コクヨ、コクヨ流インクルーシブデザイン「HOWS DESIGN」のプロセスを経た製品が2024年の目標上市率20%を超える28%を達成
2025年12月3日(火)には報道関係者向けミニセミナーも開催
コクヨは、コクヨ流のインクルーシブデザインのプロセス「HOWS DESIGN」(ハウズデザイン)において、新シリーズ上市率(*1)が28%に達し、2024年の目標としていた上市率20%を超えたことを2025年12月3日(火)に発表しました。

1.HOWS DESIGNのあゆみ
コクヨは、マテリアリティの一つに「社内外のWell-beingの向上」を掲げているといいます。その具体的なアクションの一つが、インクルーシブデザインの商品開発だとしています。障がいを持つ人を始め、社会の様々なバリアに阻まれている当事者の人たちに、製品デザインの初期段階から参画してもらうインクルーシブデザインは、社内外だけでなく社会のWell-beingの向上につながると考えているといいます。
2023年からは、コクヨ流のインクルーシブデザインのプロセスを「HOWS DESIGN」と名付け、本格的に推進してきたとしています。コクヨのマテリアリティにおいては、2024年のコクヨグループの新製品のうち、20%を「HOWS DESIGN」のプロセスを経て開発する目標を定めていたといいます(上市率)。この度、上市率はコクヨグループ全体では28%に達し、事業別でもそれぞれで20%を達成することができたとしています。
「HOWS DESIGN」のワークショップは、これまでに計100回以上開催。製品のユーザーとなる当事者の人たちとの意見交換は、当初の仮説とは異なる視点の課題や困りごとの発見の連続だったといいます。ワークショップで得た気付きや学びを生かして製品開発に取り組み、「HOWS DESIGN」の製品が生まれていくとしています。


2.2024年の代表的なHOWS DESIGN製品の紹介

(1)ハサミ<サクサ>
刃先まで軽い切れ味が好評の「ハサミ<サクサ>」シリーズをリニューアルしたといいます。ハンドルの開閉で刃と刃の隙間を小さくする『傾斜インサート』構造を搭載。特にビニールのような薄いものに対して効果を発揮する製品だといいます。ユーザーの利き手や技量に関わらず、多くの人にとっての快適な「切る」体験を提供するとしています。
(2)カフェチェアー<Hemming(ヘミング)>
「座り心地」だけでなく、椅子を引く、立ち上がるといった動作の「使い心地」に着目することで、手足に不自由のある人も使いやすいカフェチェアーだといいます。片手でも引きやすいハンドルデザインや、引っかかり感を低減したなめらかな脚先、動き過ぎない適度な重量感、体圧を分散するシート形状など、より多くの人が快適に使用できるよう使い勝手を追求したとしています。
(3)持ちやすいバンド付きIDカードホルダー
オフィスの入退室時にセキュリティにかざすIDカード。上肢障がいユーザーの「ホルダーが掴みづらい」という課題から、手を入れる・掴む・引っかけるなど多様な持ち方に対応するバンドを開発したといいます。大きな荷物等で両手がふさがっていてもタッチがしやすい点もポイントだとしています。
コクヨグループは、今後も、「インクルーシブデザインを経た新シリーズ上市率50%以上」という2030年のチャレンジ目標に向けてさらなる推進を図っていくとしています。
【補足】
(*1)上市率について
同社では「上市」の起点となる日が事業ごとに異なるといいます。「2024年に上市する製品」の事業別の定義は以下のとおりだとしています。
ステーショナリー事業:2024年に発売が確定した製品
ファニチャー事業:2024年12月発刊、2025年版「コクヨ総合カタログ(ファニチャー編)」に掲載された製品
株式会社カウネット(ビジネスサプライ流通事業):2024年に顧客が購入できる製品
上市率=2024年に上市する「HOWS DESIGN」のプロセスを経た製品シリーズ数÷2024年に上市する全シリーズ(または2024年に上市する事業ごとのシリーズ数)
報道関係者向けミニセミナーを開催
また、同社は2025年12月3日、社会課題解決を考えるイベント「サステナブルアカデミア」内において報道関係者向けミニセミナーを開催しました。
ミニセミナーの内容は以下のとおりです。
1 コクヨのサステナビリティについて
同社執行役員 監査委員会室長 兼 CSV本部長 梅田 直孝氏が説明を行いました。
2 イノベーションの仕掛け HOWS DESIGN
について
サステナビリティ推進室 理事 井田 幸男氏が説明を行いました。
3 2024年HOWS DESIGN製品紹介
について
HOWSDESIGN製品開発関係者の
グローバルステーショナリー事業本部 開発本部 技術開発センター 藤木 武史氏
ワークプレイス事業本部 ものづくり開発本部 シーティング開発部 林 友彦氏
(株)カウネット MD本部 MD3部 本澤 真悠子氏
がそれぞれ説明を行いました。
質疑応答の後
HOWS DESIGN新製品の展示スペースを見学。実物を見ながらの詳細説明が行われました。

コクヨのサステナビリティについて
ミニセミナーでは
同社執行役員 監査委員会室長 兼 CSV本部長 梅田 直孝氏が登壇し、コクヨのサステナビリティについて説明を行いました。
梅田氏はCSV(Creating Shared Value)、コクヨのサステナビリティや社会貢献を含めた分野全般の責任者だといいます。その前は財務経理本部長、理財本部長を歴任。企業価値とは経済的な価値と社会的な価値との掛け合わせだといいます。財務経理の時は経済価値をいかに上げていくかに注力。現在はそれに同社の社会的価値を掛け合わせて企業価値を向上させ、顧客に応援してもらうことに意識を高めているとしています。

コクヨの歴史の紹介では、商品を通じて世の中の役に立つという創業者の言葉を挙げ、その時の顧客の困りごとやニーズに応えるということを社会課題として捉え解決していく。これをずっとビジネスにしてきたとし、サステナビリティなど言葉は変わってももともとこれは同社の精神であるなどと述べました。
価値創造ストーリーの全体像として、将来的に一人ひとりが自律し個性を輝かせながら共に生きていく社会に変わっていくということを未来予想図として掲げているといいます。それを応援する企業としてワクワクする未来のワークとライフをヨコクすることをパーパスとしているとしています。
どんどん多様化するニーズに応えていくことが同社の存在価値であるとし、社会に貢献する会社であり続けたいということがサステナビリティの根本にあるとしています。
パーパスを実現するためのマテリアリティとして同社は、「Well-beingの向上」「社会価値創出に向けたマネジメントシステム変革」「気候危機への対応」「循環型社会への貢献」「自然共生社会への貢献」といった5つの重点課題を掲げているとし、今回のテーマとして社内外のWell-beingの向上を目的にしているといいます。
同社のパーパスにつながるダイバーシティとしての社会のバリアを減らすということについては、同社は商品というかたちで出している。同社としてはモノからコトを同社のテーマとして掲げているものの、モノを出していくことも会社としては重要で、モノに世の中のニーズや困りごとへの解決を含めていくということを考えたときに社内だけでなく、日本人だけという単一的なニーズを追いかけていてはなかなか新しいものは生まれない。同社としては、多様な人のニーズを受け入れる。その中で新しいニーズが見えてくる。それが新しい商品やイノベーションにつながるといいます。同社はDiversity&Inclusionという言葉にInnovationという言葉を付けて、自分たちが多様性を受けいれることが、新しい価値の創出につながると信じてこれを進めているといいます。
そういったかたちで2024年にインクルーシブデザインを実施した新商品を20%出すという目標を掲げており、これはほぼ達成。今日はその一部を紹介するとし、2030年にはその目標を50%にすることを掲げているとしました。
コクヨらしい事業のあり方として、事業を通じて社会課題を解決することがサステナビリティのベースとして、そのなかで社会価値を解決しながら同社が持続的に成長していき、社会課題を解決する企業であり続ける。そうすることで顧客に認められ応援してもらう。そういう状態であり続けることを目指す。社会的価値と経済的価値の重なりを増やしていくことが同社のサステナビリティの全体像であるなどとしました。
HOWS DESIGN について
続いて
イノベーションの仕掛け HOWS DESIGN について
サステナビリティ推進室 理事 井田 幸男氏が説明を行いました。
井田氏は、3次中計の3年が終わろうとして、サステナブルが今までの企業のなかに取り込まれていない概念で、やらされるサステナブルということではなく、コクヨの全員がワクワクしながらクリエイティブに取り組む活動としてこのサステナブルをやろう、ということで、経営そして事業プロセスそのものを変えていく、従業員がエンゲージメント高くこの活動に取り組むということでこの3年間推進してきたといいます。

今日はサステナブルアカデミアという経営と事業プロセス、従業員全員でサステナブルに取り組むというお祭りみたいなこのイベントで、朝から5つのプログラムを展開しているといいます。その内のデザインとしてHOWS DESIGNという商品の企画に参加してもらっているということになっているとしました。
同社がダイバーシティをインクルージョンしながらイノベーションを起こすことで社会を良くしていこうというときにコクヨらしい進め方をしたいと思い、2年前まず最初に“場”を構築したといいます。具体的には大阪にインクルーシブデザインの実験Lab.HOWS PARKで行動変容を期待し実践を重ねたとしています。なぜこの場所を大阪につくったかというと、同社の障がいのある社員は約70名、そのほとんどがコクヨKハートという特例子会社にいて大阪にいる。コクヨの商品の開発、マーケティング的な開発とハードな開発の2つのアプローチのうち、ハードな開発部隊は大阪の新深江に約200名いるといいます。開発者と障がいを持つ人が同じ場所にいるなかで一緒に対話をしながらインクルーシブデザインをしようということで、その場であるHOWS PARKをまずつくって、その場で社内でどのようなことが起こるかということを試してきたとしています。
その試したなかで多くの失敗をしながら自分たちの考えるビジョンはこうだねとHOWS DESIGNの考え方を言語化したといいます。
そのなかで特に大事なのは「対話」だといいます。いままでは障がいのある人とない人との対話が十分できていなかった。70名の法定雇用率は維持していたけれども、ある意味セパレートされていて共に価値をつくる仲間として一緒に仕事をしてきたかというと話したことがない。それがコクヨのなかでも現実であり、多くの企業のなかでも課題として挙げられている。それが本当に共生社会なのか、共に働く仲間として一緒に仕事をしていることにはならない。ということで自分たちの価値をつくるということは何かということでインクルーシブデザインという手法に行き当たったとしています。
一番大切なのは、単一解がないなかきちんと対話のなかで気づきを得ようということで「どう?」ということからきちんと対話を始めよう、ということで一番象徴的な「HOW?」というのを自分たちのデザインコンセプトにしたといいます。
それを具体的に開発プロセスに置き換えると、通常の商品開発のプロセスに4つのプロセスを加味したといいます。4つのプロセスとは
① 社会のバリアを見つける
② 解決方法のアイデアを検討する
③ 試作品で検証する
④ 具体的な商品やサービスで検証する
だといいます。
事業の開発メンバーからすると仕事が増えるということになるものの、実験を進めていくうちに、今までに無い気づきがあって価値をつくれそうだ、ということでこの4つのプロセスを国内3事業のなかに入れることを経営として決定したといいます。

そのなかで特に大切なのは①と③で、一番最初の段階から当事者と話しをするということ。デザイナーの思い込みで障がいのある人は多分こうだろうというのは、今までのユニバーサルデザインの手法なので不正解ではないが、そのなかにもバイアスがあるかもしれない。
開発の仮説はあるものの、「どう?」って聞いたらなるほど思った通りということもあれば、当初の見方と全然違う、実はこの2年間は全然違ったということの繰り返しだったといいます。
一番最初に①の社会のバリアを見つけることが大事で、この2年間プロダクト開発をしてきたので、⓷でこうしたら解決できそうだということでラピットプロトでプロトタイプをつくりそこでもう一度深く当初の形を変えていく。そのなかで想定どおりのこともあるし、やはり違っていたということについてはチューニングして、品質が高まるケースが多いといいます。①~④のプロセスにおいて当事者との対話を大切にしこのプロセスは開発のなかにインクルーズされているとしています。
そうして迷いながら進めていくなかで、自分たちが信じている考え方として、普通は一般的な市場においては、マスセグメントに対してセグメンテーションを行い、ここは市場が大きそうだから売れそうだ、一番大きなセグメントに対し他社よりも競争意欲をもって商品開発を行おうとしますが、自分たちがやっているのは開発の対象にもならなかったような小さなセグメントにいる人に意見を聞いてものをつくるということをしているといいます。
そうすると小さな市場でブレないのではないかということを経営、事業、開発メンバーとよく議論したのですが、実はこの市場にいる人たちは自分たちの気づいていない何とかづらさを感じていて、自分たちが何とか器用にこなしていることを気づかせてくれたことをマスに戻していくと実は社会システムとしてよくなっていくということに実験を重ねて気づいたといいます。
これは国連が提唱している障がいということになると医学モデルと社会モデル。医学モデルは障がいがあるのでこれを直しましょう。社会モデルは段差があっても皆がいけるようにすればハッピーという考え方で、その社会モデルをよくするために気づかせてくれるので、自分たちはマスマーケティングでたくさん売るということから、今まで困っている「ヅラさ」を極端に感じている人に教えてもらって社会自体をよくしていくということで障がいの社会モデルに立脚していく。そうするとほかの人たちにも絶対豊かな社会をつくっていけるということを信じて商品開発を行っているとしています。
勇気づけられる他社の開発例としてNIKE Go FlyEase を挙げました。
同製品は開発のきっかけが、脳性まひによって手足に障がいがある青年からの手紙。「私の夢は、毎日誰かにシューズの紐を締めてもらわなくてはいけないという心配をさせずに、自分の好きな大学に進学することです。」
商品の特長として、一切手を使わず脱ぎ履きできる着脱システム。腰を屈める必要もない。
それが子育て中の人に大バズリ。障がい者に限らず、通学路を急ぐ学生や子供、荷物で両手をふさがれた人まで「あらゆる人々に寄りそうシューズ」だった。手を使わずに履けるシューズという市場が生まれたといいます。このようなことを同社は行っていきたいとしています。
困っている人だけに届けばよいのではなく気づいてない人に届ける。気づいてない人にこれはそういう商品ですよということをお知らせしなければならないので、同社はそういう商品にマークを付けることにしたといいます。これから生み出す商品にはこのマークを付け、世の中に認知をしていただき、これまで気づいていなかった何とかヅラさを解決する商品かもということで、世の中に広げるマーケティングに挑戦をしていくとしています。
2030年の新商品は、50%を超えるものをこのようなプロセスで生み出された商品にしたいなどとしました。
代表的なHOWS DESIGN製品についての説明
続いて今回の代表的な製品の説明を
HOWSDESIGN製品開発関係者の
グローバルステーショナリー事業本部 開発本部 技術開発センター 藤木 武史氏
ワークプレイス事業本部 ものづくり開発本部 シーティング開発部 林 友彦氏
(株)カウネット MD本部 MD3部 本澤 真悠子氏
がそれぞれ説明を行いました。
藤木氏は、ステーショナリー事業の事例として、このほどリニューアルした「ハサミ<サクサ>」シリーズについて、2つのポイントを紹介しました。

1つ目のポイントとして、同製品は、刃の擦り合わせ力(角度)に注目した利き手を問わない切りやすさを実現する『傾斜インサート』を採用。上肢障がい、左利きのユーザーに切りやすいハサミであるといいます。
2つ目のポイントとして、商品説明(使用法、注意)をスマホで聞ける「アクセシブルコード」を文具業界(※)で初めて採用したといいます。これにより、視覚障がい者だけでなく、高齢者や外国人(4か国対応)にも商品を安心・安全に使ってもらえるとしています。
林氏は、ファニチャー事業の事例として、「引く・座る・立ち上がる」イスの基本を美しく磨き上げたというチェアー「Hemming」を紹介しました。

同製品は、体格に違いのある人や幅広い年齢層の人、障がいによりイスの使いにくさを普段から強く感じている人々と開発に取り組んだといいます。片手でも引きやすいハンドルデザインや、身体を横に向けやすく立ち上がりやすい座面形状など、シンプルなチェアーながら、細部まで基本性能を、磨き上げているとしています。
また、同氏は「オフィス家具」の当たり前を変えていくとして、「hangout」「Energy Line」「Liite」フレームタイプを紹介しました。
「hangout」は、高次脳機能障がいユーザーと開発中の、自然なコミュニケーションを誘発する家具だといいます。(2025年6月末発売予定)
「Energy Line」は、上肢に障がいを持ったユーザーと開発した、差し込みやすい電源コンセントだといいます。(2024年12月下旬発売予定)
「Liite」フレームタイプは、下肢に障がいを持ったユーザーと開発した、つかみやすい肘フレームが特徴のチェアーだとしています。(2025年2月末発売予定)
本澤氏は、カウネットの事例として

1. 3事業合同のワークショップで生まれたアイデアを商品化=持ちやすいバンド付きIDカードホルダー
2. BtoBならではの、いろんな人が共有で使用するオフィスの備品・消耗品をインクルーシブに
① 取り出しやすいシリーズ(24年13アイテム)
② 視認しやすいシリーズ(24年3アイテム)
3. 小売りのカウネットが顧客・メーカーとのハブとなり、サステナブル推進を行っていく
ソリューション提案やメーカー協業で、モノ・コトづくりのインクルーシブの輪を広げる
などを紹介しました。
質疑応答と展示スペース内覧を実施
質疑応答の後
HOWS DESIGN新製品の展示スペースを見学。実物を見ながらの詳細説明が行われました。







(画像は一部コクヨ様リリースより)
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