イトーキ、瀬⼾内での実証実験結果を公開

職種別の3グループ24名が対象で計5回のアンケート結果からワーケーションがワーカーにもたらす効果を読み解く

イトーキは1月27日、『瀬⼾内国際芸術祭2022』のパートナーとして、秋会期に社員24名が直島や豊島を中⼼にワーケーションの実証実験を⾏ったことを発表しました。

同社によると、実証実験前後に計5回実施したアンケート検証結果より、瀬⼾内でのワーケーションは、仕事のパフォーマンスやウェルビーイング指標などに改善効果がみられ、それらの効果は4週間持続することが確認されたといいます。同検証では、ワーカーにとって定期的にこのような機会を持つことは、仕事とウェルビーイングの両⾯でエネルギーを満たす機会となり、 企業に有益性をもたらす可能性が⼗分あることを⽰す結果となったとしています。

調査ハイライト

1.仕事のパフォーマンスやウェルビーイング指標の改善効果がみられた。それらの効果は4週間持続。

2.クリエイター系の職種は「主観的幸福感」「⼼理的ストレス」「仕事での成⻑意欲」に、その他の職種では、「仕事での積極性」によりよい影響がみられた。

3.仕事のパフォーマンスは、⾏程の内容や働く場所の環境によって左右されると考えられる。

調査背景

同社によると、2022年3⽉25⽇に公表された国⼟交通省の「令和3年度のテレワーク⼈⼝実態調査結果」によると、テレワークは感染症拡⼤以前の2019年では、⾃営業などを除く雇⽤型の就業者がテレワークを実施する割合は14.8%だったといいます。しかし、202 0年以降、増加し続け2022年には約12ポイント増加し27%まで拡⼤しているといいます。

今後、働き⽅が多様化していくなかで、選択肢のひとつとしてワーケーション導⼊を検討する企業が増加することも考えられるとしています。

イトーキは、昨年、新たな働き⽅をデザインする姿勢や、アートをオフィスに取り⼊れた活動に共感され、瀬⼾内国際芸術祭2022のパートナーに選定されたといいます。この機会において、"アートと⾃然"が融合した瀬⼾内でワーケーションを実施することによってもたらされる効果や持続性を検証するための実証実験を実施したとしています。

調査概要

・ワーケーションの事前事後の変化を観察するため、2泊3⽇(⼀部、3泊4⽇)のワーケーション体験を実施し、その前後に計5回のWEBアンケート調査を実施。

・検証には3グループ計24名が参加し、グループ毎に異なる⽇程・⾏程でワーケーションを実施。

〇実施時期|2022年10⽉

〇検証⼿順|事前アンケート:1回(1週間前)、事後アンケート:4回(直後・1・2・4週間後)

〇調査機関|調査委託先:株式会社TATAMI

〇実施場所|瀬⼾内国際芸術祭のメイン会場である直島と豊島を中⼼に実施

〇実施⾵景|

〇ワーケーションスタイル|

瀬⼾内の島々のサイトスペシフィック・ワーク(⾃然環境を含む)がもたらす⾮⽇常的な体験が、ワーカーにポジティブな影響を与えると仮説し、島々のアートに触れる時間を多く確保し、その間に⽇常業務を⾏うスタイルを採⽤。

〇参加グループ|

結果

1.成⻑意欲が実施前と⽐較して最⼤22%UP、⼼理的ストレスが最⼤38%DOWN。その他の効果項⽬においても実施4週間後でもベースラインよりも良い状態が維持。

⾃然に触れたことや質の⾼いアートを鑑賞したことは、88%の参加者が「仕事⾯」に良い影響を与えたと回答しました。⾃然に触れ⼼⾝をリフレッシュできたことや、アートからインスピレーションや刺激を受け取ったこと等が理由として考えられるとしています。

体を動かす機会も、92%の参加者が「ウェルビーイング」に良い影響を与えたと回答したといいます。特定の要因ではなく、島での様々な体験の影響が積み重なって、ウェルビーイングの向上につながったと考えられるとしています。

2.職種別にみると、クリエイター系の職種は「主観的幸福感」「⼼理的ストレス」に、その他の職種では、「仕事での積極性」によりよい影響を受けていると想定されるといいます。

主観的幸福感や⼼理的ストレスは、クリエイター系の職種(デザイナー等)の⽅がその他の職種と⽐べて、より良い影響を受けているといいます。クリエイター職は、⽇頃から美術館に通っているなどアートへの関⼼・嗜好性が⾼かったことがよりポジティブな影響をもたらした可能性があるとしています。

クリエイター職の⽅がその他の職種と⽐べて、ワーケーション後に、より⾃分の専⾨性を⾼めたいという成⻑意欲の向上がみられたといいます。これはアート作品に触れたことで、⾃⾝のクリエイティブ活動へのモチベーションが⾼まったからではないかと推察されるとしています。⼀⽅で、仕事での積極性はクリエイター職よりもその他の職種の⽅が、⼤きな向上がみられたといいます。アートを観賞して、クリエイター職は専⾨性を追求しようと思うのに対し、その他の職種は、より新しく、⾯⽩いことに挑戦したいと思うようになるのかもしれないとしています。

3.仕事のパフォーマンスは、⾏程の内容や働く場所の環境によって左右されると考えられる。

仕事のパフォーマンスが、実施直後に⼀時的に低下している傾向は、グループ毎の結果をみるとグループAが影響を強く受けていることがわかるといいます。グループAでは働く場所が確保できていなかったことで、ワーケーション中に仕事がしづらかったことが結果に反映されていると考えられるとしています。

また、グループCは他グループに⽐べて、実施後に仕事のパフォーマンスをより⾼い状態で維持していることが⾒てとれるといいます。グループCは、88%の参加者が、地域の⼈々との交流時間を充実させたことが、仕事⾯への良い影響になったと回答しているとしています。

〇測定指標|

瀬⼾内でのワーケーション体験は、ワーカーの仕事とウェルビーイングの両⾯に影響を及ぼす可能性があると考え、「仕事のパフォーマンス、ワーク・エンゲイジメント、成⻑意欲、仕事での積極性、主観的幸福感、感情、精神ストレス」の7つの指標を設定したといいます。

総括

同実験の総括として同社は以下のように述べています。

・2泊3⽇(⼀部、3泊4⽇)のワーケーション体験を実施した結果、仕事のパフォーマンスやウェルビーイング指標の改善効果がみられたといいます。それらの効果は、徐々にベースラインへ戻っていく傾向がみられますが、効果は4週間持続することがわかったとしています。

・効果は、⼤きなスケールのアートとそれにゆっくりと向き合える島の環境がもたらしたものであると考えられるとしています。また、アートへの嗜好性が⾼いクリエイティブワーカーは、瀬⼾内ワーケーションの恩恵をより⼤きく受けることができると考えられるとしています。

⼀⽅、クリエイティブワーカー以外の職種には、仕事での積極性に⼤きな向上がみられ、新たなチャレンジに意欲的になる効果があると思われるとしています。

・ワーカーにとって、定期的にこのような機会を持つことは、仕事とウェルビーイングの両⾯でエネルギーを充電する機会となり、定期的に取り⼊れた働き⽅は企業に有益性をもたらす可能性が⼗分あることを、本検証結果は⽰したとしています。

【調査担当者 髙原 良⽒のコメント】

COVID-19の流⾏が始まってから約3年が経過し、世の中の働き⽅は着実に変化してきました。企業⽂化やワーカーの価値観は⼀新され、遠隔コミュニケーション技術の発達なども重なり、今では働く場所に縛られない、より⾃由な働き⽅のオプションが企業に提供されています。本調査では、ワーケーションの活⽤が、ワーカーのウェルビーイングや仕事の活⼒を向上させ、企業のダイナミズムに繋がる可能性が⽰唆されました。今後、このような新しい働き⽅の活⽤がますます多くの企業に拡がると共に、本調査では、瀬⼾内のアートとクリエイティブワーカーとの親和性など、職種やプログラムによる効果の違いについても⽰唆されたことから、今後、⽇本各地で地域の特⾊を活かしたオリジナリティの溢れるプログラムや施設の開発が進み、多様なワークプレイスが⽇本中に拡がることを期待したいです。

(画像はイトーキ様リリースより)

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