JFMA,ファシリティマネジメントフォーラム2024を開催
会場開催は2月21日、JFMA賞授賞式や基調講演、ネットワーキングパーティなどを実施
公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)は2月21日、東京都新宿区の京王プラザホテルで、第18回ファシリティマネジメント大会、ファシリティマネジメントフォーラム2024の会場開催を実施しました。
今回のテーマは、「FMのチカラ イノベーション経営を支えるファシリティマネジメント」
主な内容は、
第18回日本ファシリティマネジメント大賞 JFMA賞 授賞式
主催者挨拶・対談 同協会会長 米倉誠一郎氏
基調講演・対談 建築家 東京大学特別教授 名誉教授 隈研吾氏
21世紀の建築:サステナビリティーとイノベーション
ネットワーキングパーティ
第18回日本ファシリティマネジメント大賞 JFMA賞 授賞式
日本ファシリティマネジメント大賞 通称JFMA賞の 授賞式では、冒頭同協会専務理事の成田一郎氏が、同賞の説明を行いました。
同賞は、FMに関する優れた業績等を表彰することにより、日本国内におけるFMの普及・発展に資することを目的とするといいます。
主催者代表挨拶を同協会会長の米倉誠一郎氏が行い「日本はGDPが約500兆円なのに負債が1500兆円近くある。このような状況のなかで、官も民も自分の2本の足で立たないといつかは誰かが面倒を見てくれるという時代は終わりました。そういう時に建物1つ丁寧に管理していく。それについて今回2つの大きなテーマがあると思います。
1つは物をいかに大事に使うか、まさにもったいないということ、これがファシリティマネジメントの根源だと思います。つくってつくりっぱなしではなく、ちくったときから次のライフサイクルを考えていく。それを日本が率先していかなければならない。その時に、今日も色々な事例がでると思いますが、どれだけコスト制限ができるかです。もう1つは、最近分かったのはwell-being、心身ともに健康で愉快であるということが大事だということです。データからいうと自分がいい状態にあるなと思う人は生産性で1.3倍、クリエイティビティで4倍だというデータがあり、それくらい差があるといわれています。それはどういうことかというと働き方、どんなところでどういうふうに自分たちは働くのか、考えてみれば、我々は3分の1から半分くらいまでワークプレイスにいるわけですね。それをいかに豊かにしていくかというのがテーマです。今日はそれに沿った受賞作が出そろったと信じています。
今の言葉をそのまま裏返せば日本は輸出産業なのです。ウクライナもパレスチナもひどいことになっていますが、戦争は終わります。絶対に終わらせなくてはいけない。そのあとにどこの国が復興を手伝うのか。いいものをつくりっぱなして、さらに捨てていくという考えではなくて、これを長くきちっとメンテナンスして、well-beingに資する思想が大事だと思うので、まさにこのJFMAが掲げている理想は輸出可能なわけです。今日受賞された皆さんは、その代表選手ということで本当におめでとうと言いたいです。また、受賞したことを、すごいことだと大きな声で喧伝していただきたいと思います」などと述べました。
続いて審査委員の紹介が行われました。今回審査にあたった審査委員は以下のとおりです。
審査委員会委員(委員以下五十音順):
委 員 長 北川 正恭 氏 (早稲田大学 名誉教授)
副委員長 深尾 精一 氏 (首都大学東京 名誉教授)
秋月 聡二郎 氏 (国土交通省大臣官房 官庁営繕部長)
安達 功 氏 (株式会社日経BP 総合研究所 フェロー)
鎌田 元康 氏 (東京大学 名誉教授)
塚本 裕之 氏 (経済産業省 製造産業局 生活製品課 企画官)
仲 隆介 氏 (Naka Lab.代表・京都工芸繊維大学 名誉教授)
長澤 泰 氏 (東京大学・工学院大学 名誉教授/ 一般財団法人ハピネスライフ財団 理事長)
村田 博文 氏 (株式会社財界研究所 代表取締役/総合ビジネス誌「財界」主幹)
成田 一郎 氏 (公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会 専務理事)
第18回日本ファシリティマネジメント大賞 JFMA賞 授賞式では以下のFM実践組織・個人が表彰され、それぞれ受賞者の代表が受賞の挨拶を述べました。
優秀ファシリティマネジメント賞(3件)
応募タイトル:NTT西日本のFM戦略 ~新本社PJを通じた新たな挑戦~
FM実践組織:西日本電信電話 株式会社
サービス提供者:(株)NTTファシリティーズ
応募タイトル:(O3(大阪おせっかいオフィス)いきたくなるオフィス )
FM実践組織:日建設計コンストラクション・マネジメント 株式会社
サービス提供者:(株)日建スペースデザイン
(株)ヴォンエルフ
(株)日建設計総合研究所
(株)TPO
Ash Every Design Office
応募タイトル:墨田区におけるファシリティマネジメントの取組み
FM実践組織:東京都墨田区
サービス提供者:(株)日積サーベイ
(株)日本設計
明豊ファシリティワークス(株)
(株)山下テクノス
功績賞(1件)
応募タイトル:官民連携による公共空間の整備・運営のマネジメントに関する研究(博士論文)
FM実践個人:東海林 伸篤 氏(世田谷区 環境政策部)
奨励賞(2件)
応募タイトル:「Kond Style」を実践し発信する、FMへの取組み
FM実践組織:株式会社 近藤商会
サービス提供者:(株)イトーキ
応募タイトル:築66年のビルで実現するサスティナブルなFMへの挑戦
FM実践組織:鈴梅産業株式会社・株式会社ビルmo
サービス提供者:(株)ヴォンエルフ
(株)オープン・エー
審査委員長総評
表彰終了後、審査委員長の早稲田大学 名誉教授 北川正恭氏が総評を述べました。
「今回、ファシリティマネジメント大賞が18回目を迎えます。2015年頃から我が国Society 5.0という新しい時代に突入し、その翌年くらいから国連でSDGs、あるいは気候変動条約等々が締結され全く新しい時代を迎えるなど、そのようなことがここ数年ずっと起こってきました。更に数年前にはコロナのパンデミック、働き方改革など激変の時代に遭遇いたしました。もとより日本ファシリティマネジメント協会はFMの普及・発展を目指して創設されたものですが、今年度はそういった普及・発展の域から成実といいますか、いよいよ実装化されてきたなということを審査を通じていろいろと思わせていただきました。いよいよ経営の4資源、人、物、金、情報ということでどちらかというと物が軽く見られていた。デミング賞で日本は戦後、ファムトリーといいますか工場現場の大改革が行われてきましたが、暑さ寒さに耐える、そういう雰囲気が残っていてここを改革しない限りは本当の経営革新とはいえないのではないかということで、この日本ファシリティマネジメント協会が発足して18回目を迎えて、今日ご列席の皆様をはじめ関係者の方々の大へんなご努力でいよいよ実装化される時代を迎えたなということを強く感じて審査させていただくなかでも、対象の皆様方のご努力に敬意を表するとともに、そういった時代がやっときたなということを心楽しく、心強く審査をさせていただきました。」などと述べ、個々の事例に対する講評を行いました。
続いて当日出席した審査委員がそれぞれ講評を行いました。
基調講演・対談
基調講演・対談では、冒頭米倉会長が「いまこそFMの力を世界へ!」というテーマで挨拶を行い
さよなら“イノベーション”
楽観主義で行こう
危機に強い日本
SDGs達成は恰好の共通目標
危機対応①強いところを強くする
The Perpetual Motion 小さくても世界を変える日本のイノベーション
日本は一人でうまくやってきた
などのテーマについて述べ、世界に日本があって良かったと思われるためにFMや地道な努力が必要だとしました。
基調講演を建築家 東京大学特別教授 名誉教授 隈研吾氏が行いました。
ネットワーキングパーティ
ネットワーキングパーティでは、冒頭、同協会会長の米倉誠一郎氏が挨拶を行い「官にたよるのではなく自分たちの2本の足で立つ時代にファシリティマネジメントは日本の柱だということを広めてほしい」などと述べました。
また、オンデマンド開催で特別講演を行う4名の講演者
一橋ビジネススクール 国際企業戦略専攻教授、専攻長 大薗 恵美 氏
株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉 氏
経営学者 一橋ビジネススクール PDS寄付講座 競争戦略特任教授 楠木 建 氏
サステナビリティ専門建築デザイナー 株式会社New Norm Design代表 Matinno創設者 ファラ・タライエ 氏
が紹介され、それぞれ登壇し挨拶を述べました。
乾杯の発声を株式会社イトーキ代表取締役会長 JFMA前会長で相談役の 山田 匡通 氏が行いました。
山田氏は「自然と人間とファシリティは1つの生命体。この3つの存在は実は1つの生命体として活動をしています。集中から分散というのもこの3つの活動が展開していく姿です。今回のフォーラムのテーマ「FMのチカラ」というのも極めてこれからの時代を示唆している言葉だと思います。ファシリティは間違いなくこれからさらに重要になってきます。人間がファシリティをつくるのですが、ファシリティがまた人間をつくる。人格形成の非常に重要な投資になってきます。ここは教育にもつながってくるというとりあげるべき1つの方向だと思います」などと述べ、乾杯の発声を行いました。
和やかな歓談の後、パーティは盛況の裡に終了しました。
オンデマンド開催は2024年2月22日から3月18日まで実施されました。