東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

10/3~10/9、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

JOIFA、未来の働き方シンポジウムを開催

2022年10月3日から10月9日までの1週間の業界の主なハイライトについては、日本オフィス家具協会(JOIFA)は10月4日、東京千代田区の御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで「未来の働き方シンポジウム Future of Work~持続的社会を実現する「志」をもった企業経営とは~」をリアルとオンラインのハイブリッドで開催しました。


今回のシンポジウムでは、日本企業においてなぜパーパス経営が必要なのか。また、パーパス経営がどのような効果をもたらすのか、有識者やパーパス経営の先駆者による議論において明らかにするとしました。
内容は以下のとおり。
▽主催者挨拶=日本オフィス家具協会(JOIFA)会長 黒田 章裕 氏
▽セッション1 
基調講演=「志本経営とは」 一橋大学ビジネススクール客員教授 京都先端科学大学教授 名和 高司 氏


▽セッション2 
企業経営者によるパネルディスカッション~パーパス経営で実現する「共創社会」とは~
パネリスト 
丸井グループ執行役員 tsumiki證券CEO 青木 正久 氏
ケイアンドカンパニー代表取締役 前ネスレ日本 代表取締役兼 CEO 高岡 浩三 氏
ウォンテッドリー代表取締役 仲 暁子 氏
Kontrapunkt Japan代表取締役 濱口屋 有恵 氏
モデレーター
SOMPOリスクマネジメント常務執行役員リスクマネジメント事業本部 首席コンサルタント 原 敬徳 氏


主催者挨拶では黒田会長が「昨年第1回のシンポジウムを開催しました。今もそうですが、コロナ禍の真最中で、オフィスが大きくそのかたちを変えるとともに、そこでの働き方が大きく変化を遂げつつあります。コロナが終わりかけてくるこれから、オフィスやオフィスでの働き方がどう変わっていくのかがいろいろなところで研究され、試行錯誤されている真最中ではないかと思っております。これからのオフィスについては、これからの働き方はということで『オルガテック東京』という名前でもってシンポジウムをはじめエキジビションを開催させていただいたところです。『オルガテック東京』で当初のわれわれの予想を上回る大勢の方においでいただきまして、これからのオフィスについて各ブースで多くの議論を頂戴いたしました。今回、名和先生におかれましては、貴重な時間を頂戴し、『志』を基本とした経営ということで『志本経営』ということについてお話を頂戴したいと思っております。私は普段関西におりますので、昨日、唐招提寺に参りました。唐招提寺をつくられた鑑真和上は7回目でようやく日本に来られ、その時にはすでに盲目となられていましたが、日本で亡くなられるまでの20年、多くの弟子を育てられ、唐招提寺で日本での布教に努められた方であります。特に戒律という「戒」ということを広く日本に広められたということです。志本の「志」の字ですが、我々、経営をしておりますと、ややもすると、売上は、利益は、対昨年比は、時間はコストはどうなのなのか、ほとんど数字で話しているのではないでしょうか。いま、リモートでそれが変わったかどうかはさだかではありませんが、その結果、数字はゼロにはなりませんが、必ず逓減の法則というものが出てきて、成果をあげなくなる、投資をしても回収がさほど上がらないということになってくると、そういうことのなかである意味日本はそれにこだわったおかげで新しい資本主義というか新しい経営のかたちというものを作り出すところにいま来て居るのではないかと個人的にそう思っております。そのなかで志という、唐招提寺の空気のように、体で感じる、耳、目だけではないそういうものが、心の中に出てくるものを一つの基準として掲揚していく。「パーパス」という目的をもって、これから経営を行っていく上での大きな指針になりうるものではないかと思っておりまして、私個人としては本日の先生のお話を大いに期待しながら拝聴したいと思っております。(中略)また、その後には4人の経営者の方々から実践のお話が出てこようかと思います。ぜひご参考にしていただければと思います」、などと述べました。

コクヨ、ワクワクする未来をヨコクする「2023 KOKUYO FAIR」開催へ

コクヨは、2022年11月7日(月)から12月2日(金)の期間、同社の東京と大阪の2拠点で、ファニチャー新製品とオフィス空間、働き方を提案する「2023 KOKUYO FAIR」を、オンラインとリアル会場を組み合わせた「ハイブリッド形式」で開催するといいます。


今年のフェアのコンセプトは、be Unique.(ビー ユニーク)『ワクワクを、つぎつぎと』だといいます。
ハイブリッドワークなど働き方が多様化するニューノーマル時代、同社は、個々のワーカーと組織をともに高めるためには気づきや学びを通して意識や行動の変容を促すことが必要であり、その手段として、質の高い交流が得られ、豊かな経験を提供できる環境を備えたリアルのオフィス空間がこれまで以上に有効であると考えているといいます。
さらに、働き方や働く場は固定的なものではなく、社会の変化や企業が目指す方向性に伴ってオフィスの姿も変えていく必要があることから、IoTを活用したデータの取得や分析を行い、オフィスを柔軟に、可変性が高く、サステナブルに進化させるためのソリューションや製品開発に取り組んでいるとしています。
「2023 KOKUYO FAIR」では、当社における働き方の幅広い実験のプロセスとともに、生み出された空間やプロダクト、サービスなどを、特設WEBサイトとリアル会場で紹介するとしています。
また、オンライン限定コンテンツとして、株式会社スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道氏と同社代表取締役社長 黒田英邦の特別対談や、特別ゲストによるライブオフィス体験リポートなども用意しているといいます。
実験カルチャーのコクヨが、ワクワクする未来をヨコクする「2023 KOKUYO FAIR」を通して、「働く」が楽しくなる、これからの働き方と働く場のヒントを見つけてほしいとしています。

オカムラの7製品が「2022年度グッドデザイン賞」を受賞

オカムラは、10月、同社の7製品が「2022年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したといいます。そのうちポータブルバッテリー「OC(オーシー)」と上下昇降テーブル「Swift IV(スイフト クアトロ)」は、「グッドデザイン・ベスト100」にも選出されたとしています。


【2022年度グッドデザイン・ベスト100 選定製品】
・ポータブルバッテリー「OC(オーシー)」
・上下昇降テーブル「Swift IV(スイフト クアトロ)」
【2022年度グッドデザイン賞 受賞製品】
・クリエイティブファニチュア「WORK CARRIER(ワークキャリアー)」
・モジュラーパネルシステム「RECONE(リコネ)」
・ミーティングチェア「ena(エナ)」
・3Dプリンターで製作するバイオマスプラスチック素材の家具「Up-Ring(アップリング)」
・オカムラが開発したサステナブルなファブリック「Re:net(リネット)」

コクヨ、16商品が「グッドデザイン賞」を受賞

コクヨは、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2022年度グッドデザイン賞で、コクヨとして過去最多の16商品が受賞したといいます。
(写真1段目左から)CARTON 2.0 ARCHIVE BOX、Carry Campus(キャリーキャンパス)、可動式ブース「WORKPOD FLEX(ワークポッド フレックス)」、パネルブースシステム 「fore(フォーレ)」、(2段目左から)パネル「Leafy(リーフィー)」、昇降スツール「Join(ジョイン)」、コンパクトテーブル「MULTIS(マルティス)」、ホワイトボード機能付きパネル「GRABIS(グラビス)」、(3段目左から)ワーキングチェアー「ingLIFE(イングライフ)」、「Energy Series(エナジーシリーズ)」、「Rooney(ルーニー)」、共創の場「SYNERGYCA 共創ラウンジ」、(4段目左から)バッグインバッグ「BIZRACK」、ノートブック「PERPANEP(フラット製本)」、スライドボード付きノートPCスタンド「BIZRACK」、「書類がすっきり分けられるクリップホルダー」

イトーキ、「イクボス企業同盟」に加盟

イトーキは、特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパンが主宰する「イクボス企業同盟」に加盟し、 2022年9月27日(火)に調印式を実施したといいます。
【イクボスとは】
職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、部下のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を充実させ、楽しむことができる上司(管理職)のことだといいます。
【イクボス企業同盟とは】
多様化する時代に必要とされる「イクボス」を増やしていくために、積極的に自社の管理職の意識改革を行って、新しい時代の理想の上司・イクボスを育てていこうとする企業のネットワークだとしています。

これまでの取り組み
イトーキは、トップコミットメントのもと、さまざまな年齢、性別、性的指向、性自認、国籍、障がい、雇用形態や働き方、習慣、価値観などを持つ仲間を「多様な人財」と捉え、一人ひとりが「活き活き」とその特性を活かし、持てる力を発揮することを目指しているといいます。

その取り組みの一環として、育児休業については、 2016年度より、育児休業取得者と上司・人事部による育児キャリア支援面談(休職前・復職前・復職後 合計3回)の機会を設け、質の高い働き方を考える機会とし、継続就労、生産性向上につなげてきたとしています。また、 2018年度からは、『仕事と育児の両立支援ブック For Men』を発行し、男性社員の育児休業取得も年々増加しているといいます。

今後の展開について
今回の「イクボス企業同盟」への加盟を機に、社員がよりイキイキと働き続けられるよう会社として決意表明をするとともに、上司(経営者・管理職)が主体的に部下のキャリアと人生を応援しながらも、組織として最大限のパフォーマンスが発揮できるような「イクボス」の育成強化を積極的に行っていくとしています。

コクヨ、@Tovas Master+とQanat Universeがサービス連携を開始

コクヨと、JBアドバンスト・テクノロジー株式会社(以下、JBアドバンスト・テクノロジー)は、コクヨが提供する電子帳票配信システム「@Tovas Master+(あっととばすますたーぷらす)」とJBアドバンスト・テクノロジーが提供するクラウドとオンプレミスをAPIでつなぐ「Qanat Universe(かなーとゆにばーす)」が10月4日(火)からサービス連携を開始しているといいます。


今回、「@Tovas Master+」と「Qanat Universe」が連携することで、基幹システム等から出力されるデータ(CSV/PDF)を指定のフォルダに保存するだけで、「@Tovas Master+」で利用可能なデータ形式に変換し、自動でアップロードすることができるといいます。これにより、基幹システムから「@Tovas Master+」用のデータや帳票を作成したり、アップロードしたりする手作業が不要になり、業務効率の向上に加え、作業の人為的ミスやデータ漏洩などのリスク削減にもつながるとしています。帳票の配信手段は、これまで同様、電子ファイル、FAX、郵送と取引先毎に選択できるため、取引先に負担をかけず、電子化を促進することが可能だとしています。

プラス、介護・福祉施設向け通販「スマート介護」と ビジネスチャット「LINE WORKS」が連携

プラスとビジネス現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社(以下 ワークスモバイルジャパン)は、プラスの社内カンパニーであるジョインテックスカンパニー(以下 ジョインテックス)が運営する、介護・福祉施設向け通販「スマート介護」とビジネス現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」が2022年10月3日から連携を開始したといいます。


同連携により「スマート介護」が提供する商品を「LINE WORKS」上で注文でき、施設の備品購入や入居者の買い物をスマホひとつで簡単に行うことが可能になるとしています。
今回のサービス連携により、介護領域のDX化を支援。スマートフォンから「LINE WORKS」上で簡単に施設の必要な商品を購入でき、業務の効率化を図ることが可能になるといいます。また、施設スタッフの負担軽減が実現できるお買い物サポートサービス「COREIL(コレイル)」など、「スマート介護」が提供するさまざまなサービスの利用を通じて、スマートフォンでの新しい購買体験を提供するとしています。
これを機に、スタッフの皆様の間接的な業務の時間と労力を軽減し、本来の介護・福祉の業務に専念できる環境の創出をサポートしていくとしています。
コレイルは、入居者の日々必要なお買い物品を、施設スタッフに代わり取り揃えてお届け、請求・回収もデータ連携できる「スマート介護」独自のサービスだとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目したことについては、日本オフィス家具協会(JOIFA)が「未来の働き方シンポジウム Future of Work~持続的社会を実現する「志」をもった企業経営とは~」をリアルとオンラインのハイブリッドでの開催の記事です。
JOIFAでは昨年度「Future of Work ~ワーカーの知的風土を刺激するこれからの企業経営~」と題し、「経営者は社員のウェルビーイングにもっと注目すべきである」との考えを示したといいます。その中で、社員のウェルビーイングが最も高まるのは「組織との一体感を感じたとき」であるとのエビデンスを発表したとしています。
JOIFAはその後「社員が一体感をもって帰属できる組織の条件」について研究を重ね、「組織の社会的意義=パーパス」が重要であるという答えにたどり着いたといいます。
今回はそれをさらに進め「志」をもった企業経営である「志本経営」についての基調講演など企業経営の新たな時代への提案を行ったと思います。新たな時代の提案といいましたが、黒田会長の鑑真和上の話のように、実は古くからある価値の新たな見直しなのかもしれません。今回のシンポジウムでは、開催の趣旨のなかに、日本企業においてなぜパーパス経営が必要なのかというくだりがありますが、これもまたポイントだと思います。山人には働き方改革が必要なのは、世界でも日本だけなのではないかという持論があり、それについて細かく述べることはまたの機会に譲りたいと思いますが、簡単にいえば、それは今まで皆が押し殺してきた感情の1つなのかもしれません。それには気づきや教育も必要ですが、さまざまな方面での意識改革が必要なのだと思います。ご都合主義ではなく一番大切なところの規制改革が必要なのではないかと思います。

「2023 KOKUYO FAIR」開催の記事ですが、ハイブリッドワークなど働き方が多様化するニューノーマル時代に同社は、個々のワーカーと組織をともに高めるためには気づきや学びを通して意識や行動の変容を促すことが必要であり、その手段として、質の高い交流が得られ、豊かな経験を提供できる環境を備えたリアルのオフィス空間がこれまで以上に有効であると考えているといいます。また、同フェアを通して、「働く」が楽しくなるともいっていますが、これらを実現する具体的な方法や製品の提案がどのようなものなのかに期待したいと思います。

グッドデザイン賞の発表があり、今週はオカムラとコクヨからの発表がありました。
オカムラは、10月、同社の7製品が「2022年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したといいます。そのうちポータブルバッテリー「OC(オーシー)」と上下昇降テーブル「Swift IV(スイフト クアトロ)」は、「グッドデザイン・ベスト100」にも選出されたとしています。
受賞製品についてはそれぞれに素晴らしく優秀な製品だと思いますが、なかでも「スイフトクアトロ」は日本で初めて本格的に電動昇降テーブルを発売したいかにも同社らしい製品で、電動昇降テーブルの進化形としてスタイリッシュでもあり、新たなワークシーンを提案するものとして注目に値する製品ではないかと思います。
また「ワークキャリアー」は4月に開催されたオルガテック東京の同社のブースでもメインに提案され多くの注目を浴びた製品でもあり、これからのワークシーンを牽引するアイテムとして個人的には、オフィス家具業界での2022年の最大の収穫の1つではないかと思っています(発売は2021年の11月)。

コクヨの16商品が「グッドデザイン賞」を受賞した記事ですが、こちらも素晴らしくユニークな製品が受賞しています。
とりわけ山人は「イングライフ」に注目していて、こちらもまた、2022年の最大の収穫の1つであると思います。

イトーキの「イクボス企業同盟」に加盟の記事ですが、イクボスに関してはこれからのさらなる普及が望まれますが、山人も意識していきたいを思います。同社は、トップコミットメントのもと、さまざまな年齢、性別、性的指向、性自認、国籍、障がい、雇用形態や働き方、習慣、価値観などを持つ仲間を「多様な人財」と捉えとありますが、これも企業として取り組んでいこうとする同社の今後に注目していきたいと思います。

プラスの「スマート介護」と ビジネスチャット「LINE WORKS」の連携の記事ですが、さまざまなチャネルとの連携により、介護領域のDX化を支援するとしていますが、これこそDXの効果であり、スマート介護が目指す本来のサービスの進化であるのではないかと思います。

どの職業もそうでしょうが、現状ではさまざまな雑用も業務なのでしょうが、本来の介護・福祉の業務に専念できる環境の創出をサポートすることは大切なことで、とりわけ経営層の人に認知を広めて普及を強化してほしいと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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