東京オフィストレンド オフィス家具週間トレンド報告
6/27~7/3、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)
イトーキ、テレワーク勤務制度を改定
2022年6月27日から7月3日までの1週間の業界の主なハイライトについては、イトーキは、柔軟で多様な働き方を実現するために2022年7月1日付でテレワーク勤務制度を改定し、従来の在宅勤務に加えて、従業員が準備・選択した場所「マイプレイス」でのテレワーク勤務を可能としました。
今回のテレワーク勤務制度改定では、社員のニーズも踏まえて、働く場所の自由度を高めるとしています。さらに旅行先などの普段と異なる場所で余暇と組み合わせて働く「ワーケーション」も実現可能とし、従業員の生産性向上や創造性発揮につなげることをめざすとしています。
イトーキ、「Common furniture(コモンファニチャー)を発売
また、イトーキは、多様化する新しい時代の働き方に寄り添うという家具「Common furniture(コモンファニチャー)」を2022年7月1日に発売しました。
「Common furniture(コモンファニチャー)」は、これまでイトーキが世に送り出し、工場や研究施設といったものづくりの場で長年にわたって使われてきたプロダクトを成瀬・猪熊建築設計事務所を監修に迎えて再編集したオフィス家具だといいます。必要な機能と強度を素直に具現化した、ニュートラルで無駄がない、どこか親しみの湧くフォルムはそのままに、これからの働く場に調和するカラーリングを施し、オフィスでも安心して使用できる安全基準にも準拠。使い方の可能性を広げる多彩なオプションもラインアップしたとしています。
さらにイトーキの話題としては、6月26日から毎週日曜よる9時からTBS系列で放送中のドラマ、日曜劇場『オールドルーキー』に美術協力をしたといいます。
ドラマの主人公が勤めるオフィスに、背もたれにエラストマー樹脂を採用した「アクトチェア エラストマーバック」をはじめ、ミーティングチェアの「オリカチェア」、パーソナルデスク「アフィーノLT」などさまざまな同社の製品が採用されているとしています。同ドラマの世界観にマッチする選りすぐりの製品を提供しているのでドラマのストーリーとともに、ぜひ注目してほしいとしています。
「コクヨデザインアワード2023」の開催を決定
コクヨは、これからのプロダクトのあり方を、次世代を担うデザイナーと共に考えるプロダクトデザインの国際コンペティション「コクヨデザインアワード2023」の開催を決定し、『embrace』をテーマに2022年7月29日から作品の募集を開始します。
今回で第20回目となる「コクヨデザインアワード2023」では『embrace』をテーマに作品募集を行うといいます。日本語では「包摂」や「抱擁」と訳される言葉ですが、相互の違いや社会が直面する課題を受け入れ、肯定することにより、人々を明るく前向きにするプロダクトデザインの提案を求めるとしています。
MOVが8月31日まで就活生応援WORKPOD半額キャンペーンの期間を延長
また、コクヨは、渋谷ヒカリエのメンバー制コワーキングスペースCreative Lounge MOVが、2022年7月1日~8月31日まで期間を延長して【就活生応援WORKPOD半額キャンペーン】を開催しています。
同キャンペーンは、就活生を対象に、施設内に常設している「WORKPOD」を通常価格の半額で提供するというものです。受付時に学生証を提示するだけで、キャンペーンを利用することができるとしています。
コクヨ、「PASS THE BATON MARKET vol.8」を共催
さらに、コクヨは、7月16日から18日に、スマイルズが運営するニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」が主催する「PASS THE BATON MARKET vol.8」を「THE CAMPUS」で共催し、販売ブースの出展とワークショップを実施するといいます。
「PASS THE BATON MARKET」は、商流から外れて行き場を失った企業のデッドストックや規格外品を扱うことで、新たな消費のあり方を再考するというリアルなマーケットだといいます。
プラス、防災・BCP対策Webツール「サクッとkeep」を提供
プラスは、防災備蓄品の在庫管理から、期限が近づいた商品のアラート通知、寄付申込、買替調達まで一貫してサポートする防災・BCP(事業継続計画)対策Webツール「サクッとkeep」を2022年7月1日から順次提供しています。
「サクッとkeep」は、備蓄品リストや保管場所の登録を一括で行えるほか、有効期限アラート通知やNPO法人への寄付申込、買い替え時のおすすめ商品の提案などさまざまな機能を実装。顧客が抱えている備蓄品の維持・管理や調達業務の課題、お悩みを丸ごとサポートするとしています。
コマニー、オフィス空間が従業員同士のコミュニケーションに及ぼす効果に関する研究推進
コマニーは、大阪大学大学院経済研究科(教授:佐々木勝氏、招へい研究員:山根承子氏、以下「大阪大学」)と共同で、オフィス空間が従業員同士のコミュニケーションに及ぼす効果に関する研究の検証実験を今夏から進めるといいます。
同研究は、2021年11月1日から開始していて、現在は、今年の夏に実施する検証実験に向けて準備を進めているといいます。
同検証では、クループコミュニケーションをオフィス空間の条件ごとに比較することを目的に実施するとしています。各々の検証空間で発生するグループコミュニケーション中の会話データを基に、テキストマイニングなどを用いてコミュニケーションの質や量をさまざまな側面から分析していくといいます。この取り組みを通して、オフィス空間とコミュニケーション活性の因果関係を追求し、従業員にとって快適で働きやすい空間のあり方を明らかにしていくとしています。
コクヨ、廃棄漁網を原材料の一部に使用したペンケースを発売へ
文具関係の製品では、コクヨは、ALLIANCE FOR THE BLUEと連携し、回収された廃棄漁網を原材料の一部に使用したペンケース「ネオクリッツ〈From Fishing Nets Recycling〉」を7月13日から数量限定で発売するといいます。
プラス、「フィットカットカーブ 10周年記念モデル」発売へ
プラスは、家庭用はさみのブランド「フィットカットカーブ」シリーズの発売10周年を記念した数量限定「フィットカットカーブ 10周年記念モデル」を7月7日に発売します。
「フィットカットカーブ」シリーズは常に、最適な刃の開き角度を保つベルヌーイカーブ刃による軽い切れ味が人気を集め、2012年1月の発売以来、シリーズ累計3900万本以上の売上を達成。顧客の多様なニーズに応えてラインアップを拡充し、現在では一般的な文具はさみに留まらず、「料理はさみ」「万能はさみ」「携帯はさみ」など幅広く展開中だとしています。
今回、シリーズ発売10周年を記念して、「ブラック」と「ホワイト」で本体カラーを統一した特別限定モデル4タイプを用意。計8アイテムが数量限定で発売するといいます。
メガソフト、パソコンFAXソフトの最新版を発売
IT関連分野においては、メガソフトは、1987年から販売を続けてきたパソコンFAXソフトの最新版「STARFAX 17」(スターファクス17)を2022年6月29日に新発売しました。
同社は、2021年10月にリリースされたWindows11への対応状況について問い合わせが寄せられるようになったことなどから、動作確認と、既存機能の見直しなどを行ったといいます。
アイカ工業、「オルティノ」の新柄39点を発売
建材関連では、アイカ工業は、粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」の新柄39点を7月1日に発売。あわせて、発売15周年を機にデザインを刷新した見本帳を発刊しました。
同社によると、粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」は、裏面に粘着剤がついたシート状の塩化ビニル樹脂(塩ビ)製建築素材で、大面積から複雑な形状の箇所までさまざまな部分に貼れるため、ホテル、オフィス、商業施設、大型複合ビルなどの壁面を中心に、新築・改修を問わず幅広い用途で使用されているといいます。優れた施工性や意匠性、メラミン化粧板をはじめとする異素材との柄連動などが評価されており、2022年2月に発売15周年を迎え、インテリアトレンドや市場ニーズに応じ、ラインナップの拡充を重ねているとしています。
注目のコラム オフィス山人の少し深掘り
今週特に注目をしたことについては、まずイトーキがテレワーク勤務制度を改定し従来の在宅勤務に加えて、従業員が準備・選択した場所「マイプレイス」でのテレワーク勤務を可能としました。制度的に一歩踏み込んだ印象があります。ここで気になるところはまずはコスト面ですが、「準備」とあるので本人持ちなのでしょうか。これは確認することが必要かもしれません。また、働くということを考えた時に、オフィス家具などの「設え」や「環境」、ITなどの「技術」を使って効率よく働く「方法」、働き方を根底から規定する「制度」などがあると思われますが、山人(管理人、筆者)はオフィス家具業界にとっては「制度」を変えていくことが一番難しいのではないかと思っています。「環境」や「技術」は自らの努力で乗り越えることができると思いますが、オフィスを運営する「制度」は経営層を中心としたユーザーの誰かが変えなければ変えることができないものだと思うからです。提案するメーカーには、「制度」を変えるのはむずかしいことで、現状ではそれに対応していくしかないのではないかと考えがちです。今回のイトーキの制度改定は、自らが変わっていき、結果を出していくことで「制度」そのものの常識を変えていこうという姿勢の表れなのではないかと思います。
また、コモンファニチャーについては、ものづくりの場で長年にわたって使われてきたプロダクトを成瀬・猪熊建築設計事務所を監修に迎えて再編集したといいます。同社には、デザイナーや設計事務所の力を借りて成功した最近の例にバーテブラ03がありますが、この製品もそのような期待が込められているのかもしれません。実戦的なイメージを持ちつつよりクリエイティブな雰囲気を感じさせるテイストで統一感を持たせることは、ある雰囲気とかテーマでくくることでユーザーが1つの場であるオフィスを形成する大きなきっかけになると思います。もしかしたら、次のニューノーマルへの一つの提案のカタチなのかもしれません。
ドラマの美術協力については、一般のユーザーとの大きな接点になると思われ、また、在宅ワークの拡がりでBtoCが注目されてきているなか、美術協力はこれから今まで以上に有力な訴求効果を生むかもしれません。
コクヨのデザインアワードは近年ますますその存在が重要度を増してきたように思います。昨年の最終審査は新型コロナウイルス感染防止対策のため、THE CAMPUSからのネット配信になりましたが、グランプリはフランスからの応募作が受賞するなど国際的にも広く認知され注目されているようです。コロナ前の表彰式は毎回一般の観客も招いての開催が行われており、それを取材するのも楽しいイベントであったと思います。時代に沿って変化していくとは思いますが、この2023年の開催も「開催を決定」というほどさまざまな事情で毎回開催をするのも容易なことではないようですが、オフィスや文房具の市場全体を一つの大きな場として成り立たせ維持していくための大きな拠り所になっているものだと思っていますので、今回も盛り上がりを期待したいと思います。
MOVの【就活生応援WORKPOD半額キャンペーン】は、メンバー制コワーキングスペースとしては国内でも先駆けではなかったかと思うMOVで、新しい働き方であるWORKPODを使用しての就活を行うというのは、現代の就活事情がよくわかる事例ではないかと思います。就職する前からMOVやWORKPODを自然に使いこなしている学生は頼もしい存在であると思います。
プラスの「サクッとkeep」は従来顧客がやらなければならなかった備蓄品の管理を丸ごとサポートするといいます。このサービスはできるだけ防災備蓄品担当者の手間を省くという意味でそれだけ人材が有効に使えるということでもあると思います。これからはこのようなサービスがより普及していくのではないでしょうか。
コマニーの大阪大学大学院経済研究科との共同研究については、企業とそのメンバーが学んでいく過程でイノベーションが生まれていくのではないかと思います。アカデミズムとの共同でそれぞれが学ぶことがあるのではないかと期待しています。
プラスの「フィットカットカーブ 10周年記念モデル」発売については、はさみという人間が長く使ってきた道具の世界に一つの技術的なイノベーションを起こすことにより大きな市場を獲得するということを如実に示してたのではないかと思います。「ベルヌーイカーブ刃」という技術が「定理」と結びついたとき、一つの製品は確固たる地位を築くことができたのではないかと思います。
(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)