東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
12/26~1/1、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
今週の目次
① イトーキ、「ITOKI WORKPLACE DATA BOOK 2023」を発行
② オカムラ、同社グループが、CDPの気候変動に関する調査においてリーダーシップレベルである「A-」の評価を獲得
+注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
イトーキ、「ITOKI WORKPLACE DATA BOOK 2023」を発行
同社が手がけたオフィスと働き方を調査
2022年12月26日から2023年1月1日までの1週間の業界の主なハイライトについては、イトーキは、「ITOKI WORKPLACE DATA BOOK 2023(イトーキ ワークプレイス データブック 2023)」 を発行したといいます。同社が改修や移転に関与した102社のオフィス事例を調査分析した集計結果をまとめているとしています。
調査ハイライト
・リモートワークを推進している企業は87%、30%の出社率の設定が最多
・フリーアドレスの採用率は79%と増加
・1~2人用の個室設置は引き続き増加傾向
・役員室にガラス製の間仕切りを採用する企業は59%と増加
・新しいオフィスに求められるのは「偶発的なコミュニケーション」を促進する環境
新しいオフィスは執務室の概念が変化
リモートワークとオフィスワークのハイブリッドワークが主流となっている現在、新しいオフィスでは執務室の考え方が変化しているといいます。従来の執務室のみならず、例えば社員食堂や来客用の会議室のスペースが本来の目的外でハイブリッド利用される傾向にあるとしています。働くスペース全てを「ワークポイント」と捉えると、27%は執務席以外の席を利用している結果となったとしています。
オカムラ、同社グループが、CDPの気候変動に関する調査においてリーダーシップレベルである「A-」の評価を獲得
オカムラは、国際的な環境分野の非政府組織(NGO)であるというCDPが実施する調査において、気候変動に対する取り組みや情報開示が優れた企業としてリーダーシップレベルである「A-」の評価を獲得したといいます。
CDPとは
CDPは、英国で2000年に設立され、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するための世界的な情報開示システムを運営している非政府組織(NGO)だとしています。現在では130兆米ドル以上の資産を保有する680以上の投資家と協力して、資本市場と企業調達を利用して、企業が環境への影響を明らかにし、環境への取り組みを動機付ける先駆者となっているといいます。2022年は、世界の時価総額の半分に相当する18,700社以上、1,100以上の都市、州・地域を含む、世界中の約20,000の組織がCDPを通じてデータを開示しているとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目した記事は、イトーキのデータブックの発行です。
この調査ハイライトは現在市場のオフィストレンドを如実に表していると思います。というより、トレンドを裏付ける有力なエビデンスであると思います。
同調査では、リモートワークを推進している企業は87%、30%の出社率の設定が最多ということはハイブリッドワークが主流であり、そのなかで新しいオフィスは執務室の概念が変化しているといいます。社員食堂や来客用の会議室のスペースが本来の目的外でハイブリッド利用される傾向にあるというのは、いままでの固定席や執務空間がよほど煩わしくデメリットが多かったのではないかと考えてしまいます。いままでと比べて「個の独立」とでもいいましょうか、実は働き方に対する考え方というより、働き方に対する要望が大きく転換し始めているのではないかと思います。
おそらく現在の環境のなかにおいて、このような動きがみられるのは、主に作業から創造性を求められる状況のなかで、働く人たちが考える自由、思いを巡らす自由を求めているのではないかと思います。
ITの進化により、管理職のあり方も変わりつつあるのだと思いますが、ハイブリッドワークにおけるABWはまだまだ完全なものではないようにも思います。
イトーキのデータブックはこれらのことをより深く、確かに考えさせてくれます。同社が実際に手がけたオフィスを通して得たエビデンスはよりリアルなものであり、さらにオフィスのあり方に対する新しい考えを生み出す貴重なデータであると思います。
オカムラ、CDPの気候変動に関する調査において「A-」の評価を獲得した記事ですが、リリースにもあるように、『国際的な環境イニシアティブ「RE100」および「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」へ加盟(2022年3月2日)』、『オカムラグループの温室効果ガス排出削減目標が国際的なイニシアチブによるSBT認定を取得(2022年10月14日)』、のように同社は、気候変動に対する取り組みや情報開示などを進めています。このような取り組みを開示してもらうことは山人にとっても学び甲斐のある記事だと思います。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)