東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

6/26 ~7/2、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

【今週の目次】

① コクヨ、デジタル人材教育・実践プログラム 「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」を開校

② スチールケース社、カーマンチェアを発売

③ 家具関連企業35社、「家具インテリア リサイクル&リニュー協議会」を設立

④ イトーキ、構造改革がもたらす経営の進展にフォーカスした、「統合報告書2023」を発行

⑤ プラス、「プラスグループサステナビリティレポート 2023」発行

⑥ イトーキ、第14回J-クレジット入札販売で13万トンのJ-クレジットを調達

+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り

コクヨ、デジタル人材教育・実践プログラム 「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」を開校

データとテクノロジーを活用できるスキルの習得により、既存の課題解決、新規ビジネス創出を目指す

2023年6月26日から7月2日までのオフィス家具業界の主なハイライトについては、コクヨは、データやテクノロジーの活用による既存の課題解決や新たなビジネスの創出を目指し、スキルの習得と活用に向けたコクヨグループ社員向けのデジタル人材教育・実践プログラム「KOKUYO DIGITAL ACADEMY(コクヨ デジタル アカデミー)」を6月28日(水)に開校しました。


また、同日東京品川オフィス「THE CAMPUS」とZoom参加のハイブリッドでキックオフイベントも開催し、開校を宣言するとともにパネルディスカッションなども開催しました。


今回の「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」の創設は、「データとテクノロジーを活用できる社員のスキル習得」、「データとテクノロジーの活用による既存の課題解決や新たなビジネスの創出」を目的とし、2025年内に400名のデジタル人材を輩出することを目標としているといいます。学長は、株式会社カウネットにてeコマース事業を統括するカウネット代表取締役社長の宮澤典友氏が務め、副学長には国内大手企業にて人事・経営変革を経験してきたコクヨ執行役員の越川康成氏、数々のAIプロジェクトを推進してきたカウネット社外取締役の野口竜司氏が就任するとしています。

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スチールケース社、カーマンチェアを発売

スチールケース社(Steelcase Inc.、本社:米国ミシガン州、以下、スチールケース社)は、メッシュの張り地とフレームが一体化した業界初の構造システムと必要最小限の部品で設計した「Steelcase Karman™(スチールケース・カーマン)」チェア(以下、カーマンチェア)を 2023 年 6 月 29 日から、同社の日本公式オンラインショップおよび販売代理店を通じて販売開始することを6月28日に発表しました。


カーマンチェアは、重いメカ装置の代わりに、人間工学的サポート力を持たせた高機能張り地としなやかに屈曲するフレームが「システム」として一体化しながら動き、メッシュチェアの弱点である大腿部や背中への圧迫を軽減するエルゴノミクスチェアだといいます。また、同社の脱炭素化に向けたサステナビリティ戦略に沿い、最小限の資源と必要最小限の部品で設計し、従来の高機能チェアの重量が 20~30kg のところ 13Kg の軽量化を実現したとしています。その軽快なデザイン性とシンプルな操作性、軽量化により、オフィスチェアとしてだけでなくホームオフィスにも適した高機能チェアだとしています。

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家具関連企業35社、「家具インテリア リサイクル&リニュー協議会」を設立

家具メーカー、家具小売業、物流企業など家具インテリア業界のサプライチェーンに関わる有志企業35社は、家具インテリア業界の環境経営促進に協同連携して取り組むため、任意団体「家具インテリアリサイクル&リニュー協議会(以下、同協議会)」<会長:岡田贊三氏/飛驒産業株式会社代表取締役会長>を2023年6月28日(水)付にて設立したことを同日発表しました。
同協議会の参画各企業は、家具インテリア業界共通の課題である、不要家具の引き取り・再利用・再資源化などの資源循環や、森林の生態系保全、CO2排出削減など、環境負荷の少ないサプライチェーンの構築とサーキュラーエコノミーの実現を目指し、連携して取り組んでいくとしています。

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イトーキ、構造改革がもたらす経営の進展にフォーカスした、「統合報告書2023」を発行

イトーキは6月29日、「イトーキ統合報告書2023」を発行し、イトーキ公式ウェブサイトにて公開しました。


同社は、創業当時から受け継がれるDNAを「Tech×Design」と表し、中期経営計画「RISE ITOKI 2023」の最終年度に向けた着実な成果を多様な観点から報告しているといいます。財務・非財務の両面における取り組み内容についての情報を拡充したほか、女性活躍推進、新素材研究、DX推進に焦点を当てた特集ページを新たに設け、同社の独自性のある価値創造に挑戦する姿勢を表明したとしています。
さらにウェブサイトでは、ESG経営の実績を数値でくわしく示した「ESG DATA BOOK 2023」を併せて公開しているとしています。

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プラス、「プラスグループサステナビリティレポート 2023」発行

プラスは、2023年6月26日、プラスグループ(以下 同社グループ)のサステナビリティ推進活動に関する取り組みや進捗状況等を取りまとめた報告書「プラスグループ サステナビリティレポート2023」を発行し、同時にプラス公式サイト内の「サステナビリティページ」も刷新し公開したことを同日発表しました。

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イトーキ、第14回J-クレジット入札販売で13万トンのJ-クレジットを調達

イトーキは、J-クレジット制度事務局が2023年5月に開催した第14回J-クレジット入札販売に参加し、再エネ発電のJ-クレジット約13万トンを落札したことを6月30日に発表しました。

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注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目した記事については、コクヨ、デジタル人材教育・実践プログラム 「KOKUYO DIGITAL ACADEMY」を開校の記事です。
今回のことは、コクヨという文房具、家具、空間デザインなどをメインに主にリアルな製品を取り扱っている業界の巨人が、その未来のためにデジタルを活用する方向に大きく舵を切ったということの象徴なのではないかと思いました。もちろん同社は「長期ビジョンCCC2030」の実現と掲げていてその中にそのことを謳ってはいますが、今回の試みは巷間行われている数多のデジタル化への試みやセミナーなどより現実味を帯びていて、なおかつさらによく勘所を掴んだ高次元のレベルのものと思われ、同社の本気を感じます。


そのポイントは、「GPT-Lab(ジーピーティーラボ)」「アップスキリング」「チューター・講師アシスタント制度」そして3人のプロフェッショナルの方を学長と副学長に据えたことだと思います。
「GPT-Lab」に関しては、3つの講座で構成される「アカデミーの卒業生、あるいはアカデミー卒業相当のスキル・知識を持っている社員向けに、学びの実践経験の場として新たに設置したプログラムだといいます。社員はアカデミーで学んだことを活かし、所属部署の業務とは別に、プロンプトの開発や、アプリの企画から開発、運用保守までを実践。ビジネスへの実装を目指す」とあるように、単に講座を受けてそれで終わりではなく実践経験の場を設置するということが重要なのだと思います。実践経験の繰り返しによって、知識は体得され、身体の中に刻み込まれそれが暗黙知として蓄積されていきます。やがてそれは、自信を形成していき、自分自身の中で新たな価値として醸成されていきます。それが、「チューター・講師アシスタント制度」としてさらに大きく成長していくのだと思います。
「2025年内に400名のデジタル人材を輩出」とありますが、この400人がコクヨの社内に解き放たれ、実践と経験を繰り返していくことで、その影響は計り知れないものになると思います。しかもそれは少なくとも累乗的に拡大、浸透していく可能性があります。このやり方は実は昔からあるやり方でもあるのですが、これがデジタルの世界においても使用できるというのが、このプロジェクトを推し進める人たちの知恵の深さで、ここらあたりが成功を予感させる大きな要素でもあると感じます。また、そのデジタルもどんどん次の段階へ進化していて、AIやチャットGPTの出現で逆に使いやすくなり、今がそのタイミングだという判断もあったようです。


「アップスキリング」という言葉を使用したことも大きなポイントだと思います。「リスキリング」といってしまうと新しい何かをはじめるイメージがあり、いままでの経験やスキルとの距離感を感じ、もしかしたら今までを否定してしまうことにもなりかねません。つまり、アップスキリングという言葉を使うことにより、過去を活かし、未来へいくために今を変容させることができるのです。もはや古い喩えになるかもしれませんが、新しいスキルは実は新しいOSとなり、すべてのデータはそのOSによってバージョンアップされるので、無駄にならないどころか新たなデータとしてとても有効なものに生まれ変わるということなのです。「不易流行」とか「温故知新」といわれてきたものに近いところがありますが、それがデジタルの力をかりて行われていくことなのだと思います。「アップスキリング」という言葉はコクヨを大きく生まれ変わらせる魔法の言葉かもしれません。(いままでの日本全体にも通じるのではないかとも思います)
もちろんコクヨがすべてデジタル製品を販売する企業に変わるということではありません。リアル、アナログをデジタルの発想とスキルも使いまた新たなリアル、アナログの製品を提案することも続けていくのだと思います。しかしその製品をつくる過程をデジタルの力と発想において構造改革、意識改革、風土刷新をしていこうということなのだと思います。その製品はデジタルの洗礼をすでに受けたものになるということなのだと思います。巨人にとって新たな知識であるデジタル技術が、共有するべき風土の1つとなり、創造の技術、「腕」や「技」になる日も近い将来やってくるのだと思います。

スチールケース社、カーマンチェアを発売の記事ですが、これも、世界を代表するオフィス家具メーカーの巨人ともいうべきアメリカのスチールケース社が新たに開発したオフィスチェアとしてこの「カーマンチェア」に注目したいと思います。


同チェアの1番の特長は、「チェアの重いメカ構造と固定フレームの代わりに、しなやかに屈曲する超軽量フレームと張り地が「システム」として一体化した画期的設計で、痛みの原因となる身体への負荷を軽減し、多様な姿勢にも柔軟に応えることが可能になった」というところだと思います。同社の先進的な座り方を提案したチェアに「シルク」がありますが、シルクが炭素繊維を徹底的に研究しほとんど座と背が一体化したシェルですべてを解決したのに比べ、カーマンチェアの方は、逆にしなやかに屈曲する超軽量フレームと張り地が「システム」として一体化するということなのだと思います。つまり、従来のチェアの持つ構造からシステムへの移行が行われたということなのでしょう。それを担保するのが、フレームと新たに開発したという高機能張地「インターミックス」ということなのだと思います。結果として、13㎏という重量、見る角度で色が変化するなどの張り地カラー展開、サステナブル対応、など最新のオフィスチェアとしての要件を満たすだけでなく、在宅ワークにも適しているという優秀なチェアであると同時に強力な商品に仕上がっているのだと思います。
山人はまだ、試座をしていないので、現在は説明だけを基にした推測の域を出ませんが、出来るだけ早く実際の座り心地を体験してみたいと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各団体・企業様には何の関係もありません)

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