東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

9/26~10/2、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

イトーキ、『sound parasol』(サウンドパラソル)発売

オープンスペースでも周囲を気にせずWeb会議ができる新しいミーティングテーブル


2022年9月26日から10月2日までの1週間の業界の主なハイライトについては、イトーキは、オープンでありながらスピーカーから周囲へのノイズを軽減する新しいミーティングテーブル『sound parasol』を発売しました。

サウンドパラソルはテーブルとスピーカー、マイク、 webカメラ、ディスプレイが一体(バリュエーションあり)となっているため、 USBとHDMI(スタンダードタイプのみ)をPCに接続するだけで会議をスタートできるといいます。
頭上にある指向性スピーカーが音を最適な範囲にコントロールし、ノイズの漏れを軽減することで、周囲の人に音で迷惑をかけることなく、リモート参加者も交えたweb会議をオープンスペースで気兼ねなくおこなうことができるとしています。逆に周囲の音がうるさくても、指向性スピーカーにより、リモート相手の声をクリアに聞き取ることができるといいます。また、リモート参加者にとってもオフィス側の音声が周辺の雑音によって聞き取りづらいといったストレスがありましたが、同製品はデスク中央にある収音範囲制限機能付きのマイクが参加者の音声を収音することにより、リモート参加者もオフィス側参加者の声をクリアに聞き取ることができるとしています。

コクヨ、リサーチ&デザインラボ「ヨコク研究所」の公式ウェブサイトを9月26日(月)にオープン

コクヨは、未来社会のオルタナティブを研究/実践するリサーチ&デザインラボ「ヨコク研究所」を発足し、同研究所の公式ウェブサイトを9月26日(月)にオープンしました。


同サイトは、人やモノ、環境がフラットにつながることで社会をよりよくするための協働が生まれる「自律協働社会」の実現を目指す「ヨコク研究所」の設立に伴い、同社のプロジェクトやリサーチ結果を、志を同じくする人々と分かち合うべく開設したといいます。
「ヨコク研究所」は、コクヨグループ下で事業セクションから独立したリサーチ&デザインラボとして、2022年に発足。コクヨが掲げる「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」というパーパスの下、リサーチ・エンパワメント・プロトタイピングを主軸に活動し、コクヨの指針となる未来シナリオを更新するとともに、新たな社会像をつくり上げていくことを目指しているとしています。今後、リサーチの報告や活動のプロセス、共に研究を行うメンバーについて、同サイトを通じて伝えていくとしています。

オカムラ、自己診断機能を搭載した電動起上式防水板「SuiZin(スイジン)」を発売

防水板を起上せずに情報を取得し点検が可能

オカムラは、浸水を防ぐ設備である防水板で業界初(同社)の自己診断機能を搭載した電動起上式防水板「SuiZin(スイジン)」を2022年10月から発売するといいます。


「SuiZin」は、業界初の自己診断機能により防水板を起上することなく情報を取得でき点検が可能だといいます。最適な保守メンテナンスのサイクルにつなげ、必要な時に確実に使用するための防水機能を維持し、建物や地下を浸水から守るとしています。

同社によると、近年、集中豪雨や台風の大型化など、気候変動による自然災害が増加しており、各地で記録的な大雨による河川の氾濫や都市型水害など水による被害が多くなっているといいます。そのため、建物の中や地下などへの浸水を防ぐ防水設備の需要が高まっているとしています。
従来、起上式防水板は、点検するために防水板を起上させなければならず、点検時に出入り口を一定時間ふさいでしまうといいます。そのため、点検は通行の少ない早朝や夜間などに行わなければならないことが多いとしています。また、電動の場合は作業員の手で各機器の電圧・電流値を測定する必要があるため手間がかかるなどの課題があったとしています。

「SuiZin」は、業界初の自己診断機能(特許出願中)を搭載した電動起上式防水板だといいます。電動で起上するための駆動方式に、従来※の電動起上式防水板にはなかった電動アクチュエーターを使うことにより、防水板を起上・下降せずに機器の情報を取得し異常がないか点検することが可能だとしています。起上しなくてよいため日中に通行を妨げることなく点検ができ、点検作業に手間がかかることもないといいます。最適な保守メンテナンスのサイクルにつなげ、必要な時に確実に使用するための防水機能を維持し、建物や地下を浸水から守るとしています。
※従来の一般的な電動起上式防水板の駆動方式には油圧ポンプやチェーン駆動式などがあるといいます。

コクヨ、「THE CAMPUS」で、「PASS THE BATON MARKET Vol.9」を共催へ

イベント関連では、コクヨは、10月8日(土)~9日(日)に、株式会社スマイルズが運営するニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」が主催する「PASS THE BATON MARKET Vol.9」を、「THE CAMPUS」にて共催し、販売ブースの出展とワークショップを実施するといいます。コクヨグループから株式会社アクタスも出展するとしています。


「PASS THE BATON MARKET」は、商流から外れて行き場を失った企業のデッドストックや規格外品、伝統工芸などの文化に光を当てることで、新たな消費の在り方を再考するリアルなマーケットだといいます。
その趣旨に賛同し、「THE CAMPUS」での共催は今回で6回目となるとしています。これまで延べ2万人以上のご来場があったといいます。
今回、コクヨの出展エリアでは、エコフレンドリー素材を採用したアイテムや生産終了品からの厳選アイテムが並ぶといいます。商品の共同開発を行っているスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社のミルクパックを使ったワークショップも行うとしています。

プラス、「エアイン 富士山消しゴム<限定>富士絵馬」を登山の日に発売

文具関連では、プラスは、"消す"を楽しみながら自分だけの富士山を作ることができる「エアイン 富士山消しゴム」から、合格祈願をテーマに、メッセージを添えて贈れる絵馬型ボックス入りの限定企画「エアイン 富士山消しゴム<限定>富士絵馬」を発売するといいます。


発売日は、受験が登山に例えられることから「登山の日※」に合わせた2022年10月3日だとしています。
絵馬型のボックスは招き猫、だるま、さくらの3種類のモチーフと縁起の良い和柄をあしらった合格祈願にぴったりのデザインだといいます。
消しゴム本体の樹脂色は新色の「薄紅富士(うすべにふじ)」と「薄青富士(うすあおふじ)」の2色で、ケースのデザインは計6柄。2柄(2色)をセットにした小箱入りでの販売だとしています。ボックスには応援メッセージを書き込める大きめのメッセージ欄があり、プレゼントとしてはもちろん、受験生自身の願掛け用としてもご使用できるといいます。
メーカー希望小売価格は660円(税込)。

コクヨ、「スティックのり<カクノリ>」3個パックを発売へ

コクヨは、のり面が四角く、角まで塗りやすい「スティックのり<カクノリ>」から3個パックを10月12日(水)から発売するといいます。
2021年3月に発売の「スティックのり<カクノリ>」は、のり面が四角く、角まで塗りやすいスティックのりだといいます。

グリップ部分に指がフィットするよう、引っかかりがあるので、小学生がプリントをノートに貼る際、滑りにくく、お子様でも塗りやすい形状となっているとしています。また、塗った直後は色がつき、しばらく経つと色が消えるのりを採用しているため、仕上がりには影響せず、塗る際にはのり付けしたところが一目でわかるといいます。発売以来、そのような特長は、「角までキレイに塗りやすい」と好評だとしています。
今回、新たにスティックのり<カクノリ>3個パックを用意したといいます。スティックのりを頻繁に使ったり、家族や兄妹と共有したりする顧客へのまとめ買い需要に応えるとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目したことについては、イトーキが発売した『sound parasol』(サウンドパラソル)です。
これは全くユニークな発想の製品で、初めて見たのは今年4月に開催されたオルガテック東京2022にイトーキブースで出展されていたものですが、その時から9月に発売予定だとされていたものです。


オープンオフィスにおけるテレワーク用の製品としては、もはや常識となったワークブースがありますが、ワークブースは個人または多くて3名くらいが同時に入ることができ、音を遮断することができますが、当たり前ですが開放感などはありません。サウンドパラソルがどれくらいの音環境を実現しているかはまだ経験していないので何とも言えませんが、ノイズの漏れを軽減とありますので、完全にシャットアウトというわけにはいかないでしょうが、それでも周囲に迷惑をかけないというレベルの性能を実現しているようで、個室ブースとは違った方法で、オープンなスペースで会議やWebミーティングが行える新たなテレワーク用製品として有力なアイテムであるように思います。
加えてこのユニークなデザインがある意味未来的な感じがしておもしろいなと思いました。ハイブリッドカーや電気自動車の最初のタイプが少しユニークな未来的なデザインであったのを連想させるような気がします。
イトーキは、同社の「統合報告書2022」の中で自らの事業をオフィス1.0から3.0までを挙げていますが、この製品は、単なるオフィス家具の開発だけではなくDX を中心とした、新たな技術をオフィス家具に融合させたものであると思います。DXだけではなく、この音環境技術に象徴されるような、あらゆる分野に精通する総合的な技術がオフィス家具業界には今後ますます求められてくるのだということも感じさせる事例なのではないかと思います。

次にコクヨの「ヨコク研究所」の公式ウェブサイトのオープンの記事ですが、これもまた、この業界の未来を感じさせるものだと思います。コクヨはかねてから長期ビジョンで、「働く」「学ぶ」「暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指すということを標榜していますが、いわゆる未来学のようなものの領域にこの業界は入っていき、社会をリードしていくことが求められていると思います。
山人(管理人、筆者)はかねてより、天才とは独自の体系の上に現在より2、3歩先の正しい道を具体的に提案できる人のことだと思っていますが、その役割を担うことができる可能性をこの業界は持っているのではないかと思っています。

オカムラの自己診断機能を搭載した電動起上式防水板「SuiZin(スイジン)」の記事ですが、これも大切なポイントだと思います。
防水板、防水扉の製造については、限られた企業が携わることのできる分野だと思いますが、近年それぞれの企業でより簡易に設置ができる製品が開発されてきました。従来は施設的な大掛かりな工事をともなう案件から、簡易に設置できる製品が多く開発されつつあります。すなわち現在は防水板の分野でも工業製品化が進み、施設から製品へとその発想が移行しつつあるように思います。とはいってもやはり一方で大掛かりな施設の分野はしっかりとあると思います。すなわち防水板という製品のその活躍の範囲が広がったことだと思います。ですので、新しく建築されるビルなどには最初からしっかりとした防水設備が施されていて、有事の際には短時間・少人数で対応できるように普及が進んでいるようです。
そのなかで、今回のスイジンはさらにそのカテゴリーの枠を広げる画期的なものではないかと思います。簡易的な防水板ではなく、メンテナンスのしやすさを持つ設備、すなわちこのスイジンのような、電動起上式防水版のような製品の出現によって、防水板がビルの機能の一部になるとも考えられます。それにより今後ますますこのような機能を持った防水板がインフラとして普及するかもしれません。
スイジンは電動アクチュエーターを使うことにより、防水板を起上・下降せず機器の情報を取得し異常がないか確認できるだけでなく故障する前に機器の不調も検知するといいます。これは、昨今のIT技術を使用した物流の施設においてラックなどの不具合を検知する機能に似ていますが、防水板の分野においても提案されだしたということなのだと思います。すなわち技術的にも、メンテナンス的にも防水設備は新しいフェーズに入ったのではないかと思います。


スイジンは、点検で日中の運行を妨げることなく、手間のかかることなく、安全を確保するというさまざまな要件を満たす多角的なメリットを持った新しい提案だということができると思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

Follow me!