東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
10/17~10/23、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
ケルンメッセ、記者発表会を開催
ドイツからCEO来日しオルガテック東京2023の概要と方針などを発表
2022年10月17日から10月23日までの1週間の業界の主なハイライトについては、ケルンメッセが10月17日、ドイツからケルンメッセCEOのゲラルド・ベーゼ氏が来日し、東京・港区のグランドハイアット東京で記者発表会を開催しました。
【出席者】
ケルンメッセ CEO=ゲラルド・ベーゼ氏
ケルンメッセ 広報部長=グイド・グダート氏
ケルンメッセ日本法人代表取締役社長=髙木 誠氏
【主な発表内容】
⒈ ケルンメッセの取り組み(COVID‐19対策、インフラ関連)
⒉ 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)におけるドイツ館運営
⒊ オフィス家具展示会「オルガテック ケルン2022」開催直前レポート/「オルガテック 東京2023」概要と方針
⒋ 食品展示会「第1回ISMJapan国際菓子専門見本市2023」「第13回ワイン&グルメジャパン2023」の運営方針、その他の発表事項
ベーゼCEOが発表
そのなかで、ベーゼ氏がオルガテック東京について述べた内容は以下のとおりです。「オルガテック東京は今年初めて日本で開催され、大成功を収めました。日本で初めて開催されたこの実績ある見本市は、4月26日から28日の3日間の間に、約22000人の来場者を東京ビッグサイトにお迎えしました。このことは、ワークスペース・デザイン、家具、テクノロジーに特化した展示会に対して、アジアでニーズがあることを裏付けるものです。
来年は、この大きなサクセス・ストーリーを、第2回のオルガテック東京に引き継いでいく所存です。来年も東京ビッグサイトで開催しますが、前回の出展企業様からは、すでにブース面積の拡大など圧倒的な支持をいただいており、新たな参加企業からも熱心な申し込みがあります。今日の時点で、契約いただいた展示面積は前回比約140%となっています。東京ビッグサイトには、すでに今年よりも広いスペースを確保してあります。
世界のオフィス家具市場は、従来のワークスタイルから多様化時代への大きな転換をもたらすパンデミックを背景に、2023年以降も3~5%の安定した成長が見込まれています。特に、日本を含むアジア太平洋地域の市場の大きな成長力と可能性は、世界中の業界関係者から大きな注目を集めています。この拡大する市場は、2021年の世界のオフィス家具市場の42%を占めています。
大都市東京は、日本市場への有望なゲートウェイとして、アジア太平洋市場に大きな影響力を及ぼす主導的な役割を担っています。また、日本はハイエンドオフィス家具の市場規模が北米に次いで2番目に大きく、トレンドセッターとして理想的な場所です。初開催のオルガテック東京の成功は、世界で最も急速に成長するアジアのオフィス家具市場の牽引約としての、東京のポテンシャルを示しています。
第2回では、「SHIFT DESIGN」というキー・コンセプトを導入して、世界のワークプレイスにおけるデザイン・ソリューションをさらに強く意識していきます。デザインといっても、それはプロダクトデザインや空間デザインだけを意味するのではありません。それは、人々が物理的、心理的に定義するものや、スケジュール、仕事そのもの、人々の生活や社会活動を表しています。オルガテック東京は、出展者や来場者の皆様が、より良い生活や働き方を実現するための、様々なソリューションやインスピレーションを提供し続けます」と述べ「オルガテック東京2023」の紹介動画を上映しました。
また、質疑応答も行われ、「オルガテック東京2022の感想」「来年の出展者に望むこと」「環境に配慮した施工について」などについて回答を行いました。
オカムラ、新工場建設へ
オカムラは、2022年10月19日開催の取締役会において、長野県須坂市に新たに工場を建設することを決議したといいます。
同社グループは、中期経営計画において、既存事業強化・新規事業創出や重点取組み課題への対応等の「戦略投資枠」として400億~500億円を設定しており、同件はその一環となるとしています。
1.新工場建設の目的
商環境事業につきましては、スーパーマーケット、ドラッグストア業界等を中心にリニューアル需要が堅調に推移しており、今後も高水準の需要が継続するものと予想しているといいます。同社グループは強みである総合力を活かした営業活動を展開しこれらの需要の取り込みに努め、主要製品の冷凍冷蔵ショーケース市場においても、順調にシェアを伸ばしてきたとしています。
新工場建設により、更なるシェア伸長に対応した生産体制を構築し、遠隔監視システムなどの保守サービスの事業基盤を拡大するとともに、内製化率の向上などによる、サプライチェーン全体における継続的なコスト削減を推進していくとしています。
2.新工場建設計画の概要
名称:冷凍冷蔵ショーケース新工場(仮)
所在地:長野県須坂市井上
敷地面積:約43,000m2
延床面積:約24,000m2
資金計画:自己資金
生産品目:冷凍冷蔵ショーケース
3.スケジュール(予定)
着工時期:2023年8月
竣工時期:2024年7月
稼働開始:2024年11月
イトーキ、「男性育休100%宣言」に賛同
イトーキは、男性育児休業取得率100%の実現を目指して、株式会社ワーク・ライフバランスが推進する「男性育休100%宣言」に賛同したといいます。
「男性育休100%宣言」とは
同社によると、「男性育休100%宣言」とは、株式会社ワーク・ライフバランスが、男性の育児休業取得率100%に向けて取り組んでいる組織の代表に賛同を呼び掛けている取り組みだといいます。
男性の育児休業取得率100%に向けて、目標を持ち、具体的な対策をしている企業の経営者が宣言し、発信していくことで、これまでの慣習の改革や法律改正の実現を目的としているとしています。
これまでの取り組み
イトーキは、心と身体の健康を維持し、社会に対しイノベーションの創出と価値提供を生み出し続ける企業を目指し、その下支えとなるダイバーシティ&インクルージョンを推進しているといいます。
なかでも、育児キャリア支援については、複数回の面談機会を設け、継続就労や生産性向上につなげているとしています。
また、 2018年度からは、『育児支援ハンドブック』に加え『仕事と育児の両立支援ブックFor Men』を発行し、男性社員の育児休業取得も年々増加しているといいます。
今後について
今回、新たに「男性の育児休業取得率100%」を目標に掲げ、男女分け隔てなく育児休業が取得できる風土の醸成に取り組むとともに、子育て中の社員がイキイキと働き続けられるよう、さらなる両立支援を進めていくとしています。
コクヨ、「ワークプレイスダッシュボード」の提供を開始
コクヨは、社員の行動データやオフィスの利用状況の可視化、コンサルタントによるデータ分析、オフィスの改善提案まで、顧客企業が必要に応じて選択できるメニューを用意し、ニューノーマルな働き方を支援するという新サービス「ワークプレイスダッシュボード」の提供を、11月から開始するといいます。
今回、当社が培ってきた様々な取り組みのノウハウをもとに、働き方データの可視化、コンサルタントによるデータ分析、オフィスの改善提案など顧客企業からの独自要望への対応の3つのメニューをそろえた「ワークプレイスダッシュボード」の提供を開始するとし、「オフィス内の各空間が効率よく利用されているか知りたい」、「オフィスを改善するにあたり根拠となる材料がほしい」といった声に応えるといいます。
コクヨ、ワークツールの持ち運びに便利なキャリーボックスを発売へ
また、コクヨは、開閉できる仕切りで仕事に必要なツール類をすっきりと整理でき、移動時に便利な取っ手のついた「すっきり収納できるキャリーボックス<NEOS>」を、10月26日(水)から発売するといいます。
今回発売する「すっきり収納できるキャリーボックス<NEOS>」は、シンプルなファイルボックス形状でありながら、内部にワンタッチで開閉できる仕切りを設けたといいます。これにより、水筒やACアダプター等の小物類もすっきりと整理して収容することが可能だとしています。また取っ手付きなので、家庭内やオフィス内でワークツールをひとまとめに持って移動する際に便利だとしています。
サイズは、13.3インチまでのノートパソコンに対応したA4サイズと、高さが約半分で日用品等の収容にも適したA4ハーフサイズの2種を用意。カラーバリエーションは、オフィスにも家庭にもなじむ、ブラック、オリーブグリーン、オフホワイトの3色です。
■発売予定:2022年10月26日(水)
■メーカー希望小売価格(消費税抜):A4サイズ 950円、A4ハーフサイズ 730円
コクヨ、家庭の収納棚にもフィットする「収納ボックス<NEOS>」を発売へ
コクヨは、オフィスの収納用品として人気の「NEOS(ネオス)」シリーズから、家庭でも使いやすいサイズの「収納ボックス<NEOS>」を10月26日(水)より発売するといいます。
「収納ボックス<NEOS>」は、「既存のオフィス用のサイズではちょっと大きすぎる!」という声に応え、家庭での収納に適したサイズを追加するといいます。既存品よりもひとまわり小さく、紙など重みのあるもののストックに向いているレギュラーサイズと、レギュラーサイズの高さを半分にした、文具や子どもの作品、記念のチケットなど細々したものを収容することに向いているレギュラーハーフサイズの2サイズだとしています。どちらも、市販のカラーボックスや家庭の棚内、棚上にも収まるサイズで効率的に保管できるといいます。
また、フタ付きなので、中身をホコリから守り、オフィス用品はもちろん家庭の備品を美しく保管することができるとしています。カラーはオフィスにも住宅のインテリアにもなじみやすいブラックとホワイトのモノトーン2色を揃えたといいます。
■発売予定:2022年10月26日(水)
■メーカー希望小売価格(消費税抜):レギュラー(1冊) 950円、レギュラーハーフ(2冊) 1,500円
コマニー、GEMBA(ゲンバ)モノヅクリエキスポに参加
コマニーは、こまつものづくり未来塾が開催する、石川県小松市の“ものづくり原場”をじっくり体験できるオープンファクトリーイベント「GEMBAモノヅクリエキスポ2022」(2022年11月3日~11月6日開催)に3日(木)、4日(金)の2日間参加するといいます。
同社によると、GEMBAモノヅクリエキスポ2022は、石川県小松市の“ものづくり原場”を体験できるオープンファクトリーイベントとして、中間素材をつくり出すサプライヤーや、最終製品をつくる作家やメーカーの工場・工房見学をはじめ、じっくりプロの方についてもらってモノを作る“まるで修行”とも言える深い体験ができるものから、本格的なDIYをファミリーでお楽しみいただけるものまで、計50の多彩なプログラムを用意していて、参加した人が小松のモノヅクリを楽しく体験できるイベントだとしています。
コマニーは今回のイベントを地域や地元小松市の製造業同士の繋がり強化、そしてたくさんの人に「ものづくり」の楽しさを体験してもらう機会として捉え、協力会社のダイエー(株)と協力し、金属加工により「オリジナルオーナメント」を作成する体験プログラムと、工場見学や商品見学などを行うといいます。普段目にすることのないものづくりの裏側を体験できる貴重なイベントなので、ぜひ参加してほしいとしています。
プラス、「デコラッシュ」太幅タイプ 新定番7柄を発売
プラスは、かわいさと実用性を兼ね備えたというデコレーションテープ「デコラッシュ」シリーズの太幅タイプから、組み合わせて自在にアレンジが楽しめるというパターン柄7種を2023年1月18日に発売するといいます。
リニューアル第4弾となる今回は、2022年1月に発売した10 mm太幅タイプに、新定番柄「ふんわりフラワー」「サンカク」「くるくるリボン」などシンプルでかわいい7柄を追加。太幅タイプは、現行の7柄と合わせて計14柄のラインアップとなるといいます※2。
メーカー希望小売価格は、各352円(税込)。別売りで「デコラッシュ専用消しゴム」132円(税込)を用意しているといいます。
同製品は、2022年11月23日(水・祝)~27日(日)に東京流通センターにて開催される「文具女子博2022」にて数量限定で先行販売するとしています。
ハーマンミラー、10月14日銀座・並木通りに新店舗「ハーマンミラーストア 銀座」をオープン
ハーマンミラーは、10月14日(金)「ハーマンミラーストア 銀座」を銀座・並木通りにオープンしたといいます。全国7店舗目、東京では5店舗目となる同店では、定番から新作、銀座店ならではのアイテムまでを厳選して取り揃えているとしています。
ハーマンミラーは、これまでにホーム&ワークスペース対応の体験型ストアを、丸の内、青山、二子玉川、渋谷、大阪・心斎橋、名古屋・栄にオープンてきたといいます。顧客の日々の仕事・趣味・生活の時間、すなわち、テレワークをしたり、友達とゲームを楽しんだり、長い一日の仕事のあとでゆっくりくつろぐための家具を、しっかりと納得して自信を持って選べるようサポートするとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目したことについては、ケルメッセの記者発表会をあげたいと思います。今回2年8カ月ぶりに、ゲラルド・ベーゼCEOが来日し、ケルンメッセの様々なテーマについての発表を行いましたが、そのなかのメインテーマの1つとして大阪万博とオルガテック東京についての説明が特に印象的でした。とりわけ、オルガテック東京については、質疑応答も含め、聴きごたえのあるまた、業界にとっても希望の持てる内容であったのではないかと思います。すなわち「オルガテック東京2023」のコンセプトや開催の意義、「オルガテック2022」の感想、世界的なネットワーク、コミュニケーションへの取り込み、デザインへのこだわり、環境への配慮など、さまざまな環境の変化や、読み込み、考えなければならない課題が多く明示されていたのではないかと思います。
また、ベーゼ氏の発表を受けて、髙木社長の「ケルンメッセの経験、ノウハウを生かして、世界と日本の橋渡しをする役目を担っていきたい。また、日本の商習慣に適合するような形にチューニングしていくということを念頭に進めております」という言葉には、日本における市場や商習慣の特異性や抱えている課題が感じられ、これについてもあらためて検証していかなければならない時代に来ているのではないかとも感じました。
さらに、ベーゼCEOの「オルガテック東京は東京における単なるサテライトということではなく、世界のオルガテックのファミリーの一員として世界のコミュニケーションの中に取り込んでいくと考えています。つまり私どもの製品は日本に見本市をいうかたちでもってくるわけですが、それは世界の他の国の関係者にとっても、インテリアや家具業界の方々にとっても重要なテーマとなるわけです」と述べた言葉にオルガテック東京の持つ大きなポテンシャルに対する期待が感じられました。
オカムラの新工場建設の記事ですが、中期計画において戦略投資枠として400億~500億円を設定していることの一環として、また、商環境市場における将来的な見込みを同社が持っていることに関してあらためて認識したところです。周知のとおり、同社はグループ全体で幅広く総合的に事業を展開していますが、物流においても2020年7月には同社初の物流システム専用ショールーム「LUX」を開設するなどしています。eコマースの進展による物流市場の活性化の一方でリアルな流通形態も進化していくと同社が判断をしているのではないかと思われ、今後、商環境事業においても省エネ、省人、環境対応、DX化などにおける新しい技術が開発され同社の提案もまた進展していくのだと思います。
イトーキの、男性育休100%宣言の記事ですが、今回、同社は、新たに「男性の育児休業取得率100%」を目標に掲げ、男女分け隔てなく育児休業が取得できる風土の醸成に取り組むとともに、子育て中の社員がイキイキと働き続けられるよう、さらなる両立支援を進めていくとしています。そのなかで同社が遭遇する課題や気づきを起点に、目標達成に対する方策や、取り組みを通じて得られるノウハウが製品へ反映することが期待できるのではないかと思います。
コクヨ、「ワークプレイスダッシュボード」の提供を開始の記事ですが、これはなかなか面白いサービスだと思います。これは一般論ですが、山人の認識では、オフィスにまつわるサービスは事業化が難しいというイメージがあります。コンサルティングはその最たるもので、往々にして家具を購入してもらううえでのサービスで、それに関しては報酬が得にくい部分があったのではないでしょうか。それに関してデータを可視化し、分析し、コンサルティングを行う同サービスは、今後が期待できるサービスなのではないかと思います。
これも一般論ですが、ITを通すということで顧客との間に適度な距離ができ、むしろそれによって事業化が成立しやすいのではないかと思います。さらに、オフィス家具の業界は現場・リアルに最も近い業界であり、そのデータはファクトとして貴重なものとして扱われると思われます。本来リアルに対するものとしてのITを逆手にとるような行為にも思えて、また、ITの有効利用としてよい試みなのではないかと思います。
さらに、この距離をもった提案をクリエイティブ・オフィスにおける「知識創造」の「知識」なのではないかと思っています。
コマニーのGEMBA(ゲンバ)モノヅクリエキスポに参加の記事ですが、現場の大切さを知ることは、そこでつくられるものの価値を高めることだと思います。もちろんこれを披露することはその価値を共有し、より普遍的なものにする試みとして有効なことだと思います。
先週の記事で恐縮ですが、ハーマンミラー、10月14日銀座・並木通りに新店舗「ハーマンミラーストア 銀座」をオープンの記事についてお知らせしたいと思います。同社の店舗は全国で7店舗目、東京では5店舗目になるといいます。山人(管理人、筆者)はもともとオフィス家具業界にも一般の人達との接点を持つ機会を増やすべきだといっていますが、同社はこれをどんどん進めています。顧客との接点においては、9月26日にイトーキもコンシューマー向けチェアショールーム「ZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)」をオープンしましたが、これらの動きは、業界とユーザーとの価値の共有に大いに貢献することで、在宅ワーク市場(だけではありませんが)をさらに成長させるために大変重要なことであると思います。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)