東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
9/4 ~9/10、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
【今週の目次】
② イトーキ、「ITOKI TOKYO XORK」が、国際的なデザインアワード「Shaw Contract Design Awards 2023」にて「Best of Asia」を受賞
③ コクヨ、サステナブルな木製家具ブランド「yuimori(ユイモリ)」が、「第6回エコプロアワード」優秀賞を受賞
④ コクヨ、新カウンターテーブル「VaMoS(バモス)」がフェーズフリー認証を取得
⑤ イトーキ、「Workers Trail Hoteling Label」を10月2日から発売
⑥ オカムラ、折りたたみ式生鮮多段カート「トレイカート F」を発売
+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り
NOPA、第36回日経ニューオフィス賞の表彰式を開催
経済産業大臣賞は兼松東京本社オフィスが受賞
2023年9月4日から10日までのオフィス家具業界の主なハイライトについては、(一社)ニューオフィス推進協会(NOPA)は2023年9月6日、東京都千代田区大手町の日本経済新聞社東京本社ビルで、第36回日経ニューオフィス賞表彰式を開催しました。
日経ニューオフィス賞は、一般社団法人ニューオフィス推進協会と日本経済新聞社が主催。経済産業省と日本商工会議所が後援する、ニューオフィスづくりの普及・促進を図ることを目的に、創意と工夫を凝らしたオフィスを表彰する制度。
表彰式では、主催者挨拶をニューオフィス推進協会会長の三栖邦博氏が行い「この表彰事業の目的は、創意と工夫にあふれ特に優れた先進的なオフィスを顕彰しニューオフィスの具体的模範事業として公表。そのことを通じて我が国のオフィスづくりの普及促進を図ることでございます。本日受賞されたオフィスはまさに模範となるオフィスでございます。このようなオフィスをつくられた皆様方の高いご見識とご熱意にこころより敬意を表さしていただきます。今年も全国から数多くの応募をいただきました。応募数全体としては、例年並みの132件の応募となりました。応募の内容の目立ったことの1つに地方の大都市や首都圏周辺部の先進的で大規模な研究開発系のオフィスが多かったことがあげられます。我が国のものづくり産業の健全な発展と研究開発への旺盛な投資が背景にあることがあります。応募オフィスの審査にあたられた古谷審査委員長をはじめ全国および各ブロックの審査委員の先生方には精力的にご審査いただきましてありがとうございます。また、ご応募いただいた企業の皆様、現地審査にご協力いただいた企業様にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げます。……………
イトーキ、「ITOKI TOKYO XORK」が、国際的なデザインアワード「Shaw Contract Design Awards 2023」にて「Best of Asia」を受賞
イトーキは、東京本社「ITOKI TOKYO XORK」が、革新的で創造的な空間を表彰する国際的なデザインアワード「Shaw Contract Design Awards 2023」にて「Best of Asia」を受賞したといいます。
「Shaw Contract Design Awards」は、デザインの観点から、新しい働き方、学び方、癒し方、生活を刺激する革新的で創造的な空間を表彰する、今年で18年目を迎える国際的なデザインアワードだといいます。審査員に著名なデザイナーを迎え、アジア、オーストラリア&ニュージーランド、カナダ、インド、中国、ラテンアメリカ、中東およびアフリカ、英国およびヨーロッパ、アメリカ合衆国のそれぞれのエリアにおける「Best of Region」と、その中から「Best of Globe」が選出され表彰されるとしています。
コクヨ、サステナブルな木製家具ブランド「yuimori(ユイモリ)」が、「第6回エコプロアワード」優秀賞を受賞
コクヨは、同社のサステナブルな木製家具ブランド「yuimori(ユイモリ)」が、一般社団法人サステナブル経営推進機構が主催する「第6回エコプロアワード」優秀賞を受賞したことを9月6日に発表しました。
「yuimori」は、人と自然がより良く共生する社会の実現へ向けて、国産木材の活用を通じて貢献することを目指し、同社が2021年に立ち上げた木製家具ブランドだといいます。2022年にシリーズ第一弾として、ラウンジチェアー・テーブルシリーズを発売しているとしています。国産木材を活用した存在感のあるデザインで、目にした人が思わず触れたくなる、座ってみたくなるような、国産木材に触れるきっかけになることを願い、オフィスの人が集まるコミュニケーションスペースや人を迎るエントランスをターゲットとして開発したとしています。
コクヨ、新カウンターテーブル「VaMoS(バモス)」がフェーズフリー認証を取得
コクヨは、同社の新カウンターテーブル「VaMoS(バモス)」が、8月末にフェーズフリー認証を取得したことを9月4日に発表しました。
同社によると、フェーズフリー認証とは、商品やサービスが日常時および非常時の価値を共に有していることを証明するための制度で、一般社団法人フェーズフリー協会が審査をするといいます。
同認証取得をした同社の新カウンターテーブル「VaMoS」は、2023年6月から発売を開始し、自治体庁舎等における窓口業務のスタイル変化(オンライン化等)に対して、レイアウトやオプションを組み変えることで、日常利用から緊急時の臨時業務においても柔軟に対応できる特長を備えた同社独自の商品だとしています。
イトーキ、「Workers Trail Hoteling Label」を10月2日から発売
イトーキは、働く場所の選択と利用を円滑化するワイヤレス&操作レスな予約状況表示ラベル「Workers Trail Hoteling Label(ワーカーズ トレイル ホテリング ラベル)」を10月2日(月)から発売するといいます。
同社によると、ハイブリッドワークやWeb会議、フリーアドレスによるオフィス運用が普及し、働き方が多様化してきている一方、従来の会議室の予約利用に加え、クローズドブースやデスクなど複数の社員が同じスペースを予約して利用する機会が増加してきているといいます。そのような中で、専用アプリで確認しなければ空き状況が分からない、予約時間を超過した利用で次の予約者が予定通り利用できないなどの弊害も生じているとしています。
今回発売する予約状況表示ラベル「Workers Trail Hoteling Label」は、予約・利用状況をリアルタイムに可視化することで、働く場所の選択と利用の円滑化を実現するとしています。
オカムラ、折りたたみ式生鮮多段カート「トレイカート F」を発売
オカムラは、コンパクトに折りたたむことで省スペースに保管できる生鮮多段カート「トレイカート F」を発売することを9月6日に発表しました。
生鮮多段カートは、スーパーマーケットや生鮮食品専門店におけるバックヤードでの生鮮食品加工作業や、加工した商品の売り場への品出し作業で使用するカートだといいます。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目した記事については、NOPA、第36回日経ニューオフィス賞の表彰式を開催があります。同賞のリアルな表彰式と受賞記念の懇親パーティは4年ぶりということでしたが、その間、コロナ禍以前、コロナ禍、主にハイブリッドワークを中心とした現在のオフィスの状況、そして未来への視座と、様々な視点が披露された表彰式であったのではないかと思います。
山人にとっても、4年ぶりのリアルな取材で、新たに耳にする言葉や従来より一層現実味を帯びてきた言葉などがとても新鮮に聞こえ大変貴重な取材経験であったと思います。挨拶をされた方々のお話のなかからそれらの言葉をピックアップしてみると、表彰式と懇親パーティでの三栖会長のご挨拶のなかでは、「EVP(Employee Value Proposition)の観点」「人的資本主義」「オフィスづくりは働く人々の場づくりであると同時に振る舞いづくり」「オフィスはコロナ前は働かされる場所、コロナ後は自ら率先して主体的に働く場に」「well-beingがオフィスづくりの主要なテーマ」など。
古谷審査委員長の講評、懇親パーティでの挨拶のなかでは、「会社のオフィスに集うことの意義、楽しさ」「会社に来ることによって初めてできることの価値」「若い人も一丸になってのオフィスづくり」「愛着をもってオフィスを使う」「日々勤めていることを実感、誇りに思う」「各社各様の個性を持った、その会社に合ったオフィスづくりを若い世代の人を中心につくりあげた」、など。
米倉誠一郎日本ファシリティマネジメント協会会長の来賓挨拶では、「いままでは効率中心、これからはクリエイティビティ」「次の世代に継ぐことを考える」など。
今までも言われていましたが、より重みや現実味を増してきた言葉、これから更に重要になるであろうキーワードや言い回しが多く発せられていたと思います。
それ以外にも、受賞者代表挨拶の中でも様々な気づきや体験が語られていますが、そこは読者の皆さんが読み解く楽しみとして頂きたいと思います。
それらのなかで、特に、三栖会長のパーティのご挨拶のなかでの、「一言でいうとコロナの前は働く人にとってはオフィスは働かされる場所だったのではないか、コロナ後は自ら働く場になった、自ら率先して主体的に働く、そういう場になった、働く側の大きな変化ではないかと思っております。オフィスづくりを自分事として捉え、自分も参画してオフィスをつくり、そしてそこで振る舞う。オフィスがそういう場になったのではないかなと思います。その背景には、よくいわれます人的資本経営が重視されるなかでwell-beingがオフィスづくりの主要なテーマになってきております。そういったなかで、従業員にどういう価値が提供できるか従業員に提供できる価値、Employee Value Propositionといわれますけれども、そのEVPの具現化がオフィスづくりで大変重要になってきたということも大きな変化であると思います。このEVPの視点が今後のオフィスづくりにいろいろな新しい挑戦とか、新しい可能性を拓いていくのではないかという気がしている」というご発言や、古谷審査委員長のこれもパーティのご挨拶のなかでの、「最近の新しい住宅にはそれぞれ共働きのご夫婦が家の中に気持ちよく仕事ができる拠点などが構えられておりまして、….後は本当に自宅といわず、それこそいろいろなところに仕事の環境が整い、そのなかで本社、あるいは拠点となるオフィスの快適なそして非常にワクワクする創造性あふれるオフィスづくりというものが連環してきますと素晴らしいワーク環境というものが出来上がるのではないかなと思った次第です」というご発言は、今回の表彰式の象徴的内容であったように思います。
もう一つ蛇足ながら、三栖会長がおっしゃている「オフィスづくりは働く人々の場づくりであると同時に振る舞いづくり」について山人の思うことは、いままで言われてきたモノからコトへの流れのなかで、モノからコト、そして振る舞いへという図式が成り立つのではないかということです。そして、さらにその振る舞いによって実現する価値を生み出すために求められる必然的な機能がまたモノへと還ってくる、という還流ができあがるのではないかということ。リアル、バーチャル問わず、オフィス発展のスパイラルの図式の形成が期待できるのではないかと思いました。
イトーキ、「ITOKI TOKYO XORK」が、国際的なデザインアワード「Shaw Contract Design Awards 2023」にて「Best of Asia」を受賞の記事ですが、そのエントリー内容にある「同じフロアにオフィスとショールームがオープンに共存することで、「自社ブランドと社員との接点」、「営業と顧客との接点」、そして「商品開発と市場との接点」の更なる強化を図ります」という部分の「接点」という言葉に注目しました。
接点の大切さというのは、そこを追求、深めていくことで新たな課題が見え、それに対するソリューションを考えることでそこに新たなイノベーション、もしくは進化のカタチが見えるということだと思います。それはよくいわれていることでもありますが、実際のモデルで実践するこのスケール感はXORKならではのものなのかもしれません。つまり、実戦的に等倍のオフィスで開発、すなわち学ぶことができるということでもあり、未知である次の次元の働き方に結びつけていくことができるという意味で「XORK」という名前がふさわしいオフィスなのではないかと思いました。
コクヨ、サステナブルな木製家具ブランド「yuimori(ユイモリ)」が、「第6回エコプロアワード」優秀賞を受賞の記事ですが、同社の『「yuimori」の取り組みについて、森林保全活動から取り組みが始まり、家具ブランドまでつなげた活動である点や、家具製造において国内針葉樹の利用が進まない障壁をクリアし、意匠性の高いオフィス家具を開発した点などが評価された』としていますが、まさに素材のリアルさからモダンなカタチの商品にするにはデザインの力が必要であるということがよくわかると思います。古典的、オーソドックな手法でまさに王道だと思いまし、今後このような手法が市場にさらに浸透していくことが望まれるのだと思います。
イトーキ、「Workers Trail Hoteling Label」を10月2日から発売の記事ですが、これに関しては「オフィスにおけるリアリズム」というものを考えました。
同製品は表示画面に「電子ペーパー」を使用しているといいます。前述のXORKの「Shaw Contract Design Awards 2023」にて「Best of Asia」を受賞の記事でも述べましたが、「接点」この場合、いわゆるインターフェースという面で考えたとき、液晶などの表示ではなく電子ペーパーの方がより人間の感覚に優しいイメージがあるのではないでしょうか。技術や設えとの距離をぐっと近づける選択なのではないかと思いました。ややもするとより先進的イメージに訴えたくなる最新のデジタル技術ですが、この製品の場合、小さな表示ラベルであるこの製品が、実は技術と知恵が融合した暖かみを感じさせる親切なイノベーションとでもいうべき大きな提案であるような気がします。デジタル技術を融合したオフィス製品において、ギミックではなく、よりリアルを想像、感じさせるためのオフィスのリアリズムというテーマがこの製品によって見えたような気がしています。
オカムラ、折りたたみ式生鮮多段カート「トレイカート F」を発売の記事ですが、記事の本文中では「折りたたむことでカートの保管スペースを約40%削減することができる」としていますが、これは反面「空間を創り出す」ということなのだと思います。
記事のなかにもありますが、つくりだした空間を様々な用途に活用できるということは、スペースや時間、労力などを有効活用する物流、流通の分野では非常に大切なポイントなのだと思います。それぞれの店舗や売り場において独自の事情を抱えているなかでそれをいかに効果的に利用するかを考えられることは、その場所独自の特性を出すことに通じるものとして大きく貢献することだと思い、意義のあることだと思います。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各団体、メーカー様には何の関係もありません)