上がる文化を醸成することを目指した取り組みだといいます。社内でDXに興味のある受講者を募り、デジタル技術やデザイン思考などを学んだ上で、新規事業や業務改善の提案を実施、特に優れたものは役員プレゼンを経て実現に向けてプロジェクト化するとしています。

オカムラのDXの取り組み

オカムラは、変化の激しいビジネス環境下で多様化するニーズや働き方の急激な変化、社会課題に柔軟かつ機動的に対応するため、AI・IoT・ロボティクスなど、先端のデジタル技術を活用し、経営戦略の一環としてDX推進を強化するといいます。各事業における製品・サービスに対するDXや、さまざまな業務プロセスにおけるDX、データを活用した経営管理の高度化、DX人財の育成、システム基盤強化などのDX戦略に基づき、顧客の体験価値向上と業務の効率化に向けて、DX推進に取り組んでいるとしています。

ワークデザイン研究所について

オカムラは、1945年の創業以来、オフィス家具を製造・販売するとともに、働く空間を作ってきたといいます。1980年から働き方や働く空間に関する研究機関を設け、調査・研究を続けており、各種学会や研究会、冊子の発行、オカムラウェブサイトでの情報公開などを通して、その知見を広く社会に発信しているとしています。

(画像はオカムラ様リリースより)

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