東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
7/18~7/24、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
イトーキ、マテリアリティを刷新した「統合報告書2022」を発行
2022年7月18日から7月24日までの1週間の業界の主なハイライトについては、イトーキは、7月22日、「イトーキ統合報告書2022」を発行し、イトーキ公式ウェブサイトで公開しました。サステナビリティ経営を実現していくうえで、その歩みを強める変化・進化としてマテリアリティ(重要課題)を刷新し、また脱炭素にむけた2050年カーボンニュートラル目標を表明したといいます。さらにウェブサイトでは、サステナビリティ経営の実績を数値でくわしく示した「ESG DATA BOOK 2022」を新たに公開したとしています。
同報告書では、価値創造プロセスの全体像や2021年度よりスタートした中期経営計画「RISE ITOKI 2023」における進捗や事業別戦略のほか、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを 、 E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の観点から総合的に取りまとめて掲載しているといいます。また、 2021年に同社が初めて「統合報告書」として発行したものから財務・非財務双方において情報量を大幅に増やし、同社の事業活動についてより理解を深めてもらえる内容となっているとしています。
コクヨ、バミエルを用いたオフィス内コミュニケーション状況の可視化実験を開始
コクヨは、ハイラブルとハイラブルの音環境分析サービス「Bamiel(バミエル)」を用いた、オフィス内におけるコミュニケーション状況の可視化実験を、8月1日(月)から開始するといいます。
Bamiel は、コミュニケーションスペースの会話を自動計測するクラウドサービスで、「いつ」「どこで」会話が活性化していたかを可視化する分析機能と、リアルタイムヒートマップで可視化するデジタルサイネージ機能が特徴だといいます。
今回の実験では、「Bamiel」の基本機能を用いたオフィスの会議デスクやオープンなコミュニケーションエリアでの「会話の多い場所とその時間帯」「その場の賑わい」の見える化・データの蓄積・分析を通じて、コミュニケーションの活性化につながるオフィス家具や什器、設計・レイアウトのあり方や、効果が高い施策アイデアなどを現場で実験・検証していくとしています。
コマニー、施工フェス2022を開催
コマニーは2022年7月13日、「施工フェス2022~共創 共に新たな価値の創造を~」を開催したといいます。
コマニーの施工技術と所作を競い合う高めあうことを目的として、施工技術者の人たちを招いて、毎年開催していたスマート施工競技大会は、テーマを「~共創 共に新たな価値の創造を~」として開催し、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小松を本会場とした対面形式と、各地域からオンライン接続による視聴も含めたハイブリッド形式で開催したとしています。
イトーキ、QNORQ(クノーク)をb8ta Koshigaya Laketownで期間限定で出品・販売
教育分野では、イトーキは7月19日(火)から、オンライン販売専用のオリジナルランドセルQNORQ(クノーク)を、体験型ストアb8ta Koshigaya Laketown(イオンレイクタウンkaze内)にて期間限定で出品・販売しています。
QNORQランドセルは、イトーキが展開するオンライン販売専用のランドセルブランドです。
同社によると、日頃から、「実際に背負ってみたい」、「色味を確認したい」といった問い合わせが多くあるといいます。今回は、現物を見て背負っていただける貴重な機会で、また、その場で購入もできるとしています。
コクヨ工場滋賀、工場発アイデア文具3種を発売
文具関連では、コクヨ工業滋賀は、同社直営のECサイト「となりのひきだし」開設1周年を記念して、新ブランド「すぐつく」シリーズから、工場発のアイデア商品を、7月21日(木)から発売しました。
新ブランド「すぐつく」シリーズは、製造工場として紙製品と向き合う同社だからこそできる、熱い生産現場のアイデアを冷めないうちにすぐ作る!をコンセプトにした企画だといいます。社内で日々のモノづくりや日常生活での気づきから思いついたアイデアを募集し、仲間とともに工夫しながら挑戦的なモノづくりにトライするといいます。
第1弾は、夏休みの小学生に最適な、足し算・引き算用の横罫線入りで集中して計算に取り組める「ひっ算ノート」、読書の記録を読んだ感想や気持ちとともに思い返せる「読書ノート」、複写伝票の特性を活かして3枚複写でオリジナルの新聞を3枚分発行できる「三枚複写の新聞パッド」を展開するといいます。ノートの罫線や、複写の機能などに着目し、アイデアを実現したとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週まず注目したことについては、イトーキがマテリアリティを刷新した「統合報告書2022」を発行したことです。そのなかで特に注目すべきは、まず、見出しにもありますがマテリアリティを刷新したということです。「社会と人々を幸せにする」・「会社と社員が幸せになる」とこれに紐づく重要テーマを軸に事業活動を推進し、社会課題を解決することで、持続可能な社会と企業の成長につなげていくとしています。
新しい経営体制のもと同社のミッションステートメント『明日の「働く」を、デザインする。』の実現に向けて社会課題との関わりを改めて捉え直すなかで、ステークホルダーにより分かりすい形でマテリアリティ(重要課題)を示すことが重要と認識し、再定義したといいます。
また、記事には記載していませんが、統合報告書の「トップメッセージ」のなかで、「オフィス1.0」「オフィス2.0」「オフィス3.0」を定義し、オフィス1.0、2.0、3.0の掛け算で企業価値を高めるとしていることに注目しています。
オフィス1.0の世界は、オフィス家具の製造・販売が主。オフィス2.0ではもう少し上流のオフィス設計やオフィス構築を手がけることで付加価値をあげること。オフィス3.0の世界は、ITやDX推進による働き方改革で、働き方改革は社員のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるためのもので、どう魅力あるオフィスにしていくのか、生産性の高いオフィスにするのかをITやDXを考えていくとしています。
さらに、その先に海外事業に言及して、海外のオフィス家具メーカーはオフィス1.0の製造だけを手がけるところがほとんどで、また販売は代理店を通すのが一般的で、オフィス2.0や3.0の事業はジャパンモデルだとし、海外市場でシェアを伸ばすには、このジャパンモデルを使ったグローバル企業との提携が重要なキーになるとしています。それ以前にオフィス3.0で重要なのは「イトーキしか出せないデータ、イトーキしが持っていないデータは何か」を考え、データドリブン経営によって同社しか出せないデータを価値として磨いていくとしています。
オフィス家具事業のジャパンモデルという認識は山人(管理人、筆者)にとっても新鮮な響きです。オフィス家具事業のジャパンモデルを自覚した同社の今後の動きに注目をしていきたいと思います。
また、イトーキの、ランドセルQNORQ(クノーク)を、体験型ストアb8ta Koshigaya Laketown(イオンレイクタウンkaze内)にて期間限定で出品・販売についてですが、期間中はお盆休みを含んでいますが、コロナの影響もあるかもしれませんが、例年ですとお盆は購入の一つの大きなピークですからこのタイミングになったのかもしれません。
コクヨのバミエルを用いたオフィス内コミュニケーション状況の可視化実験ですが、コミュニケーションスペースの会話を自動で計測し分析し活用するという切り口はいままでの画像や人感センサーにはないもので、従来とはまた違った効果が期待できるようです。
また、コクヨ工場滋賀の工場発アイデア文具3種の発売については、いずれも従業員が発想したものを製品化したといいますが、まさに熱い生産現場のアイデアを冷めないうちにすぐ作るというという熱い気持ちが伝わってくるような商品だと思います。特に読書ノートは、目標などのマークシートや、読書後の感想や気持ちをメーターや顔の表情アイコンで記録することなどアイデアがいっぱい詰まっていると思いますし、何より大切だと思うのは、読書の体験を自分でプロデュースすることが出来るのではないかと思われることです。自分の読書体験をさまざまなかたちで有効に糧にしていく過程を学んでいけるのではないかと思います。
また、三枚複写の新聞パッドは、伝票の生産機で何か面白いものをという発想もいいですし、何より3枚だけ同じ新聞ができるというのも面白いのではないでしょうか。一枚の壁新聞でもなく、大量の印刷でもない。貴重な3枚の新聞を誰に配るかも大きなポイントなのかもしれません。このようなささやかな贅沢とも思える遊び心は今後紙製品が生き残っていく上で大きな存在理由の一つになるのではないかと思っています。
コマニーの施工フェス2022の開催については、さすがに技術を大切にされている間仕切のリーディングカンパニーだということがよく伝わってくるようです。なんとなくの印象で申し訳ありませんが、現場に近い企業だなという印象があります。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)