東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
5/15 ~5/21、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
【今週の目次】
① イトーキ、4製品が「iFデザインアワード2023」を受賞
② 内田洋行、Open Assessment Technologies S.A.の株式取得(完全子会社化)
③ コクヨ、くらしのシーンに合わせリデザインしたオフィスの定番アイテムのテスト販売開始
+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り
イトーキ、4製品が「iFデザインアワード2023」を受賞
Olika(オリカチェア)、LINEA(リネアチェア)、 iwasemi-HXα(イワセミHXα)、carry tap(キャリータップ)が
2023年5月15日から21日までのオフィス家具業界の主なハイライトについては、イトーキは、4製品Olika(オリカチェア)、LINEA(リネアチェア)、 iwasemi-HXα(イワセミHXα)、carry tap(キャリータップ)が、国際的に権威あるデザイン賞の⼀つだというドイツの「iF デザインアワード 2023」を受賞したことを5月16日に発表しました。
Olika(オリカチェア)
カジュアルな内装のオフィス空間に合うプレーンで親しみやすいスタイリングと、空間を多用途に利用するための機動性と収納性を叶える、ネスティング機能を併せ持ったミーティングチェアだといいます。
豊富なカラーバリエーションは、多様なインテリアデザインに柔軟に対応することができるといいます。座り心地にもこだわり、座の芯材には独自のノウハウであるスリット入りの「ベンディングシート」を採用。やわらかな座り心地を実現しているとしています。デザイン、機能性、価格のバランスを追求し、様々なシーンにマッチするとしています。
デザイナー:株式会社イトーキ プロダクトデザイン部 江連晴洋氏、深谷壮麻氏
内田洋行、Open Assessment Technologies S.A.の株式取得(完全子会社化)
内田洋行は、2023 年 5 月 15 日の臨時取締役会で、Open Assessment Technologies S.A.社(本社:ルクセンブルク、以下「OAT」)が発行する株式の 100%を取得し、完全子会社化することを決議したことを同日発表しました。
OAT は、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA 調査)等にも採用される
Computer Based Testing(CBT)のプラットフォームをオープンソースソフトウェアとして開発している、この分野では世界をリードしているベンチャー企業であり、欧州各国で多数の導入実績をもつ教育 ICT 分野の先進企業だといいます。内田洋行グループは、文部科学省や自治体、教育機関など、わが国での CBT システム導入を行っており、今後は OAT の経営の安定と開発を支援するとともに、両社のノウハウを活用して国内の CBT 市場の拡大と学習デジタルエコシステム構築に取り組むとしています。
コクヨ、くらしのシーンに合わせリデザインしたオフィスの定番アイテムのテスト販売開始
コクヨは、昨今の生活空間の変化を背景に、はたらく場所で使われてきたオフィスの定番商品であるレターケース、デスクトレー、ストックボックスの3アイテムをくらしのシーンになじむようリデザインし5月17日(水)からコクヨ公式ステーショナリーオンラインショップ、Amazonにてテスト販売を実施するといいます。
今回発売するのは、書類をトレーごとに分けて収容が可能な引き出しタイプのスチール製のレターケース3段タイプと5段タイプ。書類や封筒に加えて、文具やかさばる小物をまとめて収容できるフタ付きデスクトレー。日用品の予備などを入れられる段ボール製のストックボックスの3アイテム8品番。オフィスで書類や備品整理に使われてきた使い心地の良さはそのままに、くらしの空間や、趣味部屋の空気感にもなじむようにリデザインしているといいます。スタイリッシュなブラックとやわらかなホワイトの2色のラインアップで、洗練された雰囲気に生まれ変ったとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目した記事については、イトーキ、4製品が「iFデザインアワード2023」を受賞があります。
オリカチェアは、2021年の12月に同社の定番ミーティングチェアとして発表・発売された同製品は、「時間や場所にとらわれない働き方が増え、仕事と生活の境界がシームレスになり、ワークスペースはまるで自宅でゆったりするような心地よくカジュアルなデザインで構成されることが増えてきた」というオフィス環境下に投入された同社の主力製品であると思います。
「ワーカーはそんなオフィス空間を執務はもちろん、打ち合わせやセミナー、リフレッシュや食事、雑談など幅広い用途で利用するようになっています」とあるように、オフィス空間においてミーティングチェアという製品の用途が広がり、また多様化していて、このカテゴリーにある製品がイスというアイテムの中でより大きな役割を果たすことを求められ始めたということがわかります。それゆえに、ネスティングなどミーティングチェアとしてのベーシックな機能を備えたうえで、同社独自のベンディングシートなどで長時間座っても疲労感の少ない座り心地などを実現、さらにテーブル付タイプなどのバリエーション、インテリアに合わせて「DUOトーン」「MONOトーン」「Woodトーン」など豊富なCMFを揃えたことなど、いち早く時代の変化に対応、リードしていく同社の姿勢が良くわかる製品だと思います。
リネアチェアは、背座一枚のニット生地が、ハンモックのようにからだにフィットする座り心地を実現するというミーティングチェアで、プラスチックの使用量の削減と製造プロセスの簡略化によって製造に使うエネルギーを最小限にしたという、より、環境を意識した製品だと思います。
様々な機能を付け加えるのではなく、製品の中に凝縮して内包し、その結果として必然的なカタチをとり、そしてそれが美しいシルエットを持っている。これは、デザインの持つ力だと思いますが、それを実現できるのは、オリカチェアもそうですが、開発者をはじめイトーキというメーカーの底力なのではないかと思います。
イワセミHXaは、オープンイノベーションというものの典型例だと思いますが、その1つのメリットとして、高度なテクノロジーやアカデミズムの方法が多く導入されることで、業界のさらなるレベルアップや、また、その存在がより社会的に認知向上につながるのではないかと思います。
コロナ禍において、リアルなオフィスでは従来のガラスパーティションを使用した会議室がその力を発揮することが難しい部分があったのではないかと思いますが、コロナ禍が沈静してきたことで、オフィス回帰が始まり、従来の会議室をより機能的、意匠的に向上させる同製品への期待は大きいのではないでしょうか。この製品を見て、新しい技術を生かすこと、すなわち製品化して商品として成功させることはオフィス家具メーカーにとって1つの使命なのではないかと思うようになりました。
キャリータップは、オフィス内の最適な作業空間を移動できるモバイル電源だといいます。
ワークライフやオフィスプランの柔軟性を高めることに貢献するとしていますが、それに加えてシンプルなデザインがフレキシブルなオフィスを構成するときに骨組みやアクセントになるのではないかと個人的には思えます。もしかしたら電源をメンバーで共有するという意味で、ある種の連帯感が出るかもしれませんね。
内田洋行、Open Assessment Technologies S.A.の株式取得(完全子会社化)の記事ですが、ポイントは、この株式取得が、将来に向けての学習デジタルエコシステム構築への重要な布石であり、同社にとって必然の動きということなのでしょうか。「GIGAスクール後の教育サービスの変革にチャレンジし貢献していく」とありますが、Computer Based Testing(CBT)の広がりがその1つの大きな柱なのだと思います。「児童生徒ひとりひとりの学習を向上するために、学習者が特定のプラットフォームに縛られることなく自分に合った学習コンテンツやツールを自由に使える学習デジタルエコシステムの実現が求められていて、オープンソースの CBT システムはその中核として期待される」としていますが、この動きが功を奏することに期待し、注目していきたいと思います。
コクヨ、くらしのシーンに合わせリデザインしたオフィスの定番アイテムのテスト販売開始の記事ですが、ハイブリッドワークの浸透で、さまざまなシーンで「はたらく」「まなぶ」「くらす」の境界があいまいになっているには周知のことですが、どちらかというと、「はたらく」が「くらす」の中に浸透する場合の方が大きいのではないかと思います。
ある意味では、それをうまく取り入れることで、効率よくまたは健康的な「くらす」が実現する可能性があるのかもしれません。今回の同社の試みが評価を得、それがさらに進められ、それらのことがより明確になるかもしれません。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)