東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告

8/29~9/4、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

イトーキ、公式オンラインショップで、人気チェアのAR体験の提供を開始

2022年8月29日から9月4日までの1週間の業界の主なハイライトについては、イトーキは、在宅ワーク環境をアップデートする人気チェアを対象に、イトーキ公式オンラインショップでAR(拡張現実)が体験できるサービスを開始するといいます。専用アプリのダウンロード不要でブラウザのみで手軽に利用できるとしています。
同社によると、在宅ワークの普及に伴い、自宅でもオフィスチェアを使用される人が増加しているといいます。しかしながら、オフィスチェアをオンライン購入する場合、在宅ワーク空間にチェアを置いた時のサイズ感や、デスクや他の家具とのバランスをイメージすることは容易ではないとし、同社は、株式会社x garden(クロスガーデン)のAR導入支援サービス「RITTAI」と、自社の持つインテリアCG制作技術を掛け合わせ、在宅ワーク空間にチェアを試し置きできるサービスを開始するとしています。まずは在宅ワーク用家具として人気の高いチェアを中心とした提供で、今後さらに対象製品を拡大していくとしています。

オカムラ、「オカムラグループ 情報セキュリティ方針」を制定

オカムラは、情報セキュリティリスクを事業継続における重大なリスクの一つとして認識しているとし、サイバー攻撃等の脅威から重要な情報資産(ITシステム含む電子データ等)を保護し、その機密性、完全性および可用性を維持するため、「オカムラグループ 情報セキュリティ方針」を制定したといいます。

オカムラ、「ライト・トレンド 2022」に出展協力

また、オカムラは、2022年9月8日(木)~9月12日(月)にフランス・パリ北部のヴィル・パント国際展示場で開催される「メゾン・エ・オブジェ・パリ 2022年9月展」で、招待デザイナーとして公式テーマ展示をプロデュースする照明デザイナーの石井リーサ明理氏(I.C.O.N.)と石井幹子氏(石井幹子デザイン事務所)の企画展示「LIGHT TREND(ライト・トレンド) 2022」において、出展に協力するといいます。
オカムラは、石井リーサ明理氏と石井幹子氏が企画・デザイン・プロデュースしたソーラーアテンダント「MIXALI(ミザリ)」を製作。「MIXALI」は、新しいタイプの展示用アテンダントだとしています。ヒト型で、顔となるタブレット部分にはアバターが映し出され、展示情報を提供するといいます。身にまとったソーラードレスにより発電した電力で、タブレットに充電します。右手は来場者と握手し、左手は手のひらでモバイル機器などを充電することができるとしています。
その他、マルチワークブース「co-comori(ココモリ)」や3Dプリンタで製作する環境素材を用いた家具「Up-Ring(アップリング)」カフェテーブル、石井リーサ明理氏と石井幹子氏の企画・デザイン・プロデュースによる家具「LILIO(リリオ)」(深紫外線光源内蔵ライトオブジェ)を展示するとしています。

コクヨ、「フェーズフリーな庁舎空間づくり ガイドブックvol.4」をリリース

コクヨは、日常時も非常時も適応・進化し続ける庁舎のあり方をまとめた「フェーズフリーな庁舎空間づくり ガイドブック vol.4」を8月29日(月)にリリース。
同社は、新型コロナウィルス感染拡大や多発する自然災害に備え、有事に「備える」のではなく日常と連続的に考える「フェーズフリー」という視点が、これからの防災に対する一つの答えとして注目を集めているといいます。
この度リリースする「フェーズフリーな庁舎空間づくり ガイドブックvol.4」では、フェーズフリー認証を取得した商品、マルティス・グラビス・ソロスを中心に、「可変性のある庁舎空間づくり」を実施した自治体納入事例を紹介するといいます。また、官公庁におけるフェーズフリー認知度や、フェーズフリー発想の働き方に対する意識調査データも追加したとしています。

コクヨ、oViceと業務提携を開始

コクヨは、アバターで交流する2次元のバーチャル空間「oVice(オヴィス)」を展開するoVice株式会社と、新たなハイブリッドワーク環境の構築を推進していく業務提携契約を締結し、戦略的な事業提携を開始したといいます。


同社はワークスタイル領域における新規ニーズの事業化として、リアルのオフィス空間構築の強みを生かした新たなハイブリッドワーク環境の検討を進めてきたとしています。その中で、国内シェアNo.1のバーチャルオフィスを展開し、リアルも融合したハイブリッドワークの環境構築を目指しているoVice社の描くビジョン、方向性が同社と合致したとしています。
両社は今後、分散した人と情報をつなぎ、離れていても常時自然につながっている状態を創り出す、新たなサービスの研究・開発を通して、「デジタルワークプレイス」の事業化を目指すといいます。働き方・働く場を自律的に選択しつつ、生産性高くチームでコラボレーションできる新しい環境の構築により、「出社か、リモートか」という二項対立的思考から脱却し、リアルとデジタルが融合した環境を創出することで、企業価値を高めるためのハイブリッドワークが実現できると考えているとしています。それぞれの得意分野でシナジー効果を生み出し、リアルとデジタルに分散したワークプレイスをデジタルで“シームレス”につなぐことで、さまざまな課題の解決を目指すとしています。

コマニー、オンラインイベントCOMANY SDGs WEEK2022を開催へ

建材関連では、コマニーは、2022年9月28日、29日の2日間に渡って、自社のSDGsへの取り組み紹介や有識者とのトークセッションを行うオンラインイベント「COMANY SDGs WEEK 2022」を開催するといいます。
今回は、SDGsの観点から、現状の世界の状況を知ると同時にコマニーの活動を従業員やステークホルダーに知ってもらうため、「間づくりとともに先へ 共創で築くWell-Being」を
テーマに、社外の有識者を交えた様々な切り口によるトークセッション、SDGsとwell-beingについてのインプットやワークショップ、コマニーの取り組み紹介などを行うとしています。

三和ホールディングス、統合報告書2022を発行

また、三和ホールディングスは、「統合報告書2022」を8月31日に発行しました。
同報告書では、ステークホルダーに同社グループへの理解をより一層深めてもらい、企業価値向上のための対話を充実させることを目的として発行していて、歴史や強み・戦略・サステナビリティへの取り組みなどについてわかりやすく紹介しているといいます。
今年は、長期ビジョン2030および中期経営計画2024を新たにスタートし、そのビジョンとして掲げる「To be a Global Leader of Smart Entrance Solutions ~高機能開口部のグローバルリーダーへ~」の実現に向けた経営戦略を掲載しているとしています。また、TCFDページ、マテリアリティごとのKPIページなどサステナビリティ情報をさらに拡充し、特集では「ものづくり」「環境」「人」の3つのテーマに沿った具体的な取り組みを紹介しています。社長によるトップメッセージだけではなく、社外取締役インタビュー、地域別、財務戦略ページなど経営陣からのメッセージも多く掲載しているとしています。

コクヨ、「中高生の学習方法と探究に関する調査」を実施

教育関連では、コクヨは、勉強アプリ『Carry Campus』のユーザーと『Campus勉強カフェ』の参加者を対象に、「中高生の学習方法と探究に関する調査」を行ったといいます。今年度から「総合的な探究の時間」が高校で必修化され、コクヨでは自分らしい生き方の実現のために拡大する新しい学習ニーズをサポートする事業領域を「探求学習領域」と定義し、事業創出に取り組んでいるとしています。

調査結果サマリー

・勉強方法の情報収集は「学校の先生」を抑え「YouTube」が最多。3 番目に多かったのは「Instagram」。さらに半数以上が「デジタル学習」を日常的に行うなど、デジタルネイティブを象徴する結果に。

・2022 年度から高等学校で必修科目となった「探究」。中高生の約 7 割がその必要性を理解、2 割以上が既に個人学習でも実践しており、中高生の「探究」に対する前向きな姿勢が読み取れる結果に。

・自分の勉強方法の満足度が高い中高生ほど、探究力があると自覚する傾向に。探究力は学習内容だけでなく自分にあった学習法を考えるプロセスとも関係すると考えられる、などとしています。

コクヨ、『しゅくだいやる気ペン』と東京学芸大学附属竹早小学校による共創授業を実施

また、コクヨは、公教育の変革をめざす「未来の学校みんなで創ろう。プロジェクト」の一環として、東京学芸大学附属竹早小学校(以下、竹早小)の6 年生と、共創授業を行ったといいます。約 3 か月の活動の中で、小学生の子どもたちが IoT 文具「しゅくだいやる気ペン」のプロモーション業務を担当したとしています。


共創授業では、初めにコクヨからウェブプロモーションのノウハウを伝授し、その後子どもたち自身が身の周りの大人たちへのヒアリング通して「しゅくだいやる気ペン」のウェブ広告のキャッチコピーを創作したといいます。さらに、作品をクラス全員で推敲し、実際にウェブメディアに広告として流すという社会実装までのプロセスを実施したとしています。

コクヨ、切り心地を正直に追及した高級ハサミ<HASA>を発売へ

文具関連では、コクヨは、ハサミとしての性能や切り心地と、暮らしに調和するシンプルな機能美を両立し、愛着を持って永く付き合える道具になることを正直に追及したという高級ハサミ<HASA>を、10月12日(水)から発売するといいます。


近年、在宅の機会が増えたことから、長い時間を過ごすデスク回りの道具はこだわりを持って選ぶようになった、という人も少なくないといいます。そこでコクヨは、愛着が持てる道具と永く付き合いたいと考える人に向け、切り心地を正直に追及した高級ハサミ<HASA>を開発したとしています。

コクヨ、タテでもヨコでもない「ナナメ仕切り」のペンケース<Nストレージ>を発売

また、コクヨは、ナナメ方向に仕切りを入れることで、一覧性の良さと収納物の取り出しやすさを実現した新構造のペンケース<Nストレージ>を、10月12日(水)から発売するといいます。

また発売に先がけ、全国のロフト(一部店舗を除く)において、9月上旬から先行販売を実施するとしています。

コクヨ、“見せる”と“隠す”を両立できる<ピープ>シリーズからポーチを発売

コクヨは、“見せる”と“隠す”を両立できるというクリアなツールペンケース<ピープ>シリーズから、ノートや文具がスッポリ入るA5サイズと、バッグの外側にも吊り下げられるミニサイズのフラットポーチを10月12日(水)から発売するといいます。

また発売に先がけ、全国のロフトでの先行販売を9月上旬から開始するとしています。(一部店舗を除く)

コクヨ、キャンパスノートが「#deleteC大作戦」に参加 9/3開始

コクヨは、みんなの力で、がんを治せる病気にすることを目指す特定非営利活動法人deleteC(デリート・シー)の活動に賛同し、9月のがん征圧月間期間中の9月3日から9月30日に実施する、SNSの投稿や拡散ががん治療研究の寄付につながる「#deleteC大作戦」に参加するといいます。

プラス、「ホワイパーPL」を新発売

プラスは、筆記具に相当する超スリムな形状でペンのように握ることができ、持ち運びや保管にも便利だという修正テープ「ホワイパーPL」を2022年9月26日に発売するといいます。
「ホワイパーPL」の"PL"は、"ペンライク"の略称だといいます。プラスが従来「ホワイパー」シリーズで培ってきたコンパクト・ペン型タイプの設計ノウハウをさらに進化させることで、これまでにない筆記具と同水準の"細さ"のスリムな形に仕上げたとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

今週まず注目したことについては、イトーキが公式オンラインショップで、在宅ワーク環境をアップデートする人気チェアのAR体験の提供を開始したことです。同社のコメントにもありますが、周知のように在宅ワークの普及に伴い、自宅でもオフィスチェアを使用される人が増え、その需要が出てきています。

その購入を助ける今回のこのサービスの提供は、ここ数年の同社のIT技術の成果の1つだと思います。同社は統合報告書2022のなかで、「オフィス3.0」を標榜していますが、「その世界は、ITやDX推進による働き方改革で、働き方改革は社員のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるためのもので、どう魅力あるオフィスにしていくのか、生産性の高いオフィスにするのかをITやDXを活用して考えていく」としています。まさにその実現したかたちの1つでITとオフィス家具の連携の新しいかたちであるといってもよいのではないでしょうか。在宅ワーク市場はこれからも拡大していくと思われます。ただし、オフィスチェアはあくまでもリアルな存在なので、山人(管理人、筆者)のお願いとしては、できるだけ常設の試座スペースの提供の場を多くしていただくことが、今回のようなサービスをより効果的に利用できるのではないかと思います。省人化、効率化ためのIT ではありますが、リアルとの併用ということは現時点ではオフィス家具メーカーにとっては譲れない一線であることも、いわずもがなではありますが、書き添えておきたいと思います。

オカムラの情報セキュリティ方針の記事ですが、このように大手が情報セキュリティに関しての姿勢を示してくれることは、業界全体にとっても有意義なことであると思います。一つのお手本として、山人のような者はいうまでもなく、中小の企業にとっては企業が行うべき、気をつけるべき、また示すべき姿勢として大いに参考になるのではないでしょうか。これだけのものを出すのには企業の力というものも必要で、このような仕事も大手ならではのことなのだと思います。

また、同社のライト・トレンド2022に出展協力の記事ですが、こちらもまた、大手ならではの記事ではないかと思います。海外の有力展示会に出展協力を行うことも有意義なことで、自社ブランドのみならず、さまざまな企画に協力することでその企業のみならず、業界の可能性が広がっていくことにつながるのではないでしょうか。

コクヨのフェーズフリーな庁舎づくりガイドブックvol.4の記事ですが、同社は従来から防災に関する提案をする一方で、このフェーズフリーに注目して、多くの提案を行っていて、今回のガイドブックもその一環だと思います。文中にある「マルティス」はコミュニケーションも集中も、「変化する活動」に適したコンパクトテーブル。「グラビス」は空間をゆるやかに区切り簡単に持ち運べる、ホワイトボード機能付きパネル。「ソロス」は止水加工でメンテナンス性をプラスした組み合わせ自由な一人用ロビーチェアでいずれもフェーズフリー認証を受けている製品です。記事にもありますが、非常時活動の際に準備や片付けに時間がかかると、業務継続や住民サービス提供に多大な影響を与えるといいます。今回の調査でも、フェーズフリー発想の働き方やオフィス空間では、「非常時活動の準備時間や手間を削減できる」というメリットが最も評価されていることがわかったとしていますが、このように公的な庁舎においては、日頃から前記の製品のようなフレキシブルな対応が可能な家具を備えておくことは、一つの有力な方法の1つであると思います。

また、コクヨのoViceとの業務提携の記事ですが、「出社か、リモートか」という二項対立的思考から脱却し、リアルとデジタルが融合した環境を創出することで、企業価値を高めるためのハイブリッドワークが実現できると考えているという点に注目しています。それがどのようなかたちになるのか、今後、分散した人と情報をつなぎ、離れていても常時自然につながっている状態を創り出す、新たなサービスの研究・開発を通して、「デジタルワークプレイス」の事業化を目指すとしていますが、これもまた、前述した「オフィス3.0」と同じくITとリアルオフィスが融合した新しいかたちになるのでしょうか。同社のいうデジタルワークプレイスの今後の提案に注目していきたいと思います。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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