東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

2/20 ~2/26、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

【今週の目次】


① イトーキ、「メタバース×リアル」のハイブリッドショールームによる実証実験を開始

② イトーキ、オンスタジオを発売

③ オカムラ、環境省「第4回ESG ファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において「特別賞」を受賞

④ コクヨ、電子帳簿配信システム「@Tovas」と支出管理クラウド「TOKIUM」が相互提携・販売を開始

⑤ プラス、「ローラーケシポン 箱用オープナー」 インクカートリッジ交換式を発売

+注目のコラム オフィス山人の少し深堀り

イトーキ、「メタバース×リアル」のハイブリッドショールームによる実証実験を開始

「ZA SALON(坐サロン)VR」でDX時代の新しいコミュニケーション空間を提供

2023年 2/20~2/26、オフィス家具業界の主なハイライトについては、イトーキは、 ECメタバースの「メタストア」を提供する株式会社ハコスコ(以下、「ハコスコ社」)の協力の元、バーチャル×リアルのハイブリッドショールームによる、 DX時代の新しいコミュニケーション空間を探る実証実験を開始したことを2月20日に発表しました。

同社によると、2022年9月にリアルなショールーム「ZA SALON TOKYO(坐サロン東京)」を開設以降、多くの来場者があったといいます。今回の実証実験は、より地域や時間を超えたサービスの提供を目指すことを目的としているとしています。
ハコスコ社が提供する「メタストア」による体験スペース「ZA SALON(坐サロン)VR」をメタバース上に構築し、バーチャルの「坐サロンVR」とリアルの「坐サロン東京」のハイブリッド運用を実施予定だとしています。

ZA SALON(坐サロン)VRとは

メタバース上に構築されたショールーム「坐サロンVR」では、チェア製品のVR体験やAR体験、ビデオチャットによるスタッフとの会話が可能だといいます。アプリケーションの導入やVRゴーグルは不要で、Webブラウザ上で利用ができるとしています。(現在PCのみ対応。スマートフォンは後日対応予定)

「ZA SALON(坐サロン)VR」では、以下のサービスを提供する予定だといいます。

チェア製品の商品紹介およびVR(仮想現実)体験
チェア製品のAR(拡張現実)体験
坐サロンスタッフによるビデオチャットでの問合せ対応

イトーキ、オンスタジオを発売

イトーキは、好印象なWEB会議・WEBプレゼンをだれでも簡単に行える、機材と家具をワンパッケージにまとめた製品「on-studio(オンスタジオ)」の販売を開始したことを2月22日に発表しました。

背景

同社によるとハイブリットな働き方が定着してきた中で、プレゼンやセミナー、会議の方法もリアル中心からオンラインを併用した様式へと移り変わったといいます。
しかしオンラインでは「資料を見ていると相手と目線が合わない」「顔映りが暗く印象がよくない」「周囲の音が入りこみ聞こえづらい」など、リアルな場面にはない新たな問題が生じているとしています。
そこで、同社は「だれでも簡単に、好印象なWEB会議・WEBプレゼンができるワンパッケージ家具」を開発し、リアルと遠隔がより快適でシームレスに繋がる環境を実現したとしています。

「on-studio(オンスタジオ)」とは

好印象なWEB会議・WEBプレゼンを行うための「資料を見ていても目線が落ちないような機材と家具構成」「表情を照らす照明」「話者の声をクリアに届ける指向性のマイク」がワンパッケージになっているといいます。
使用する際はUSBとHDMIケーブルの2本を自身のPCに接続することで、通常のWEB会議と同様に使用できるとしています。

オカムラ、環境省「第4回ESG ファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において「特別賞」を受賞

オカムラは、環境省が主催する「第4回ESGファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において、企業規模や業種特性に照らして優れた取り組みを行っている企業として「特別賞」を受賞したことを2月21日に発表しました。

「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」は、2019年にESG金融の普及・拡大に向けて環境省により創設された表彰制度だといいます。ESG金融または環境・社会事業に積極的に取り組み、インパクトを与えた機関投資家、金融機関、仲介業者、企業等について、その先進的な取り組み等を評価・表彰し、広く社会で共有し、ESG金融の普及・拡大につなげることを目的としており、今回が4回目の開催だとしています。
「環境サステナブル企業部門」は、「環境関連の重要な機会とリスク」を「企業価値」向上に向け経営戦略に取り込み、企業価値にもつなげつつ環境への正の効果を生み出している「環境サステナブル企業」の具体的な実例を投資家、企業に示すために表彰するもので、重要な環境課題に関する「リスク・事業機会・戦略」「KPI」「ガバナンス」の開示充実度を、業種別特性も考慮して評価・選定されるとしています。

【オカムラの受賞理由】

「企業規模の観点からリソースが限られる中、固有の特徴的な取組に戦略的に注力している。原材料の循環利用が気候変動の緩和にも貢献すると捉え、「サーキュラーデザイン」の考え方を打ち出し、製品ライフサイクル全体において資源投入量・消費量を抑えつつストックの有効活用を進めている点が個性的であり、評価に値する。」

コクヨ、電子帳簿配信システム「@Tovas」と支出管理クラウド「TOKIUM」が相互提携・販売を開始

帳票の送付・受領・保管業務のトータルサポートが可能に

コクヨと、株式会社TOKIUM(以下、TOKIUM)は、コクヨが提供する電子帳票配信システム「@Tovas(アットトバス)」とTOKIUMが提供する支出管理クラウド「TOKIUM(トキウム)」が2023年2月22日(水)付で相互提携・販売を開始したことを2月22日に発表しました。また、これを契機に、2023年2月28日(火)に初めての共催Webセミナーを開催するといいます。


「@Tovas」は、請求書や納品書・注文書などの帳票を、「電子ファイル」・「FAX」・「郵送」で届けることができる電子帳票配信システムだといいます。2022年1月改正の電子帳簿保存法の施行により、帳票の電子化や送付後の帳票管理で悩む企業が増え、2023年2月時点で利用件数は6万件を突破したとしています。

この度、「TOKIUM」と提携することで、経理業務における帳票の「送付業務」と「受領・保管業務」の電子化が可能となり、電子帳簿保存法への対応、テレワークの実現が可能となるといいます。

また、今春には「@Tovas」と「TOKIUM」のシステム連携を予定しているといいます。「@Tovas」と帳票の受領・保管をサポートするサービスの連携は初めてになるとしています。この連携により帳票の送付・受領・保管まで一気通貫で行うことが可能になるとしています。

プラス、「ローラーケシポン 箱用オープナー」 インクカートリッジ交換式を発売

サクッと開けてイッキに隠す、個人情報保護スタンプ

プラスは、個人情報保護スタンプ「ケシポン」シリーズから、段ボールの開梱機能を搭載し、インクカートリッジ交換式で本体を繰り返し使える「ローラーケシポン 箱用オープナー 交換式」を2023年3月1日に発売することを2月22日に発表しました。


今回、「ローラーケシポン 箱用オープナー」の便利な機能はそのままに、環境意識の高まりに対応し、インクカートリッジを交換できる「ローラーケシポン 箱用オープナー 交換式」が新たに登場。ワンタッチでインクカートリッジを交換でき、本体を繰り返し使用できるエコ仕様になったといいます。本体カラーは5色。メーカー希望小売価格(税込)は、本体1,210円、専用インクカートリッジ759円だとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目した記事については、イトーキ、「メタバース×リアル」のハイブリッドショールームによる実証実験を開始の記事です。
コロナ禍やハイブリッドワークなど、ここ数年のオフィスを取り巻く環境の激変のなかで、未知に課題も含めて、オフィス家具メーカーとしてやらなくてはならないことは多いと思われますが、それを確実に行うことは実は大変なことなのではないかと思います。もちろんそれは新しい商機であり、投資の対象ではあるのですが、それに対する発想、能力がなければ実現できるものではなく、今回の実証実験は大いに意味のあることであるのではないかと思います。


ポイントは少なくても2つあると思っていて、1つ目はこの実証実験は、ZA SALON(坐サロン)というリアルなショールームの存在があるからこそ実現するものだということだと思います。ファクトとリアリティとの関係、実際の乖離や齟齬が現実の課題としてどのくらい発生するかを実証する上で、有効なサービスが生まれてくるかもしれません。ここ数年イトーキが注力してきたDXが様々な業界との障壁を下げてきているのを感じます。
2つ目本文の記事にもあるように、VRゴーグルは不要で、Webブラウザ上で利用ができるということだと思います。ゴーグルの有無がどれくらいリアリティに影響するのかも含めて、PCやスマートフォン(後日対応)で体験できることは、より汎用性を持つ試みだと思います。

イトーキ、オンスタジオを発売の記事ですが、これもまた、オフィス家具の次のフェーズに入った象徴的な事例だと思います。

ITとオフィス家具の融合という意味ですが、それが「コト」として反映されながら実際の「モノ」として具現化していると思います。コミュニケーションプロダクト「オフィスサーフ」などもそうですが、数年までは付加価値として望まれていたことが、IT技術の発達によって具現化し始めたという感じがします。特にイトーキの場合はそれがかたちになってきていると感じます。
オフィス家具業界の価値観としては全く正統な考え方ですが、それをユーザーと共有することが現在の業界の大きな課題なのではないかとも思います。それが達成された、もしくはある程度の理解が進めば、業界の規模や権威はさらに一段上の段階が見えてくるのではないでしょうか。

オカムラ、環境省「第4回ESG ファイナンス・アワード・ジャパン」の環境サステナブル企業部門において「特別賞」を受賞の記事ですが、受賞については、同社の取り組みが魅力ある市場に成長する見込みがあると期待させているということなのではないでしょうか。同社の取り組みが一層進化していき、今後様々な知見が積み上げられていくことに期待したいと思います。

コクヨ、電子帳簿配信システム「@Tovas」と支出管理クラウド「TOKIUM」が相互提携・販売を開始の記事ですが、これに関しては、連携することでより力が強化されるという象徴的な事例なのではないかと思います。特にペーパーレス化したいが、どうしても一定数の業務が残ってしまう人とありますが、すべてか無かではなく、こういった融通の利く対応がより多くの顧客のメリットにつながるのではないかと思います。

プラス、「ローラーケシポン 箱用オープナー」 インクカートリッジ交換式を発売の記事ですが、個人情報保護の観点から生まれた、画期的なセキュリティ製品だったケシポンが、箱用オープナー機能を備えることとなり、今回インクカートリッジまで備えるようになったということは、その時々の市場の変化に対応してきた証左であると思います。それだけ、開発時の発想が進んでいて、本当に必要な機能をもっている製品であるといえるのではないでしょうか。


個人情報保護、eコマースなどの発達による段ボール箱の多用、環境保護対策の1つであるインクカートリッジ交換式、など市場の変化に対応できることがロングセラーであることの条件の1つなのかもしれません。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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