コクヨ、多様な活動が交差する、ファミレスのような学びの場「DIG」をオープン
社員の知の探求・探索と、社内に蓄積する暗黙知と情熱を共有するコクヨ初の人材育成施設
2025年1月9日(木)にはメディア内覧会を開催
コクヨは、東京品川オフィス「THE CAMPUS」至近に、社員の自律的な探求・探索活動と、コクヨグループに蓄積する暗黙知と情熱の共有を実践するための同社初となる人材育成施設「DISCOVER & SHARE PLACE DIG(ディスカバー アンド シェア プレイス ディグ)(以下、DIG)」を、1月15日(水)にオープンしました。

コクヨは、2021年2月に「長期ビジョンCCC2030」を策定以降、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、文具や家具にとらわれない事業領域の拡張を推進してきたといいます。2023年3月には人材マネジメントポリシーを制定、翌年11月には第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」を発表。人材を社会の財産ととらえ、採用と育成を強化し、これまで培ってきた同社の強みに各事業のナレッジを掛け合わせることで、事業間シナジーの最大化に取り組んでいるとしています。
その一環として、社員同士が学び合い、事業横断でコクヨグループ内にある暗黙知と情熱を主体的に共有し合うための人材育成施設「DIG」を開設したといいます。同施設は学生から大人まで、多くの人が学びの場として利用する「ファミリーレストラン」を参照し、個人やチームの活動に没入できるボックス席をメインに、ドリンクバーやライブラリーなどを点在させる空間構成となっているといいます。ファミリーレストランのように施設内を歩きまわることで、社員が周囲の活動から様々な刺激を得られる空間を目指したとしています。
「DIG」は、会社が提供する人材育成プログラムのほか、語学や資格取得といった社員個人の自己研鑽のための活動、社員主催の勉強会、新規事業開拓に関する活動などで使用するとしています。
コクヨらしい学びの在り方を実現し、自律した個が協働しながら新しい価値を創造する企業になることで、「長期ビジョンCCC2030」の達成を目指すとしています。
1.施設名「DIG」について
「DIG」という名前には、社員が好奇心をもったテーマを自主的に掘り進めていくことで、新たな発見や発掘があり、それをシェアすることで仲間との出会いが生まれるような、「社員同士が結い合い、学び合い、深く探求する場所にしたい」という想いが込められているといいます。

2.「DIG」の特徴
(1)多様な活動が交差する「ファミリーレストラン」を参照
最大36名収容可能な大人数向けの研修スペースのほか、チームで没頭できるボックス席や、施設内の移動を促すドリンクバーやスナックバー、ライトミールバーを設け、社員が周囲から様々な刺激を得る仕掛けや、食事やドリンクを楽しみながらチームで学び続けられる環境を用意したとしいています。


(2)結い合い、学び合いながら、個人と会社の成長を目指すリアルな場
コクヨは、事業間のナレッジを掛け合わせ、連携を強化させていくことでシナジーを生み出し領域をさらに広げていくことを目指しているといいます。その実現のためには、「結い合い、学び合う」組織風土を醸成し、事業横断で社員が暗黙知や情熱を主体的に伝え合う文化を生み出すことが第一歩だと考えているとしています。同施設は、業務につながるナレッジの勉強会から、これからのコクヨをつくる探求活動まで、目的や規模も様々な活動を受け止められる空間となっているといいます。開催予定の勉強会や他の利用者の探求テーマを知ることができるサイネージなど、社員同士を結ぶ仕掛けも用意したとしています。
(3)外部クリエイターとコクヨデザイナーが協働して設計を担当
本施設のクリエイティブ・ディレクションは株式会社DDAA代表の元木大輔氏をディレクターとして招き、コクヨのプロダクト・インテリアデザイナーが協働して設計を行ったといいます。

3.「DIG」の使用イメージ
講師と生徒の関係がベースとなる教育・学習や、個人やグループを分母とする自分らしい探求活動など、主に4つの「学び」での使用を想定しています。
(1)会社が提供するプログラムへの参加
コクヨの人材育成機関「コクヨアカデミア」が主催する社内複業制度「20%チャレンジ」、実践型研修プログラム「マーケティング大学」「マーケティング大学院」、デジタル人材教育・実践プログラム「KOKUYO DIGITAL ACADEMY(コクヨ デジタル アカデミー)」など、会社が提供する人材育成プログラムに関する活動を行うことができるといいます。
(2)自己学習
語学や資格取得の勉強、読書、ウェビナーの視聴など、社員個人の自己研鑽のための活動を行うことができるとしています。
(3)社員主催の勉強会
社員が自由にテーマを設定でき、自身の経験や専門知識・ノウハウを社内で共有したり、関心のある物事について互いの意見や考えを交換し合ったりする場として活用することができるといいます。例えば、新しい技術や業界トレンドの紹介、業務効率化のためのツール活用術、趣味を活かしたクリエイティブなアイデアの共有など、多岐にわたるテーマ設定が可能だとしています。
(4)探求・探索活動
これからのコクヨをつくるため、コクヨの新規事業のアイデア創出やプロジェクト企画にゆるやかにつながる探究テーマを自主的に取り組む場として活用することができるといいます。サステナブルな未来のための活動コミュニティやコミュニケーション促進アプリ開発など、コクヨの成長のタネになる実験をすることが可能だとしています。
4.「DIG」の施設情報
・名称:DISCOVER & SHARE PLACE DIG (ディスカバー アンド シェア プレイス ディグ)
・所在地:東京都港区港南1丁目8-27 日新ビル1F-2F
・面積:1F 173.6㎡/2F 316.4㎡
【参考】
1. 長期ビジョンCCC2030について
同社によると、同社を取り巻く事業環境は、デジタル化の進展やそれに伴う働き方や学び方の多様化により、大きく変化しているといいます。同社は変化する顧客ニーズを捉えて事業領域を拡大し、「働く」「学ぶ」「暮らす」の領域で新しい体験を顧客に届けるために、2021年に「長期ビジョンCCC2030※1」を策定したとしています。具体的には、コクヨグループの強みを発展させてさらなる成長を実現するために「森林経営モデル※2」への変革、事業においては、成長戦略として「顧客体験価値の拡張」に取り組むことで、2030年に売上5,000億円の達成を目指すとしています。
※1.CCCとは、「Change, Challenge, Create」を表すといいます。
※2.森林経営モデルとは、森林の土壌にあたる「ワクワク価値創出サイクル」を回し、各事業のナレッジを有効活用しながら、次々と新しい事業を生み出し、サステナブルに成長していく多様な事業の集合体を表すとしています。
2. 人材マネジメントポリシーについて
コクヨの人材のコアコンピタンスが何かを明文化し、どの事業領域においてもコクヨらしいクリエイティビティを発揮することが可能となるように、2023年3月に「人材マネジメントポリシー」を策定したといいます。これは、長期ビジョンの実現に必要な人材の活躍を促進するための指針であり、人材を社会の財産と捉え、一人ひとりの可能性に伴走しながら、事業成長と社会に貢献できる人材を輩出することを目指しているとしています。
3. 第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」について
「長期ビジョンCCC2030」及びその先を見据えた成長に向け、大きく成長に舵を切るフェーズと位置づけた第4次中期経営計画を2024年11月に発表したとしています。
4. 株式会社DDAA/株式会社DDAA LABについて
DDAAは建築、都市計画、ランドスケープ、インテリア、プロダクト、コンセプトメイキングなどの様々な分野で活動している建築・デザイン事務所だといいます。また、DDAA LABという、建築的な思考を軸に、独自のリサーチやプロトタイピングを通して社会性のある実験的なデザインを自主的に行うプラットフォームをもち、ふたつのチームがお互いにフィードバックを繰り返しながら、イノベーティブなアイデアを社会に提供することを目的としているとしています。
2025年1月9日(木)にはメディア内覧会を開催
2025年1月9日(木)には同プレイスにおいてメディア内覧会を開催しました。
メディア内覧会の内容は以下の通りです。
① 挨拶・コクヨの人材開発戦略の概要説明
登壇者:執行役員 ヒューマン&カルチャー本部長 越川 康成 氏
② 新人材育成施設「DIG」の詳細説明
登壇者:働き方改革推進総務部 統括部長 新居 臨 氏
③ クロストーク「『両利きの経営』に必要な企業の"学び"と"場"の在り方とは?」
登壇者:早稲田大学大学院経営管理研究科 早稲田大学BS教授 入山 章栄 氏
執行役員 ヒューマン&カルチャー本部長 越川 康成 氏
④ 質疑応答
⑤ 新人材育成施設「DIG」見学
DIG構築の背景を越川本部長が説明
メディア内覧会の冒頭、挨拶に立った執行役員ヒューマン&カルチャー本部長越川康成氏は、自己紹介のなかで、ヒューマン&カルチャー本部の下に働き方改革推進総務部があること、コーポレーションコミュニケーション室のリチャージ、人材育成の専門機関であるコクヨアカデミアの学長も兼任しているといいます。越川氏は20年来ファーストリテイリングで人材育成に携わるなどを経て2年前にコクヨに入社、これまでの経験を踏まえて、コクヨをさらに成長させることに取り組んでいるとしました。
DIG構築の背景について越川氏は、2025年から3カ年の第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」のなかで、2030年までにワークプレイス並びにステーショナリーにおいてのアジアナンバーワンのブランドを目指しているといいます。その先にグローバルでのナンバーワンを目指すというビジョンを掲げているとし、ここ20年程について3000億円規模であった売上について、同社の事業を通じて社会を良くするというインパクトをより大きくするために5000億円を2030年までに目指し、成長の角度を上げていこうとしているとしています。

「人間性あふれるコクヨらしいクリエイティビティ」
その成長していくうえでの一番のポイントは、自分たちの持っている強みをいかに磨きぬいて、顧客や社会に必要とされるかだといいます。その強みとは何かと考えたときに「人間性あふれるコクヨらしいクリエイティビティ」だと考えているとしました。
越川氏は、入社後100人程に行ったインタビューを通じて、こういうことをやりたいという「will」が野心的というよりも非常にヒューマニズムにあふれたものが多かったといいます。それが大きな特徴ではないかということで1年ほどかけてコクヨらしいクリエイティビティの言語化を行ったといいます。それがこの「人間性あふれる」という表現になっているとして一つの例として品川のTHE CAMPUSを、街に開くオフィスというコンセプトでリニューアルしたことだとしました。
THE CAMPUSのリニューアルにおいては、自分たちだけではなく、周辺の地域の人にとっても豊かになるような場所であってほしいという思いをもって平日だけでなく週末にも人が集うような場所に変えていこうというアプローチを行ったとしています。
そこから越川氏は、マーケティングに基づいた合理的な答えとは違うヒューマニティからあふれてくる、こうありたい、こうあると誰かが豊かになるというのではないかという思いは、なかなかナレッジとして教えられるものではないのではないかと考えているといいます。
そこで越川氏は、さらに昨年11月に開催した社会人の文化祭とも呼べる「カルチャースナック」を例示しました。
B面を披露しあって共感をする場をつくる

同社では、オフィスにおいて仕事をする自分をA面と呼び、一方で人間として仕事以外、例えば趣味や熱中しているもの、自分本来を表現する側面をB面と呼んでいるといいます。そのB面を披露しあってそういう共感をする場をつくろうということで同イベントを開催したといいます。
何故こういうことを大切にするかというと、例えばビジネススクールで経営理論を学ぶことやマーケティングのアプローチで合理的な最適解を出すことはどのスクールでも学ぶことができるけれども、人間性に基づいて、ヒューマニティあふれるこういうことができたらいいのではないかという思いというのはナレッジ、知識として教えられることではないといいます。そのような思いを持っている人の話を聞いて感化される、ということが重要なのではないかとし、同社の人材戦略として、コクヨらしいクリエイティビティを高めるのは、知識ではなくそのような思いを持った一人ひとりのパッションを共有しあうこと。こういう交流が最も大事ではないかと考えているとしました。
実はこの必ず誰しももっているものが普段の仕事に覆いかぶされている。会社で決められたオペレーションが優先されている。やらなくてはならないことはやらなくてはいけないものの、それ以上に一人ひとりの思いに光を当てよう。何をやりたいのか。この小さな種を芽吹かせよう。大切にしようとしているとしました。
「結い合う」ということ
さらにその芽吹いたものも共感してくれる人がいて、その交流が起こることが大事だといいます。それを同社は「結い合う」としているといいます。日本の農耕社会の中で困ったときはお互い様。茅葺き屋根をふき替えるときに皆が総出で手伝うように、同社としては共感し合う、結い合うということを大事にし、そこからお互いの情熱や持っている知識などを交換して学び合うことによってそれによりやりたいことが増え、様々な事業や商品、サービスになっていくというふうに考えているとしました。
今回のこのDIGにおいては、このコンセプトに基づき、研修スペース以外のスペースがすべて人と人が会話をし合う、何かを交換し合う場の設計にしているといいます。
知識は1日で教えることができるが、こういうことができたらいいのではないのではないかという情熱、あるいは人から感化されるというのは会話を通じてというのが一番だと思われるので、日常業務でやらなければいけないとかということを離れて、少し距離を置いて、こういうことができたらいいのではないだろうかとか、こういうことをしたいのだがなかなかうまくいかなくてどうすればいいのだろうかというときに、それに参考になるように経験を持っているような人と交流をすることによって、学び合うことによって成長を促していく。そのような場所にしていこうということでこの場所をつくったとしました。
自分たちの成長に向けたコクヨらしいクリエイティビティ、これをいかに最大化するか。社員と社員がそれぞれ持っている暗黙知、そして情熱を交換し合う場所が一番大事である。ということからこのスペースをつくったとしました。
働き方改革推進総務部統括部長・新居 臨氏が「DIG」の詳細説明
続いて
働き方改革推進総務部統括部長・新居 臨氏が、新人材育成施設「DIG」の詳細説明を行いました。

新居氏は、DIGの正式名称DISCOVER & SHARE PLACE DIGについて、DIGという単語にはもともと「掘る」「広げる」「深める」というニュアンスがあるとし、好奇心をきっかけに掘り進めていくと、その先に何か新たな発見があるのではないか、ということ。もしくは情熱とか発見などをシェアすることで仲間との出会いが見つかる。結い合って学び合うそういった場所にしたい。これから「Let‘s DIG」「DIGりに行こう」「DIGGERになろう」という言葉を発信・浸透させていきたいと述べました。
また、隣接するTHE CAMPUSからの2~3分の移動のなかでモードチェンジをするといいます。
意匠に関しても、1mのラインですべての環境が切り替わっているといいます。そこから掘りこんだようなデザイン。そういう思想・コンセプトで環境を構築しているといいます。
また、キーワード「ファミリーレストラン」をモチーフにして環境を構築したとしています。クリエイティブ・ディレクションを株式会社DDAA代表の元木大輔氏に依頼。コクヨの中堅・若手のプロダクト・インテリアデザイナーなど多様なクリエイターが参画。この構築のプロセスそのものが1つの学びのプログラムであるとしました。
2025年の定量目標としては、社内の講師を育て、社内のなかでの学び合いのサイクルをつくるとし、ナレッジシェアにおいては、プログラム数が社内講師50名/年、参加者延べ1000名/年を目指して活動をしてくといいます。
環境利用率を座席設定の50%以上。結果的にパルスサーベイ「自己成長」現状の68ptから上がること。パルスサーベイ「挑戦する風土」現状の71ptから向上することをめざすと述べました。
クロストーク
その後
「『両利きの経営』に必要な企業の"学び"と"場"の在り方とは?」というテーマで、早稲田大学大学院経営管理研究科早稲田大学BS教授・入山 章栄氏と越川 康成氏によるクロストークが行われました。




「DIG」の見学を実施
質疑応答の後、実際に「DIG」の見学が行われました。







(画像は一部コクヨ様より頂戴しました)