内田洋行、東京都荒川区で NEXT GIGA の教育 ICT 基盤を刷新
仮想デスクトップにより、学習系と校務系の異なる OS を自由自在に活用
~いつでもどこでも働くことができるハイブリッドな次世代ネットワーク環境を構築~
内田洋行は、東京都荒川区(区長:西川太一郎氏、教育長:高梨博和氏、以下荒川区)において、GIGA スクール構想第 2 期の端末更新として、児童生徒の新たな 1 人 1 台 PC や教職員のいつでもどこでも仕事を行える最先端な教育 ICT 環境を整備したことを2024年10月30日に発表しました。
なお、この荒川区のクラウド環境は、Google 社を中心とした学習系環境(※1)から Microsoft 社の校務系環境(※2)に仮想デスクトップを介して接続。これにより、教職員は 1 台の PC で全てのシステムやデータにセキュアにアクセスできるようになり、異なる OS の違いを乗り越えてロケーションフリーで利用できるハイブリッド環境を実現したとしています。
同社によると、荒川区では、2024 年 9 月 1 日から、教職員が利便性とセキュリティの向上した新たな ICT 環境の活用を開始したといいます。2025 年 4 月 1 日からは荒川区の小学校 24 校・中学校 10 校の児童生徒の利用開始を予定しているとしています。
このたびの荒川区の全小・中学校への ICT 環境整備事業でも、内田洋行グループが全体の利用環境の設計構築、PC やネットワーク機器の設定およびプロジェクトマネジメントを請け負ったとしています。
学習系環境:Chromebook、GoogleWorkspace for Education Plus(以下、GWS)
校務系環境:Microsoft 365 Education A5(以下 M365 A5)、仮想デスクトップ Azure Virtual Desktop(以下、仮想デスクトップ)
東京都荒川区の教育 ICT 環境の刷新について
荒川区教育委員会は、『未来を拓き、たくましく生きる子供を育成する』という目標を掲げ、夢につながる主体的な学びの推進として全国で初めて、2013 年度から区内の全小中学校に 1 万台のタブレット PC を導入した実績があるといいます。
その後、2019 年度の更新を経て、このたび、2024 年度に新たな Chromebook 端末更新(児童生徒 14,490 台、教職員 1,197 台 ※予備機含む)や、M365 A5 を利用した強固なゼロトラストセキュリティの新システムの導入を行ったとしています。
従来は職員室に固定されていた校務用の PC と別にもう 1 台の端末を持ち歩く必要がありましたが、多要素認証による仮想デスクトップを利用することで、校務支援システムを含む校務環境にセキュアにアクセスできるようになったといいます。その結果、PC を 1 台に集約し、校務環境と学習環境の両方を 1 台の PC で利用できるようになるとしています。これにより、各教室や出張先、自宅でもセキュアに校務の業務を行うことができる環境を用意したといいます。OS を使い分けることで校務環境にある機微な情報を含むファイルが学習環境に流出しにくい仕組みになり、より強固なセキュリティ対策を構築したとしています。
これらは文部科学省が示す「教育情報セキュリティポリシーガイドライン※」に準拠し、強固なアクセス制御による対策を講じたクラウド・ネットワーク環境だといいます。また、学校ネットワークを新たに刷新し、学校内部の幹線 10G、ネットワーク機器も 10G 対応を導入し、高速かつ安定した通信が可能となったとしています。オンライン教材の利用や高精細な動画の視聴、システムへの一斉アクセスでも通信が遅くなるといった現象を防ぎ、快適な授業を支援するとしています。
これらの荒川区の教育 ICT環境を複雑化・高度化するサイバー攻撃からデータやデバイスを守るために、セキュリティ監視センターから 24 時間/365 日体制で監視しているとしています。
■学習 e ポータル「L-Gate」の新機能、統合データで PC を一括管理
荒川区では、学習 e ポータル「L-Gate」を利用し、子どもたちの毎日の健康観察や授業アンケート、ドリルの学習履歴など様々なアプリケーションとのデータ連携が可能だといいます。このたび、新たに「L-Gate」が GWS と自動で連携し、大量の PC を台帳管理できる新機能を搭載したとしています。利用する学校・利用者名・ログイン履歴などのデータに加え「稼働中」、「予備」、「修理」など端末の状況や貸出先、導入年月、使用期間の詳細なステータスも登録でき、教職員の負担を軽減するとしています。
※内田洋行の学習 e ポータル「L-Gate」は、教育委員会・学校法人約 800 団体、約 320 万アカウントで活用されているといいます。(2024 年 7 月現在)
■異なる OS を自由自在に活用する最先端なハイブリッド環境
1 台の端末から Microsoft 社と Google 社の 2 つの OS をどちらも安全に利用できる環境を構築することによって、これまで生じていた様々な不便が解消されたといいます。これにより、顧客が従来から使い続ける様々なシステムや蓄積されたデータ、ファイルを廃棄することなく持続的に活用が可能となったとしています。
■不正アクセス防止、強固なアクセス制御へ対応する多要素認証技術
「教育情報セキュリティポリシーガイドライン※」では不正アクセスの防止や電子証明書などを用いた多要素認証が必要である旨が記載され、教育委員会はガイドラインに沿った対策が求められているといいます。荒川区では、内田洋行がサイバートラスト社が提供する端末認証サービスを選定し、Chromebook 端末から仮想デスクトップを介して校務系システムにログインする際に、校務系環境(M365 A5)の機能と連携し、電子証明書と ID・パスワードを用いた多要素認証を実装したとしています。
■校務系と学習系の異なるシステム間でも、セキュアにデータの受け渡しを実現
校務系と学習系のネットワークにアクセス制御を導入したとしていいます。これにより、校務系と学習系で、セキュアにデータファイルの受け渡しができるとしています。また、校務系から学習系にファイルを受け渡す際には、学校長や管理職の承認を必要とする運用ルールを定めて、効率的なセキュリティ監視を行っているとしています。
■キャッシュサーバー設置でネットワーク負荷軽減
約 15,000 台の端末が一斉にデジタル教科書の利用やソフトウェアのアップデートを行う状況では、通信トラフィック量が増加し一時的にネットワークのパフォーマンスが低下することがあるといいます。この問題を解決するために、内田洋行独自で開発したキャッシュサーバーを導入し、効率的なデータ配信を実現するとしています。キャッシュサーバーは主にコンテンツ配信システム EduMall のコンテンツや OS のアップデート資源を保存し、ネットワークの負荷を軽減するとしています。
■仮想デスクトップのコスト上昇を効率的に制御
仮想デスクトップは、利用状況に応じて仮想マシンの起動台数を細かく制御し不要なコストの発生を防ぐシー・オー・コンヴ社のシステムを内田洋行と共同で設計・構築しているといいます。これにより、効率的なリソース管理が可能となり、全体の運用コストを大幅に削減することが期待されるとしています。
■ID 統合管理で年次更新の名簿連携やデータの一元管理を実現
校務支援システムの名簿情報を元に、ID 統合管理システムに情報を取り込み、荒川区教育委員会に導入する全てのアプリケーションと名簿連携を行うといいます。これにより、名簿データ更新等の作業が不要となり、効率的な業務を実現するとしています。
内田洋行は、荒川区が目指す子どもたちの主体的な学びの推進や良好な教育環境と体制の整備をサポートし、教職員が児童生徒に向き合う時間の創出やワークライフバランスを図るためのシステム運用支援に邁進するとしています。
荒川区教育委員会からメッセージ
「今回のタブレット PC の更改にあたっては、単に端末を更新するだけではなく、更改を通して「教員の働き方改革」と「子どもたちがいつでも利用できる ICT 環境の実現」という2つの目標を掲げて、更改を進めてきました。
今回の更改も前回(5 年前)と同様、他自治体に先駆けての更改となり、更改計画の検討を開始した当初は手探りの状態でしたが、内田洋行様をはじめとした多くの事業者様から情報提供を受け、教員や子どもたちの様々な要望も採り入れながら更改を進めた結果、教員と児童生徒が利用する端末は Chromebook に統一し、校務環境は AVD(Azure Virtual Desktop)を利用して Windows 環境を構築するという画期的な手法を採用できたと考えています。
子どもたちの新しい Chromebook の運用開始は 2025 年 4 月ですが、引続き内田洋行様と協力しながら、荒川区の子どもたちにとってより良い学習環境の整備を進めていきたいと思います。」
内田洋行の教育 ICT・教育データ活用等に関する取組み
内田洋行は、1998 年、インターネットの教育活用の実証研究を機に教育総合研究所を設立。大学等と共同研究を進めるとともに、文部科学省や総務省、経済産業省等の様々な受託事業を推進しているといいます。2013 年度の荒川区 1 人 1台環境を全国に先駆けて構築。GIGA スクール構想では、全国へ約 140 万台以上の PC 端末等の導入整備などを総合的に進めてきたとしています。コンピュータ利用型テスト(CBT)への取組みでは、2022 年の「文部科学省 CBTシステム MEXCBT の開発・運営等事業」等を受託し、ICT を活用した学力評価に関する研究を進めるとともに、日常的に使用される学習者端末から児童・生徒毎のスタディログを収集し、分析・活用を目指しているとしています。
2023年には、CBTプラットフォーム「TAO」を開発するルクセンブルクOAT社を完全子会社化しているといいます。「TAO」は、2025 年の OECD の学習到達度調査(PISA 調査)にも採用されているとしています。
(画像は内田洋行様より頂戴しました)