東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
8/15~8/21、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
コクヨ、「コクヨ ヨコク研究所」が「あしたのしごと アジアの実践者と考える、オルタナティブな未来」を8月22日に発刊
2022年8月15日から8月21日までの1週間の業界の主なハイライトについては、コクヨは、未来社会のオルタナティブを研究/実践するリサーチ&デザインラボ「コクヨ ヨコク研究所」から、初の書籍「あしたのしごと アジアの実践者と考える、オルタナティブな未来」を8月22日(月)に発刊するといいます。
同書は、創業118年を迎えるコクヨの研究機関として発足した「コクヨ ヨコク研究所」が、ワクワクする未来のワークとライフを『ヨコク』する活動の一環として発刊する初めてのメディアだといいます。「自律」と「協働」をキーワードとして、働くことや暮らすこと、そして学ぶことについて考えるきっかけとなる一冊となっているとしています。希望ある時代を生きていくためには、客観的な予測よりも主体的に考え、そこに向けて実践していくこと…いわば未来を『ヨコク』する姿勢が必要なのではという仮説を起点としてベトナムやインド、台湾の実践者たちと対話を重ね、「自律」と「協働」が両立する社会を自らの手でつくり出そうとする彼らの実践と思考を伝え、多くの人とともに探索していきたいと考えているといいます。
オリバー、エアコン付き個室ブースを今夏発売
オリバーは、個室ブース内を涼しく保つエアコン内蔵ソファを開発。2022年8月下旬から販売を開始するといいます。
同社によると、オフィスを中心として様々な施設で導入が進んでいる個室ブースにおいて、コンパクトな空間で仕事をすると、気温の高い季節には特に気になるのが「室内の暑さ」だといいます。一般的な個室ブースは、通常の換気機能は備えているものの、1時間の滞在で2℃~3℃程度室温が上昇するとされているとしています。業務に集中し生産性を高めるために欠かせない要素として、適切な気温など環境の快適さが挙げられる中、オリバーはソファに内蔵するコンパクトエアコンという方法で個室ブースに空調機能を導入したとしています。
今回、限られた空間の中でオリバーが着目したのは、個室ブースに設置するソファだといいます。エアコン(室内機)と室外機の機能を1つに凝縮し、ソファに内蔵できるコンパクトな空調機を開発しましたとしています。
品川区、コクヨと戸籍事務で「フリーアドレス」実証実験を開始
品川区は8月8日から、コクヨと地方自治体における新たな働き方の導入の可能性を検証するため、戸籍住民課戸籍届出事務における係で固定席を持たない「フリーアドレス」の実証実験を開始したといいます。同区によると、戸籍事務は関係法令が多く、自治体業務の中でも極めて専門性が高い分野で、効率的な人材育成や職員間での相談、複数の職員の目による審査が必要となるといいます。一方、同係では席が固定されていることにより、窓口対応での経験などに偏りが生じていたこと、また、出張や日曜開庁による代休などによる空席がデッドスペースになり、職員間でのコミュニケーションが図りづらいことなどの課題があったとしています。
品川区戸籍届出係は今回新たに、業務グループごとに席を固定しない「グループアドレス」方式という新しい働き方を導入した実証実験を開始したといいます。
同係の全職員19人を4つのグループに分け、時間帯によって席と業務内容をローテーションすることで、最適な席で業務に取り組むことができるほか、常に隣席に同じ業務を行っている職員がいるため、効率的な人材育成やコミュニケーションの活性化が期待できるとしています。
カリモク家具、産学連携プロジェクトにアドバイザリーとして参画
カリモク家具は、2022年7月から開始した産学連携プロジェクトで、コンシューマー向けプロダクトデザインと製作のアドバイザリーとして参画するといいます。このプロジェクトは、繊維専門商社であるモリリンと東京モード学園の学生が、廃棄衣料繊維を原料とした繊維リサイクルボード「PANECO®」を活用し、サステナブルデザインに取り組むとしています。
プロジェクトの目的としては、消費者に、廃棄衣料繊維を原料とするサステナブルな繊維リサイクルボード「PANECO®」を使用したインテリアを取り入れてもらうことで、サステナブルデザインの価値共有と創造的解決を目指すといいます。3社の役割としては、
・素材提供と製品化(モリリン株式会社)
・デザイン化(専門学校東京モード学園、真理子 フロレンティーナ氏)
・工業化アドバイスとプロダクト生産(カリモク家具株式会社)
だとしています。
コクヨ、「コクヨのくふうフェス」会場マップと追加コンテンツを公開
イベント関係では、コクヨは、8月18日、9月2日(金)から9月4日(日)に開催する文具を用いた「はたらく・まなぶ・くらす」の“くふう”を集めたイベント「コクヨのくふうフェス2022」の、会場マップと追加コンテンツを公開しました。
既に公開されている7種のワークショップに加え、コクヨの文具企画担当者による「働き方×タイプ別診断」や、オフィス家具の担当者による「在宅デスクとイスの選び方ナビゲート」など、実際にアイテムを試しながら日頃のお悩みを相談できるブースを用意するといいます。さらに、"貼る"を楽しくするシリーズGLOOのスティックのりを用いたメッセージカード作りのワークショップを無料で実施するとしています。
YKK AP、プロユーザー向け展示場「YKK AP Exterior Exhibition Hall」を開設
建材関連では、YKK APは、プロユーザーを対象にしたエクステリア展示場「YKK AP Exterior Exhibition Hall」を、8月16日にYKK60ビル(東京都墨田区)内に開設したといいます。YKK APが進める「建物と外構のトータルコーディネイト」のプロユーザーへの提案を通して、エクステリア商品による住宅へのさらなる価値の創出を推進するとしています。
同社によると、コロナ禍を契機に住まいの快適性を改めて見直す機会が増え、おうち時間を豊かにする庭まわりやバルコニーまわりなどのエクステリアへの関心が高まる一方、エクステリア施工業者などのプロユーザーに対して、実物の商品を見てもらいながら構造や機能など技術的な商品の訴求ポイントを伝える場が不足していたといいます。
そこでこの度、実物大の建物にエクステリア商品をコーディネイトした展示場「YKK AP Exterior Exhibition Hall」をYKK60ビル内に開設したとしています。門扉やフェンス、カーポート、バルコニーなどのエクステリア商品をプロユーザー向けに常設展示し、住宅と外構の一体設計を紹介することで、施主の新築・リフォームの計画段階からエクステリア商品提案の標準化を推進するといいます。多様化するライフスタイルに合わせたエクステリア商品のコーディネイト提案により、プロユーザーの提案活動を支援するとともに、エクステリア商品採用の拡大を図るとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目したことについては、コクヨの「コクヨ ヨコク研究所」が「あしたのしごと アジアの実践者と考える、オルタナティブな未来」を8月22日に発刊するということです。そのなかで特に注目したいところは、「客観的な予測よりも主体的に考え、そこに向けて実践していくこと…いわば未来を『ヨコク』する姿勢が必要なのでは」という考え方です。自分たちを棚に上げた客観的な予測ではなく、自分たちはこうしていきたい、こうしていくべきだ、という意志を持った発信の意味が込められているとしています。これは、コクヨという企業の持つ「リアリティ」なのではないかと考えています。詳しい内容は発売前なのでわかりませんが、従来の日本の働き方だけでなく、これからの生き方を考える上で考える大きなきっかけを与えてくれるかもしれません。
オリバーは、個室ブース内を涼しく保つエアコン内蔵ソファを開発。2022年8月下旬から販売を開始するといいます。
いまや個室ブースはオフィスのみならず公共施設などでも日常的でインフラになりつつありますが、同社もまた、さまざまなシチュエーションにおいて個室ブースを提案し、さらにそれを利用して遠隔診療などへの展開を行っています。また、同社は比較的導入しやすい価格とデザイン力でカスタマイズを中心に装備の充実などを得意としていますが、この個室ブースをより快適なものにしたいという同社の動きなどはそれを示す良い例なのではないかと思います。
品川区の「フリーアドレス」実証実験ですが、業界企業が実際の公共機関に「働き方」を提案し実施されているよい例なのではないかと思います。戸籍事務は関係法令が多く、自治体業務の中でも極めて専門性が高い分野で、効率的な人材育成や職員間での相談、複数の職員の目による審査が必要となるといいます。従来の固定されていた席では、窓口対応での経験などに偏りが生じていたこと、また、出張や日曜開庁による代休などによる空席がデッドスペースになり、職員間でのコミュニケーションが図りづらいことなどの課題があったといいます。フリーアドレスは、情報の共有だけでなく、経験やスキルの伝達など学びに結びつくことが実現され、効率的な人材育成やコミュニケーションの活性化が期待できるとしていますが、実証実験の結果が公共機関のさらなる効率化、成長につなげていってほしいと思いますし、業界企業の新たな市場拡大にも期待したいと思います。
カリモク家具の産学連携プロジェクトにアドバイザリーとして参画の記事ですが、それぞれの企業が自らの得意な分野で新たな価値ある事業を展開しようとする努力がみえます。使用する素材の「PANECO®」は、生地だけではなく、合成皮革など廃棄衣料品に含まれるさまざまな繊維をアップサイクルすることができる繊維リサイクルボードだということですが、繊維というもののリサイクルに関しての有力な方法として期待したいと思います。
YKK APのプロユーザー向け展示場「YKK AP Exterior Exhibition Hall」を開設の記事ですが、プロユーザーに対して、実物の商品を見てもらいながら構造や機能など技術的な商品の訴求ポイントを伝える場が不足していたということと今後「YKK AP Exterior Exhibition Hall」ではシーン展示や商品展示などの拡充を予定していて、プロユーザーへの提案拠点としてのさらなる充実を図っていくとしています。それぞれの分野で実物を演出してリアリティを持たせていくことの大切さを認識する動きがあるのではないかと思います。
特に同社がまずプロユーザー向けに設置するということは、人材育成ならびに業界全体のレベルアップを図っていかなくてはならないということに注力した具体例なのだと思います。逆にそこから新たな製品開発のフィードバックなども期待でき、相乗効果も出てくるのではないかと思われます。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)