東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

5/29 ~6/4、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

【今週の目次】

① イトーキ、東京本社「ITOKI TOKYO XORK」を大規模リニューアル

② オカムラ、アジア最大級の国際デザインイベント「Design Shanghai 2023」に初出展へ

③ コクヨ、周囲とゆるやかに繋がり、多目的な用途に対応できるセミクローズドタイプブース「WORKPOD TETRA(ワークポッド テトラ)」を新発売

④ イトーキ、文部科学省の採択事業によりメタバースを活用した「バーチャルSTEAM教室」を開発し、静岡聖光学院にて実装

⑤ コクヨ、ロングライフ設計のワークテーブル「WorkVistaLight(ワークヴィスタライト)」を新発売

⑥ コクヨ、「コクヨグループ統合報告書 2023」発行

⑦ コクヨ、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」が本格始動

⑧ コクヨサプライロジスティクス、物流センター含む全拠点へコアタイム無しのフレックスタイム制度を導入

+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り

イトーキ、東京本社「ITOKI TOKYO XORK」を大規模リニューアル

働くヒト起点のオフィス回帰、進化し続ける接点創造オフィス

2023年5月29日から6月4日までのオフィス家具業界の主なハイライトについては、イトーキは、本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)をポストコロナにおける新たなセンターオフィスとして大規模リニューアルし、2023年4月26日に公開したことを5月31日に発表しました。
※「XORK」という名称について:これまでの働き方「WORK」を次の次元へと進化させることを表現するために、アルファベット順でWの次にくる"X"とWORKをかけ合わせて「XORK」としているといいます。


同社によると、コロナ禍を経て、働く場所は拡散・流動化し、ハイブリッドワークが定着したといいます。一方で、個人と個人、個人と組織の関係性や組織への帰属意識の希薄化などの問題も浮き彫りになっていて、センターオフィスの役割は、同時に集まって業務を遂行する場所から、新たな魅力や多様な機能を持つ場所へと変化が求められているとしています。
イトーキはこれからのセンターオフィスの役割を、リアルなコミュニケーションを通じた「"ここでしかできない体験"に特化した場」、所属意識や愛着・相互の信頼感醸成といった「個と組織をつなぐ求心性の場」、ブランドアイデンティティの発信や多様なステークホルダーとのコラボレーションを生む「社会とのつながりの場」と捉えているといいます。
今回のリニューアルでは、イトーキが2018年から実践の取り組みを行ってきた「Activity Based Working(以下ABW)」の考え方に基づく、自己裁量を最大化しオフィスワーカー自らが働き方を自律的にデザインする総合的なワークスタイル戦略「XORK Style(ゾーク・スタイル)」に「居心地」の視点をプラス。空間のさらなる多様化により、オフィスワーカーの"働き心地のよさ"を生み出すことで、ポジティブなマインドを醸成し、創造性を最大化していくといいます。そして「集まる」ということを力に変え、生産性を向上し、新たなイノベーションを生み出していくことを目指しているとしています。

オカムラ、アジア最大級の国際デザインイベント「Design Shanghai 2023」に初出展へ

オカムラとオカムラの関係会社である中国現地法人の奥卡姆拉(中国)有限公司は、2023年6月8日(木)~11日(日)に上海ワールドExpoエキシビション コンベンションセンター(中国・上海)で開催される「Design Shanghai 2023」に初出展することを6月1日に発表しました。


「Design Shanghai 2023」は、アジア最大級の国際デザインイベントであり、今年で10周年を迎えるアジアを代表するデザイン展示会だといいます。6つのデザインセクションで構成されていて、オカムラはワークプレイスデザインセクションにて、2022年11月に国内で発売した建材製品「Lives Post Beam(ライブス ポストビーム)」や6月から海外での販売を開始するタスクシーティング「Spher(スフィア)」を展示するとしています。

コクヨ、周囲とゆるやかに繋がり、多目的な用途に対応できるセミクローズドタイプブース「WORKPOD TETRA(ワークポッド テトラ)」を新発売

コクヨは、オフィス内にWeb会議や集中作業に適した環境を構築できるクローズドブース「WORKPOD(ワークポッド)」シリーズから、新製品セミクローズドブース「WORKPOD TETRA(ワークポッド テトラ)」を6月1日(木)に発売することを同日発表しました。


「WORKPOD」シリーズはWeb会議での音対策や集中作業に快適なワークスペースとして、2020年7月に発売。
この度発売する「WORKPOD TETRA」は、天井・床面のない4面体のローパーティションブースだといいます。従来品がフルクローズドタイプであるのに対して、セミクローズドタイプとなり、周囲とゆるやかに繋がるワークスペースを提供するとしています。また、消防申請が不要で設置可能のため設備工事の負担を抑えられるとともに、フレキシブルにレイアウト変更や移設をすることができるとしています。
一方で、高さを従来のローパーティション(2100㎜)より180㎜高くした2280㎜で周囲への音漏れにも配慮しているとしています。

イトーキ、文部科学省の採択事業によりメタバースを活用した「バーチャルSTEAM教室」を開発し、静岡聖光学院にて実装

イトーキは、生徒自らが個性を生かした表現活動を行う「研究発表会」と、海外と接続してオンライン上で交流を行う「国際交流会」をテーマに、メタバース技術を活用して仮想空間の学習環境をデザインし、次世代の教育カリキュラムとして学校法人静岡聖光学院協力のもと、実証研究を行い、授業として実装したことを6月1日に発表しました。


また、その成果を文部科学省『次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進事業』の成果報告会で発表しました。

コクヨ、ロングライフ設計のワークテーブル「WorkVistaLight(ワークヴィスタライト)」を新発売

コクヨは、ソロワークからチームワークまで幅広いスタイルやトレンドのデザインへアップデートできる、ロングライフ設計のワークテーブル「WorkVistaLight(ワークヴィスタライト)」を5月31日(水)より発売。


同社によると、コロナ禍を経て、在宅勤務の浸透やフリーアドレスの定着など、働き方に新たなスタイルや価値観が生まれているといいます。企業はその環境変化を捉えて、ワーカーの力を最大限に引き出せるオフィスへ柔軟に対応し続けていく必要がありるとしています。その実現のためには、導入時に長期的な変化を見据えたファシリティの検討が重要だといいます。
この度発売する「WorkVistaLight」は、最新のワークスタイルやデザインのトレンドを取り入れ、かつ柔軟な可変性をもつワークテーブルだといいます。ソロワーク環境の充実に加え、今後のオフィス空間に求められる、よりコミュニケーションを促すようなカジュアルなデザインやセッティングも取り揃えまたとしています。

コクヨ、「コクヨグループ統合報告書 2023」発行

コクヨは、「コクヨグループ統合報告書 2023」を5月31日に発表しました。
同社グループは、2021 年に企業理念の刷新を含む「長期ビジョン CCC2030」を策定し、2030 年には売上高5,000 億円規模の多様な事業の集合体になることを目指すことを宣言したといいます。続く翌年の 2022 年には、パーパスを「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする。」と定め、マテリアリティも刷新することで、サステナブル経営の実現に向け新たな歩みを示し始めているとしています。
昨年初めて発行したコクヨグループ統合報告書ですが、本年も引き続き、株主・投資家をはじめとしたステークホルダーと本報告書を通じて対話を行い、そこから得られるフィードバックを経営に活かしていくといいます。
2年目となる同報告書では、2022 年度の振り返りと課題を再確認し、第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」のゴールに向けた事業変革への取組みや、変革を見据えた「森林経営モデル」の深化などを示しつつ、「長期ビジョン CCC2030」までのコクヨの現在地と未来に向けて行っている取組みについて伝えているとしています。

コクヨ、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK」が本格始動

コクヨは、2023年1月から大阪本社1階にて試験稼働していた、ダイバーシティオフィス「HOWS PARK(ハウズ パーク)」を、2023年6月1日から本格始動することを同日発表しました。

【目的と推進】

「HOWS PARK」は、同社の特例子会社・コクヨKハート株式会社の一部部門の本社内移転に伴い、将来的に両社の強みを生かして業務推進を進め、新たな価値創造を実現する場所を目指したものだといいます。
2021年11月からプロジェクト体制を組み、コクヨとコクヨKハートの社員が連携して計画を推進。コクヨKハートの既存オフィス見学、社員ヒアリングなどを通じて課題を抽出し、ワークショップを開催してゾーニングから家具、施設、サインデザインに至るまで設計案を検討。具体的なオフィス設計においては、ユニバーサルデザイン提案の専門家である株式会社ミライロとパートナーシップを組み、技術監修などを依頼したとしています。
またコクヨ社内においても、ダイバーシティの理解・共感を醸成するためのエンゲージメント活動を展開。2023年1月より試験運用を行い、試行錯誤による改善を繰り返し、この度の本格稼働となったとしています。

コクヨサプライロジスティクス、物流センター含む全拠点へコアタイム無しのフレックスタイム制度を導入

コクヨサプライロジスティクスは、6月1日(木)から、物流センター含め管理する8つの全事業拠点に勤務する社員にコアタイム無しのフレックスタイム制度を導入することを6月1日に発表しました。


同社は働きやすい職場環境への改善を通して、社員のワークライフバランス向上の為に様々な施策を行っているといいます。
スタッフ部門ではコアタイム無しのフレックスタイム制度を2018年7月から導入していましたが、この度対象を物流センター勤務者含む全社員へと拡大したとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目した記事については、イトーキ、東京本社「ITOKI TOKYO XORK」を大規模リニューアルがあります。同社において、XORKはその設立から、同社の最も重要な拠点であり、同社そのものであると言っても過言ではないと思いますが、今回のリニューアルには業界にとっても大きな意味を持つのではないかと思います。


先日行われたオルガテック東京2023においても同社は"Wander into(さまよう)& Reunion(再集結する)"をテーマに展示を展開しましたが、ハイブリッドワークを継続しながらも、オフィス回帰の道を開いていくということだったと思います。そのオフィス回帰も単に集まるということではなく再集結することで再び新たな関係やツールをもって新たな展開をしていこうということだと思います。山人は、同展の展示において、同社は回帰するべきセンターオフィスの新たな境地を開いたという印象を強く受けました。
記事の中にもあるように、従来のXORKスタイルに「居心地」の視点をプラス、空間のさらなる多様化により、オフィスワーカーの“働き心地のよさ”を生む出すことで、ポジティブなマインドを醸成し、創造性を最大化していくとしています。


働くヒト起点のオフィス回帰、行きたくなるオフィス、コンセプトは 〜"Return to office for now" 今こそ、オフィスに戻ろうよ。〜として、① Humanity・Design-共創-② Seamless・Design-共働-③ Sustainable・Design-共生-の3つのテーマに沿って対応する設えを構成しています。

そこで、実際に働くことを通じて、オフィスデータの統合・分析・活用に関するXORKでの実証実験を行い、顧客に最適なオフィスの運用・構築を提案する「オフィス3・0」の実現を目指すとしています。これらの動きは、オフィス家具メーカーのリーディングカンパニーの一角であるイトーキのセンターオフィスが、現在のオフィスのあるべき姿の到達点であり、また、新たな出発点であるということが言えるのではないかとおもいますが、同時に現在日本における最新のオフィスのカタチのひとつなのではないかと思います。

オカムラ、アジア最大級の国際デザインイベント「Design Shanghai 2023」に初出展への記事ですが、同社は、同社の主力製品の「ライブスポストビーム」や「スフィア」を展示するといいます。

山人の興味は、オカムラのシーティングのなかでも最新の座り心地を持つチェアの1つでもある「スフィア」や、「ライブスポストビーム」の思想でもある「Base For Team」が初出展となるという「Design Shanghai 2023」でどのような評価を受けるか、どういうところがどう評価されるのかというところにあります。

コクヨ、周囲とゆるやかに繋がり、多目的な用途に対応できるセミクローズドタイプブース「WORKPOD TETRA(ワークポッド テトラ)」を新発売の記事ですが、一番興味を持ったのは、高さを従来のローパーティション(2100㎜)より180㎜高くした2280㎜であるというところで、それにより音漏れにも配慮したというところです。

そのあたりの「技」はさすがにメーカーだと思います。また、豊富なラインナップやカラーバリエーションなど、より導入しやすい仕様になっていると思われ、今後、オフィス回帰が進むにつれて、需要が高まるであろう同製品の今後の展開に期待が持てるのではないかと思います。

イトーキ、文部科学省の採択事業によりメタバースを活用した「バーチャルSTEAM教室」を開発し、静岡聖光学院にて実装の記事ですが、STEAMについては、文部科学省が、「AIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日、文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められています。文部科学省では、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進しています。」としています。

記事のなかにもありますが、「文部科学省が開始した「GIGAスクール構想」のもと、児童・生徒へ1人1台の端末や通信環境の整備が進み、「教材のデジタル化」や「学習ログの蓄積」といった教育環境へのテクノロジー導入が加速しているといいます。こういった学習環境の変化が教育カリキュラムや授業スタイルなど、学びのあり方そのものに影響を及ぼし、変容/再定義が求められているとしています。そのような市場において、オフィス家具業界が果たすべき役割は今後大きな可能性を秘めていると思われますが、すでにこのような試みが可能であるとうことを改めて認識させていただきました。従来から学びは業界においても大きな柱の一つでしたが、今後オフィス以上に注目に値する分野なのかもしれません。

コクヨ、ロングライフ設計のワークテーブル「WorkVistaLight(ワークヴィスタライト)」を新発売の記事ですが、テーブルの重要性を改めて感じさせられる記事ではないかを思います。

山人はテーブルの広さは思考の広さであると考えるアナログ人間ですが、「導入時に長期的な変化を見据えたファシリティの検討が重要です」と記事にあるように、主力製品が新たな付加価値を与えられ新たな展開を見せると安心したりもします。植栽や照明などさまざまな機能を付加されたことや、インテリアトレンドを取り入れたというリビングライクなデザインなどはもちろん、テーブルにおいてカジュアルとはどういうことかということがよくわかるアップデートであったと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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