東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

11/14~11/20、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

内田洋行、新しい働き方を提案する「UCHIDA FAIR 2023」を開催

2022年11/14~11/20、オフィス家具業界の主なハイライトについては、内田洋行は、2022年11月15日(火)~2022年11月18日(金)の4日間、オフィスファニチャー・ICTの新製品発表会「UCHIDA FAIR 2023」を、新川本社及びリニューアルした新川第二オフィスでリアル展示で開催しました。

同社は、世界全体ではコロナ禍は落ち着きつつあるなか、リアルとオンラインを駆使しながら、場所や時間を超えていく多様な働き方が定着しつつあるといいます。しかし働く場所や時間の選択肢が増える一方で、社員同士での対面の減少から繋がりが希薄になり、ノウハウの伝達やマネジメント上の困難さなど、様々な課題も取り上げられるとしています。日本では2022年の春以降の出社率の回復が大きく進むなか、ハイブリッド時代におけるオフィスの意味が今こそ問われているとしています。
今回の「UCHIDA FAIR 2023」では、オフィスそのものに改めてフォーカスし、多くの企業が直面しているオフィスにおける課題の解決策をいくつかのオフィスシーンとして提案したといいます。
一つはイノベーションを生みだすチームのための場「Team Base」。メンバー同士を繋げ、働く環境に必要な情報を自在にコントロールできる場の提案。
もうひとつは社員個々にとっての働く場の在り方の「心地よい空間」。社員一人一人がより自律的に仕事がしやすい場所であり、集中でき、時には気軽に仲間に相談できる、そのような空間を描いたとしています。
チームの繋がりを強めて組織のダイナミズムを加速させるTeam Base。一体感や安らぎを与える心地良い空間。これらを同社ならではのICTと空間構築を駆使してActive Commons®(アクティブ・コモンズ)の空間として披露したといいます。

内田洋行、「UCHIDA FAIR 2023」の記者内覧会を開催

また、11月14日には新製品発表会「UCHIDA FAIR 2023」の記者内覧会を開催しました。


発表会の冒頭、挨拶に立った代表取締役社長大久保昇氏は、


「2023、来年からに向けてということになりますが、まず現在の状況を皆様と共有したいと思います。『人とデータの時代』というのは当社社内の中期経営計画で使っている言葉でありますが、DXという言葉はこの間、ずっと民間でも政府でも使っている言葉です。ずっと使われているということは、進んでいない、でしょう。当初からついしばらく少し前までじつはデジタル化をさしていました。デジタルをトランスフォームする、しかし変革に結びつかない、これをどうしていくか、現在の政権のデジタル田園都市構想もずばり一番そこにフォーカスされていて「リスキリング」という言葉も出てきております。要はデジタル化というのはデータを精製する、データを使ってどう変革をしていくか、これはまさしく人が行う、変革する人で推進されるわけです。
じつは、私どもの知的生産研究所でも調査をしておりますが、この数字はコロナ中でもいまでも変わっておりません。社員ワーカーの業務というのは、7割がソロワーク、グループワークは3割、それをそれぞれ効率的、探索的の2つに分けました。これが、じつはどちらがいいですかというふうに聞きました。どちらの方をしたいということではなく、どちらがより働きやすいですかという聞き方です。
どちらかを選ぶということであれば若干また違うデータが出るかもしれません。どちらがやりやすいかといいますとじつはすべてにおいてオフィスのほうがやりやすいのです。ということがでています。皆さん想像されますように、グループワークは、オンラインでももちろんできるのですが、対面のほうがより効率が上がるだろうということが容易に想像がつきますが、大差でオフィスのほうがやりやすい。ただ意外にソロワークもどちらがよりやりやすいかという質問だけでいきますとオフィスの方に軍配が上がりました。効率的におこなうというメールや事務処理等でやっと並びかけてきたぐらいです。やはりオフィスというのはいろいろな意味で便利。
ABWが広がる前から、一番いいのは、ワーカーが自ら能動的に業務を遂行する共有地を選ぶほうがずっと効率が上がる、指定されているところではなくて、これを共有地のCommonsに主体的なということでActiveという言葉をつけまして「Active Commons(アクティブ・コモンズ)」、これを2012年から提唱しておりますが、ハイブリッド時代のアクティブ・コモンズとして、今回2つのテーマを出します。
1つはチームを大事にする、その基地として「Team Base」、そして社員個々にとってチームでやる場合ではない場合の「心地よい空間」。
チームベースとは、これBASE(基地)と書きましたが、キチとカタカナで書いてありますが、なんとなく基地っぽい、チーム活動の拠点。戦略を立てる場所です。いまこそイノベートを引き起こしていくというときに、グループの力というものは大変そこで機能していけます。メンバーが一体感を持って集まり、そこでいろいろなひらめきが出てくる。そしてその場とはどのような場なのか、じつは、何かがさっとそろっている場所が良い、まあ、こういうかたちです。
いまイノベーションを最大限引き起こすことを高い目標においている日本のオフィスにおいては、Team Baseというのはどんどんと価値は高まるでしょう。」
などと述べました。

イトーキ、『office surf(オフィスサーフ)』を発売

イトーキは、11月15日、バーチャルオフィスとリアルなオフィスを繋ぎ、ハイブリッドワーク下での気軽なコミュニケーションを実現する「office surf(オフィスサーフ)」の販売を開始したといいます。
オフィスサーフはバーチャルオフィスとリアルなオフィスを繋ぎ、オフィス側からもリモート側からもシンプルなアクションで会話に参加できる、⽴ち話感覚でのコミュニケーションを実現する新しいソリューションだといいます。
オフィスワーカーはオフィスに設置されたチャットスタンドを通してバーチャルオフィスとつながり、リモートワーカーもバーチャルオフィスにアクセスすることで、リモート×オフィスでのシームレスなコミュニケーションをとることがで きるとしています。

イトーキ、LGBTQアライ宣言「PRIDE指標2022」で、「ブロンズ」を受賞

イトーキは、 性的指向や性自認などにおける多様性を尊重し、 誰もがより自分らしく働ける職場環境を目指して、 「LGBTQアライ宣言」をしたといいます。 また、 これまでの取り組みが認められ、 LGBTQに関する職場における取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」において、 「ブロンズ」を受賞したとしています。


同社は、トップコミットメントのもと、さまざまな年齢、性別、性的指向、性自認、国籍、障がい、雇用形態や働き方、習慣、価値観などを持つ仲間を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を 発揮することを目指しているといいます。
・今回のLGBTQアライ宣言をより具体的に表明するために、イトーキは以下のLGBTQアライマーク・企業ロゴを発表するとともに、社内でバッジ・シールを配布したとしています。
今後の展開について
同社は、今後もLGBTQに関する制度拡大や研修等を通して、性的指向や性自認に捉われず、誰もがより自分らしく働ける職場環境づくりを進めていくとしています。

コクヨ、MOVが10周年で10のアップデート実施へ

コクヨは、渋谷ヒカリエのメンバー制コワーキングスペースCreative Lounge MOVが、2022年に迎えた10周年を機に、これまでに寄せられたメンバーの声やリクエストを反映する10のアップデートを、段階的に実施していくといいます。
第一弾は、これまで実施したアンケートでもリクエストの多かった「疲れにくいオフィスチェア」へのアップデートだといいます。2022年11月14日(月)から、オープンラウンジの一部エリアにて、『ingLIFE』をはじめとする全7種類のオフィスチェアを導入するといいます。コクヨ公式ファニチャーショップ『Workstyle Shop』との協業で実現したとしています。

コマニー、エクシスフレームを発売

コマニーは、コロナ禍を経てさらに多様化が進む「はたらく」をサポートする間づくりプロダクトとして、創造性を生むコミュニケーションプレイスを実現する「Xis-Frame(エクシスフレーム)」を2022年11月18日から全国の営業所で発売するといいます。
Xis-Frameは「人と人とを繋ぐ、Team‘s Landmark の間づくり」をコンセプトに、オフィスが”にぎわい” と ”やすらぎ” をまとい、人間同士や散らばるアイディアが真につながる智の交流拠点となるためのサポーターだといいます。メンバーやチームに合った様々なアイテムを付加することで、オンリーワンのワーカーが輝く、そのチームを象徴する間づくりが実現できるとしています。
オフィス空間にXis-Frameを導入することで、フレームがもたらすゆるい境界と、チームらしさを表現できる豊富なアレンジアイテムを組み合わせることにより、用途や目的に合わせた自由な「間づくり」を実現し、カジュアルコミュニケーションを後押しするとしています。
一体感の醸成
気分を高める雰囲気づくり
気軽に立ち寄れる
気持ちの切り替え
集うための目印    など

コマニー、Ricola(リコラ)を発売

コマニーは、多様化する「はたらく」の一つのタッチポイントとなるプロダクトとして、カジュアルコミュニケーションのゾーニングを実現する「Ricola(リコラ)」を2022年11月18日から全国の営業所で発売するといいます。
パーティションでもハイテーブルでもない同商品は、利用者の視界を適度にコントロールするためストレスなくコミュニケーションに集中できる間(ま)を作り出しているといいます。ハイテーブルだけだと視界がオープンすぎるため、周辺が気になり、その場にいる人にストレスがかかる可能性があるといいます。パーティションのフレームを組み合わせることで、利用者の視覚にフレームが入ることにより心理的な安心感とフレームに身を寄せられる身体的な安心感が生まれるとしています。
また、静かな執務エリアと休憩エリアの間を自然にゾーニングするため、その間(ま)で過ごす全ての人がブリコラージュのような「はたらく」を取り入れるきっかけになるといいます。Ricolaは省スペースでも設置可能な丸テーブルタイプと、複数人でも気軽に打ち合わせができる角テーブルタイプの2つのタイプを選べるとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目した記事については、内田洋行のウチダフェア2023の開催記事とそれに伴う記者内覧会の記事です。
その中で特に山人が注目したのは、DXとはどういうことかということを同社がいかに考えオフィス提案に生かしているかということです。

特に、内覧会の記事で大久保社長が「DXという言葉はこの間、ずっと民間でも政府でも使っている言葉です。ずっと使われているということは、進んでいない、でしょう。当初からついしばらく少し前までじつはデジタル化をさしていました。デジタルをトランスフォームする、しかし変革に結びつかない、これをどうしていくか、現在の政権のデジタル田園都市構想もずばり一番そこにフォーカスされていて「リスキリング」という言葉も出てきております。要はデジタル化というのはデータを精製する、データを使ってどう変革をしていくか、これはまさしく人が行う、変革する人で推進されるわけです。」と述べたところで、日本のDXの進捗状況とその課題を鋭く表現し、そしてその解決のヒントを示したということを感じたからです。つまり、同社が「DXはデータと変革する人で推進される」ということがポイントだと思います。いくら環境を整えても、必要なことは実戦です。一歩でもいいから実践し、体験し、それを経験にすることです。そこから技が生まれオフィス、ワーカー、企業に蓄積され、企業も人も成長していく。自ら導入し、学び、いまではITをリードする企業となった同社ならではの言葉なのではないでしょうか。
また、ハイブリッドワークを前提に、オフィスへの回帰を明確に打ち出し、業務内容の内訳から、さらに「ハイブリッド時代のアクティブ・コモンズ」の実現のためのイノベーションを起こすチームの拠点としての「Team Base」と「心地よい空間」を提案。そこからフレキシブルなオフィスシーンを支援する同フェアでの製品群にまで進んでいます。もしかしたら、これが実践というもの、ということまでいいたいのではないかとも思えるほどです。実践と経験は携わる時間とその内容の濃さ、そして気づきと考察、試行と創造が必要だと思います。その動きの中で順次ステージが上がっていくものだと山人は思っています。
また新製品の中でもとりわけ新デスク「フェルベクト」とチェア「リーフレク」に注目しました。


特にリーフレクはワーカーの動きにしなやかに一体化するWorkwearとなるチェアだといいます。その座り心地は独特の感触で今までおそらく経験のない新しい進化ではないかと思いますが、2023年を通じてこれは検証していきたいと思います。(現時点でのポイントは背中のよじれだと思っています。)

イトーキのオフィスサーフの記事ですが、同社もまた、オフィスへの回帰の広がりを感じているといいます。


オフィスサーフは、バーチャルオフィスとリアルなオフィスを繋ぎ、オフィス側からもリモート側からもシンプルなアクションで会話に参加できる、⽴ち話感覚でのコミュニケーションを実現する新しいソリューションだといいます。オフィスに設置されたチャットスタンドを通してバーチャルオフィスとつながり、リモートワーカーもバーチャルオフィスにアクセスすることで、リモート×オフィスでのシームレスなコミュニケーションをとることがで きるとしています。同製品のこの説明を見たときもしかしたら、バーチャルはバーチャル、リアルはリアルといよりハイブリッドで行われるこの混合のミーティングは独自の形態として一つの文化を築き、新しい価値を生む出すかもしれません。同製品がそのはじまりといわれるかもしれませんが、そこで交わされる言葉を捕らえる1つの装置なのではないかと思います。立ち聞きといえば言葉が悪いかもしれませんが、このメンバーの会議なら自分も参加したいと思われるようなミーティングを行いたいものです。

コクヨ、MOVが10周年で10のアップデート実施への記事ですが、『ingLIFE』をはじめとする全7種類のオフィスチェアを導入するといいます。

単なる試座ではなくコクヨのチェアで実際に仕事をするということで、同社の自信の表れなのではないかと思います。試したうえで、この感覚を自宅でも味わいたいということに効果があるのみならず、オフィスチェアの良さというものをユーザーと広く共有してほしいと思います。そういう意味でこれもまた期待の試みだと思いますし、この10のアップデートは10年前前後にできたすべてのオフィスのリニューアルの1つのメルクマールになるかもしれません。

コマニー、エクシスフレームを発売の記事ですが、柔軟性のあるゾーニングの活用などによるカジュアルコミュニケーションの促進をオフィスの役割の1つとしていますが、これは「見立て」の力というものを惹起するのに有効なのではないかと思います。おそらく「見立て」が成立する前提条件として、すでに「場」の共有、価値観の共有が必要だと思いますが、それはその企業の文化、風土が大切なのであり、それを醸成することが求められ、また、それが同製品の導入でさらに深化することが期待できるということなのではないでしょうか。

また、同じくコマニー、Ricola(リコラ)を発売の記事においても同様のことがいえると思いますし、パーティションでもハイテーブルでもない同商品は、利用者の視界を適度にコントロールするためストレスなくコミュニケーションに集中できる間(ま)を作り出しているといいます。まるで茶室の在り方の心持ちを実現するものではないかと思います(茶道においては門外漢ですが)。また、オルガテック東京で好評だったことを受けて商品化をするというのも同社の営為の成果の1つであり、この製品が大きく評価され広く受け入れられることを期待したいと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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