東京オフィストレンド  オフィス家具週間トレンド報告

9/19~9/25、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

オカムラ、東京大学大学院、ディスカバリーズと、ハイブリッド・ワークにおけるクリエイティビティと時間・場所の研究について共同論文を発表

2022年9月19日から9月25日までの1週間の業界の主なハイライトについては、オカムラは、東京大学大学院経済学研究科 稲水 伸行准教授の研究室(以下、稲水研究室)とディスカバリーズ株式会社と共同で行っている、行動データを用いたハイブリッド・ワークの研究について、論文「時間展望とクリエイティビティ:細かい時間単位の行動データを用いたハイブリッド・ワークの分析」を、組織学会学術誌『組織科学』に共著で発表したといいます。
同社は、オフィスとオフィス以外を使い分けるハイブリッドな働き方が広まる中で、クリエイティビティ(業務における望ましい結果・創造/革新行動)につなげるには、どの場所でどれくらい働くとよいのか、オンラインのコミュニケーションツールをどう使うのか、といった課題について指針となる知見が求められていたといいます。
今回の研究では、オフィスの使い方というオフラインでの行動と、チャットなどのオンラインでの行動の両面から、ワーカーの行動を分析・検証したとしています。(ビーコン※1によるオフィス内の行動データ、IntelliReport©︎※2を使用したオンライン上の行動データ、質問紙調査による回答の3点を組み合わせた分析)。
働く場所、ツールの使い方、時間の配分の仕方と、クリエイティビティの関連性を明らかにしているとしています。
※1:極低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した位置特定技術ないしはそのデバイスのこと
※2:ディスカバリーズ社が提供するクラウドサービス。業務アプリの利用状況から従業員の働き方の実態を可視化できる
【主な結果】
ワーカーのクリエイティビティが高いのは、オフィス内利用場所の多様性が中程度である(高過ぎず、低過ぎない)ということが明らかになったといいます。具体的には、ホームベースとなるような場所(トータルで7~8割程度滞在する場所)がありつつ、適宜複数の場所を使うという行動パターンだとしています。これは、働き方が大きく変わり、場所と時間の配分に関する物理的・空間的な制約がなくなる中、働く場所やそこで働く時間の配分を主体的に選択できていることが重要であるということを示唆しているといいます。
同研究では、ハイブリッド・ワーク下でのオフィス内の利用状況とオンライン上の交流(チャットデータ)の分析により、クリエイティビティとの関係を明らかにすることができたとしています。これは、クリエイティビティ以外にも生産性やエンゲージメント等の組織マネジメントのテーマにも広げられる可能性を示しているとしています。

オカムラ、第16回キッズデザイン賞を受賞した在宅ワーク向けファニチュア「Parabel(パラベル)」チェアが上位賞の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞

また、オカムラは、2022年8月に「第16回キッズデザイン賞」を受賞した在宅ワーク向けファニチュア「Parabel(パラベル)」チェアが、上位賞の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞したといいます。同賞は、キッズデザイン賞の受賞作品を対象に行う最終審査会で特に優秀と評価された作品に与えられる賞のひとつだとしています。
今年で16回目となるキッズデザイン賞は、子どもや子どもの産み育てに配慮した全ての製品・空間・サービス・活動・研究を対象とする顕彰制度だといいます。オカムラはこれまでに通算15製品がキッズデザイン賞を受賞していりるとしています。
今回受賞した「Parabel」チェアは、機能性と安全性を兼ね備えた、家のインテリアになじむナチュラルなデザインの在宅ワーク向けファニチュアだといいます。「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」において、機構部をカバーでふさぐ、汚れにくい素材のバリエーションを持つなど、子どもがいる家庭の利用に配慮している点が評価され、上位賞の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞したとしています。


キッズデザイン賞「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」受賞の審査評
「長引くコロナ禍の状況のなかで、自宅で長時間仕事をするケースが増えている。機構部をカバーで塞ぐ、汚れにくい素材のバリエーションをもつなど、子どもがいる家庭の利用に配慮されている点がよい。腰や脚の姿勢に負担がかかりにくい構造とコンパクトさを合わせもち、色彩や形態も在宅ワーク仕様に特化している。」

プラス、個人情報保護スタンプ「ケシポン」 誕生15周年記念 インテリアになじむ限定カラーを発売

プラスは、本年、個人情報保護スタンプ「ケシポン」シリーズが、発売から15周年を迎えることから、「ローラーケシポン」と「ローラーケシポン 箱用オープナー」の2つのモデルより、「15周年限定カラー」を2022年9月30日に発売するといいます。


「ケシポン」は、宅配便の宛名や書類に記載された個人情報を保護する必需品として、国内はもとより米国やドイツ、中国など海外でも幅広く使用され、2007年12月の発売以来、シリーズ累計2,000万個※1を突破するロングセラーシリーズとなっているといいます。※1 海外市場を含む本体累計販売数(同社調べ)
インクカートリッジ交換式で繰り返し使える「ローラーケシポン」からは、マーブル模様を取り入れたホワイト、ピンクゴールド、グレーの3色。段ボールの開梱刃を搭載した「ローラーケシポン 箱用オープナー」からは、くすみカラーを取り入れたコーラルピンク、ピスタチオグリーン、アイボリーの3色を発売。さらに、開梱刃には、レインボーカラーコートを施したとしています。
メーカー希望小売価格(税込)は、「ローラーケシポン」990円、「ローラーケシポン 箱用オープナー」1,100円。いずれも通常品と同価格だとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目したことについては、オカムラが、東京大学大学院、ディスカバリーズと、ハイブリッド・ワークにおけるクリエイティビティと時間・場所の研究について共同論文を発表したという記事です。
オカムラのワークデザイン研究所が学術誌に論文を提出していることについて有意義なことなのではないかと思っています。少なくともアカデミズムと結びつくことは業界にとっては必要なことで、オフィス家具業界においても、日本オフィス学会(JOS)が活動しています。
さまざまな業務や製品、また市場の動向などを学術的な研究で裏付けることは非常に大切なことだと思います。いかによい発想があってもそれに正確な裏付けがなければ、単なる仮説や思いつきで終わってしまう可能性が多く説得力に欠けるということになると思います。
山人(管理人、筆者)は、オフィスや働き方に関する研究は何かお手本や正解があってそれをキャッチアップするようなことではなくて、常に未知の領域であり、最先端の研究だと思っていて、オフィスに関する研究における発見にはエビデンスを得ることが本当に難しいことなのではないかと思っています。今回の研究はそれに挑戦した非常に有意義な活動で、企業や研究機関にとってはそれが当然のことかもしれませんが、そのような活動ができる企業の力というものを感じると同時に企業経営においては、これからこのような研究の重要性がより増してくるのではないかと思います。
ここから先はオカムラに限らず一般論ですが、これらの研究をより深めることで、最終的に「定理」と呼ばれるものを結びつき、そこから逆に一般化を行い、企業の各部門で有機的に組織が機能し製品に実現させ、普及させるところまでいくことが望まれます。それを経た製品はおのずから品格を備えているのではないかと思います。

また、オカムラは、2022年8月に「第16回キッズデザイン賞」を受賞した在宅ワーク向けファニチュア「Parabel(パラベル)」チェアが、上位賞の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞したといいます。
「Parabel」チェアは、機能性と安全性を兼ね備えた、家のインテリアになじむナチュラルなデザインの在宅ワーク向けファニチュア。「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」において、機構部をカバーでふさぐ、汚れにくい素材のバリエーションを持つなど、子どもがいる家庭の利用に配慮している点が評価され、上位賞の「奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞」を受賞したとしています。
在宅ワークは周知のとおり、コロナ禍で急激に広がったワークスタイルであり、オカムラは、在宅ワーク市場用の製品として同製品を開発しています。ここでのポイントは、子どもがいる家庭の利用に配慮しているということとインテリア製品ではなく在宅ワーク用製品だということです。インテリア製品のように、一般的に生活やくつろぐという言葉に対応する製品として開発されたのではなく、在宅を前提に配慮をし、なおかつワークをするうえでの思想と機能を備えているということです。
在宅ワーク用製品をそれ専用の製品として実際に開発ができるメーカーは現状では多くはないと思います。
山人は実際に試座を経験していますが、最初から良い姿勢をとらせてくれ、柔らかい座り心地の中にも一本筋の通った仕事モードも忘れないものを含んでいるように感じました。


ITの進化よるネット環境の充実、スマホの普及などで働くうえでの個の意識がだんだんと確立されていくように感じられるなか、在宅ワーク市場という新しい市場にそれ専用の製品と思想を持ち込み高い評価を受けた同製品の意義は大きいのではないかと思います。

文具の部門に関してですが、プラスは、個人情報保護スタンプ「ケシポン」シリーズが、発売から15周年を迎えることから、「ローラーケシポン」と「ローラーケシポン 箱用オープナー」の2つのモデルより、「15周年限定カラー」を2022年9月30日に発売するといいます。


山人にとっては、ケシポンが発売されてからもう15年もたつのかというのが正直な感想で、2007年12月のケシポンの出現は、文具の業界ではセンセーショナルな出来事であったように思います。当時、個人情報保護法が2005年に施行され、セキュリティへの意識が一層高まっていたころだったと記憶しています。
何かを削除して情報を守る発想から何かを加えて隠すという発想の転換は、サウンドマスキングとこのケシポンの共通点で、素晴らしい発想だと思います。最初の発売以降多くのバリエーションを生み出したことは、この製品の成功の証なのではないかと思いますが、今回の限定カラーの発売もその一つなのではないでしょうか。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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