東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
10/2 ~10/8、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
【今週の目次】
① オカムラ、6製品が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞
② コクヨ、「スマートなダブルクリップ」が「2023年度グッドデザイン金賞」を受賞
④ コマニー、「WEDGE」が2023年度グッドデザイン賞を受賞
⑤ カリモク家具、クリアネルシリーズが2023年度グッドデザイン賞を受賞
⑥ イトーキ、働く時間を心地よくする「Feel So Wood」な木質製品群を11月から順次発売
⑦ コクヨ、インテリアデザインを手掛けた2施設が「第57回日本サインデザイン賞 銀賞」を受賞
⑩ コクヨ、「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」に「FLATS SNACK」をオープン
+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り
オカムラ、6製品が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞
2023年10月2日から8日までのオフィス家具業界の主なハイライトについては、オカムラは6製品が「2023年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したといいます。
グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みだといいます。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加しているとしています。
オカムラは1962年に初受賞、1967年から57年連続で受賞していて、通算で業界ナンバーワンのグッドデザイン賞受賞数だとしています。2023年度は、オフィス空間向けの多様な働き方に対応する製品や環境に配慮した製品など6製品が受賞したとしています。
【2023年度グッドデザイン賞 受賞製品】
クリエイティブファニチュア「WORK VILLA(ワークヴィラ)」
ワークブース「TELECUBE by OKAMURA(テレキューブ by オカムラ)C Type」
シーティング「Spectra(スペクトラ)」
クリエイティブファニチュア「ext.(イクスト)」
ミーティングテーブル「Alette(アレッテ)」
オープンシェルフ「Cornel(コーネル)」
コクヨ、「スマートなダブルクリップ」が「2023年度グッドデザイン金賞」を受賞
コクヨは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2023年度グッドデザイン賞で、コクヨデザインアワード2018の優秀賞作品を製品化した「スマートなダブルクリップ」がグッドデザイン金賞を受賞したといいます。
グッドデザイン・ベスト100には、軽やかさとシンプルなデザインが魅力だというオフィス家具シリーズ「Any way(エニーウェイ)」、グッドデザイン賞にはコクヨのプロダクツなど13件が受賞したとしています。
プラス、2製品が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞
プラスは、オフィス用家具「Vicenda(ヴィチェンダ)」シリーズと、文具はさみ「フィットカットカーブ 大型タイプ」の2製品が、財団法人日本産業デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」を受賞したことを2023年10月5日に発表しました。
コマニー、「WEDGE」が2023年度グッドデザイン賞を受賞
コマニーは、2023年10月5日、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2023年度グッドデザイン賞」において、次世代パーティションWEDGE(ウェッジ)が「グッドデザイン賞」を受賞しました。
WEDGEはコンセプトを「壁から箱へ」としていて、オフィスの風景を変えていく次世代パーティションとして発売。パーティションの厚みに新しい価値を創造し、単なる壁ではないパーティションの新しい在り方を発信しており、具体的には、顔認証連動式自動ドアとLEDサイン、スピーカー、モニターなどを壁に埋め込む、ポストやガラス/ドア枠をパネル内に格納するなど、搭載機能や構造部材をパネルの内側にビルトインすることで、高い遮音性と耐震性を実現する骨格を持ちながら美しい外観を実現しているとしています。
同社は、働き方やオフィスの進化に分解・再組立てが容易なパーティションの役割は大きいと考え、WEDGEを「付加価値の器(プラットフォーム)」として育てていくとしています。
カリモク家具、クリアネルシリーズが2023年度グッドデザイン賞を受賞
カリモク家具は、同社のメインブランドである「karimoku」のデスクシリーズ「CLEARNEL(クリアネル:以下、クリアネル)」が、2023年度グッドデザイン賞を受賞したことを10月5日に発表しました。
ハイテク&ハイタッチで実現するクリアネルシリーズは、学習家具製造で培ったマーケティング力・技術力をもとに高精度な機械加工と職人の緻密な手仕事から生まれ、テレワーカーに向けて 2022年10 月に発売されたといいます。
さまざまなインテリアコーディネートニーズに対応するよう、シンプルで木質感にこだわった仕上がりとしつつも、木と異素材のスチールパネルとを組み合わせることでスッキリとしたデザインになっているとしています。
イトーキ、働く時間を心地よくする「Feel So Wood」な木質製品群を11月から順次発売
イトーキは、自然に人が集いつながりを育む木製フレームシステム「Solmio(ソルミオ)」を11月1日(水)から、本物の木の心地よさを実感できる天然無垢テーブル「knot Work Wood(ノットワークウッド)」を12月1日(金)から、突板仕上の不燃パーティション「Feels(フィールス)」を12月15日(金)から発売するといいます。
同製品群は主に国産材(一部の製品では外国産材もラインナップに含む)を採用していて、木の温もりや心地よさを感じられる家具から建材まで空間全体を提案するとともに、森林循環や炭素固定にも貢献。人と地球にやさしい持続可能なワークプレイスを実現するとしています。
コクヨ、インテリアデザインを手掛けた2施設が「第57回日本サインデザイン賞 銀賞」を受賞
コクヨは、当社がインテリアデザインを手がけた2施設が、日本で唯一のサインデザインを対象としたデザイン賞である「日本サインデザイン賞」において、「日本サインデザイン銀賞」を受賞したことを10月5日に発表しました。
コマニー、エクシストーンを発売
コマニーは、誇りをもって働ける、ワンランク上の心地よいオフィスづくりをサポートするプロダクトとして「Xis-tone(エクシストーン)」を2023年10月2日から全国の営業所で発売しました。
同社によると、新型コロナウイルスの感染拡大により働く場所が多様化し、オフィスの価値が見直されており、出社が前提の働き方は、働く時間をどこでどのように使うかを考えて選択できるように変化しているとしています。同社は、出社そのものに意義が求められる時代にオフィスが果たしたい役割の一つとして、人に誇りと心地よさを感じさせることが重要な位置づけになると考え、本製品を開発したとしています。
コクヨ、サステナブル活動を本格化
コクヨは、2023年10月2日(月)から、コクヨが掲げる「循環社会への貢献」と「Well-beingな社会を実現するインクルーシブデザイン」の宣言をまとめた「SUTENAI CIRCLE」と「HOWS DESIGN」の2つのWEBサイトを公開。
また、社員のサステナビリティに対する意識の向上や、2024年のサステナビリティへの活動参加人数100%達成を目的としたイベント「Sustainable Academia weeks」を10月3日から開催。その他、全国の小学校を対象にしたノートのリサイクルを通じて学ぶ体験型環境学習プログラムや、インクルーシブデザインの手法を用いて開発した商品など、コクヨの長期ビジョンの実現に向けたサステナブルな取り組みをさらに加速させていくとしています。
コクヨ、「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」に「FLATS SNACK」をオープン
コクヨは、ソーシャルバー「PORTO(ポルト)」(主宰:嶋田 匠氏)と協業し、同社が展開する「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI(ザ・キャンパス フラッツ トゴシ)」内の「スタジオ07:スナック」に、プロトタイプと出会えるスナック「FLATS SNACK(フラッツ スナック)」を10月2日(月)オープンしたといいます。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週は毎年恒例のグッドデザイン受賞の発表の記事が多く、今年も主要メーカーが多く受賞しています。主に昨年の暮れに発表された各社の新製品で2023年の収穫といえるような素晴らしい製品が多く受賞していると思います。受賞の理由もそれぞれ述べられている記事が多いですが、山人なりに気づいたポイントなども述べてみたいと思います。
グッドデザイン以外にも注目した記事がいくつかありますのでそれについても述べていきたいと思います。
今週まず注目した記事については、オカムラ、6製品が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞があります。
そのなかでも、山人が特に注目しているのは、「ワークヴィラ」「テレキューブ by オカムラC Type」「スペクトラ」の3製品です。
ワークヴィラは、「ワークキャリアー」に続く同社のオフィスコレクションで、ワークキャリアーとの親和性も良く、この2シリーズで展開される場合も多いようです。ワークキャリアーからワークヴィラへの発展は、働き方改革をさらに一歩進めて日本らしい働き方とは何か、どういうことが日本のオフィスに必要かということをオフィス家具で示したものだと思います。「溜まり場」「縁側」「小路」など日本の伝統から着想を得た機能とデザインとしていますが、それぞれのアイテムがテーマ性を持ち全体でオフィスのなかで物語を紡ぐ、それぞれのワーカーが自らの動きに意味を持ち展開、発展させていく。それが日本人にはおそらく心地よく動き、過ごせる設えなのだと思います。個人的には2023年を代表するオフィス家具製品の1つだと思っています。
テレキューブ by オカムラC Typeについてですが、同社は、業界の注目アイテムともいえる同製品を改良してきました。従来モデルと同等の機能を維持しながら環境配慮と安全性を高めたモデルだとしていますが、おそらく、それだけではなく、市場ニーズも含め戦略的な次の局面をにらんでの改良だと思います。今年のオルガテック東京がデビューだったと思いますが、そのクオリティの高さとたたずまいはさすがなものがありました。
スペクトラは全く面白く興味を惹かれるアイテムです。実は山人は座った経験がまだありません。スペックや特長を見る限り新世代のシーティングであることは確かなようです。座り心地については近々お知らせしたいと思っています。
コクヨ、「スマートなダブルクリップ」が「2023年度グッドデザイン金賞」を受賞の記事ですが、同社は、「スマートなダブルクリップ」が金賞、ベスト100に「エニーウェイ」、グッドデザイン賞には13件が選出されています。
金賞を受賞したスマートなダブルクリップは、2018年のデザインアワードでの優秀賞受賞作品を製品化したものですが、デザインアワードの面目躍如といったところで、その発想はまさにコロンブスの卵であると思います。すなわちグッドデザインであると同時にイノベーションでもあり、これを同時に実現しているといえるであろう同製品は、金賞に相応しい製品であると思います。
エニーウェイは同社らしい、楽し気なカジュアル的なオフィスを構築することのできる製品で、2022年の第1回のオルガテック東京でBEST PRESENTATION AWARDS Supported by ELLE DECOR Magazineのグランプリを受賞した時のブースを構成した製品でもあり、同社の中心的なアイテムでベスト100に相応しい製品であると思います。
その他、オフィス家具関連では、オフィスラウンジテーブル「C-Table(シーテーブル)」、チェアー「pallo(パロ)」、カジュアルチェアー「Liite(リーテ)」、「つくえ+(つくえたす)」、吸音パネル「fore moving panel(フォーレ ムービングパネル)」、可変型ソファー「OSFA(オスファ)」などが選ばれていますが、どれも見どころ満載の製品ばかりだと思います。その他、サテライト型の社員向け多目的スペース「n.5(エヌテンゴ)」、オープンコミュニケーションホール 「THE CAMPUS HALL "CORE"(ザ・キャンパス ホール"コア")」など同社の「製品」だけでなく同社の事業展開における設えや、同社が内装設計を担当した「FUJIFILM Creative Village」が受賞しているのは、同社のワークスタイルセグメントがより空間創出へと強みを発揮しているのだということを感じます。
プラス、2製品が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞の記事ですが、ヴィチェンダシリーズについては、審査員の評価にもありましたが、「モクラルプロジェクト」において「センダン」に注目したことも大きいのではないかと思います。デザイナーの清水慶太氏のデザインはもちろん、清水氏がコンセプトとして述べておられるように「お互い」:木と金属が構造面で弱点を補い合い、視覚・触覚面で双方の魅力を引き出し合うということがこの製品の魅力であると思います。
コマニー、「WEDGE」が2023年度グッドデザイン賞を受賞の記事ですが、「ウェッジ」はコンセプトを「壁から箱へ」としていて、オフィスの風景を変えていく次世代パーティションとして発売。パーティションの厚みに新しい価値を創造し、単なる壁ではないパーティションの新しい在り方を発信しているといいます。その機能もさることながら、そのつくりだす世界観が印象的だと感じました。また、審査委員の評価コメント「特筆すべきは、様々な企業との共創によって実現した機能だろう。進化するDX化やセキュリティ問題、衛生面の配慮など付加価値をこの薄い壁に全て盛り込み、美しくミニマルなデザインに仕上げている点は高く評価した」にもあるように、単なるパーティションの世界にとどまらず、空間プロデュース企業として同社が発展していく大きな可能性があるのではないかと思いました。
カリモク家具、クリアネルシリーズが2023年度グッドデザイン賞を受賞の記事ですが、同製品は、学習家具製造で培ったマーケティング力・技術力をもとに高精度な機械加工と職人の緻密な手仕事から生まれ、テレワーカーに向けて 2022年10 月に発売されたとしています。周知のとおり同社は学習家具においてもリーディングカンパニーであり、特にハイエンドなジャンルに強みを持っていると認識しています。その同社が、審査員の評価コメントにもあるように「在宅勤務やテレワーク時の家庭用デスクとして、今の住宅環境にフィットするようコンパクトなサイズにまとめながらもデバイス使用の煩雑な通線処理にもしっかりと対応し、機能面でも行き届いた配慮がされている。・・・機能面、デザイン性において完成度の高い製品である」とあるように異素材の融合、サイズ、機能、デザインが高い次元で調和することで、また新たな分野を切り拓いたのではないかと思います。
イトーキ、働く時間を心地よくする「Feel So Wood」な木質製品群を11月から順次発売の記事ですが、今回のシリーズを見てこれは単に木を使った家具というだけではないということを感じました。木製家具は環境面を配慮してつくられていることが基本ですが、このシリーズはそれをさらに発展させ、そこに意匠、演出を持つものさらに言えば物語を持つ製品であるということだと思います。そして、それを導入した企業やワーカーがそこでまた新たな物語を紡いでいく、そんなことができる家具であると思います。
「ソルミオ」はオルガテック東京2023で始めて目にしたときには心を奪われるような感じがしました。今までに見たことのない、しかし昔から知っているような風景を演出する家具、まるでジブリのアニメのような情景を思わせるような世界観を持つ製品であり、今回の記事で本当に販売するんだという思えるくらいインパクトが強いものがあります。
「フィールス」も同じくその演出でいかようにも空間にテーマを持たせることができるものなのではないかと思います。レトロな雰囲気にも新しい雰囲気にも演出が可能でしょうが、オフィス家具が時代性を演出するなどは今まで思ってもみないことなのではないでしょうか。いずれにしてもこれらのシリーズには機能一点張りで時代も季節も感じられなかったオフィスに改めて人間の感覚が盛り込まれたと感じる製品であると思います。
コクヨ、インテリアデザインを手掛けた2施設が「第57回日本サインデザイン賞 銀賞」を受賞の記事ですが、「サイン」というものの魅力、効果をものすごく感じました。おそらくそれ1つあれば空間にテーマが、もしくは命が宿るものなのかもしれません。2つあれば壁面を、3つあれば空間をかたちづくることができ、それが柔らかくも、明るくも、広くもいかようにも演出することができるものであるということがこれからのオフィスづくりにまた寄与してくれるものなのではないかと思います。
コマニー、エクシストーンを発売の記事ですが、記事の本文中に、「出社そのものに意義が求められる時代にオフィスが果たしたい役割の一つとして、人に誇りと心地よさを感じさせることが重要な位置づけになると考え、本製品を開発した」とあります。心地よさはともかくとして、山人はオフィスにおける「誇り」とは何か、製品にそれが関係あるのか、オフィスにそれが関係あるのかということを考えてみました。答えは「イエス」だと思います。高い精神性とでもいうべき、ワーカー、企業人の矜持ともいうべきもの、単に高級な設えではなく志の高さが問われるということなのだと思います。コマニーはそれを考え、目指す数少ない企業の1つなのではないかと思います。また、現実の製品、素材、と見立ての問題を孕むと思います。より高度な意匠性を感じながらそれを意識しながら、また役立てながら働くことのできるワーカー、もしくはそうなることを目指しているワーカーのためのオフィスを提案しようとしているのだと思います。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)