オフィス家具週間トレンド報告

6/13~6/19、オフィス家具業界の主なハイライト(+コラム)

オカムラ、シナーラが「HiP Awards 2022 at NeoCon」を受賞

 2022年6月13日から6月19日までの1週間の業界の主なハイライトについては、オカムラは、オフィスシーティング「CYNARA(シナーラ)」が、北米で最も有名なインテリア・建築専門誌のひとつINTERIOR DESIGN誌が主催する「HiP Awards 2022 at NeoCon」において、ワークプレイス:カンファレンスシーティング部門のWinnerを受賞しました。

 シナーラは、すっきりとした軽快なデザインであらゆるインテリアに調和し、シンプルな構造で快適な座り心地を実現したといいます。軽量設計で省資源を追求したことにより、製造・配送時のCO2排出量削減に貢献するとしています。人間工学と環境に配慮した同製品は、多様で流動的な現代の働き方をサポートするといいます。

イトーキ、サリダYL9Gの新色ブラック×グレーを発売

 イトーキは6月16日、高機能ゲーミングチェア「SALIDA(サリダ) YL9G」の新色「ブラック×グレー」を発売しました。

 YL9Gは、2019年に発売したワークチェア「SALIDA YL9」をベースに開発されたゲーミングチェアです。背もたれにはタイヤチェーンなどにも使用されているという強靭さと柔軟性を併せ持ったエラストマー素材を採用。メッシュ形状で通気性に優れ、かつ背中をしっかりと支えてくれるとしています。

 今回発売する新色は、落ち着いた色合いを求める顧客からの声に応え、ブラックをベースにグレーのアクセントカラーを入れたもの。仕事部屋や書斎など、集中したい空間にも溶け込むデザインとなっているとしています。

コクヨ、働くのミライ会議vol.3を開催へ

 コクヨは7月8日に開催される、全国の自治体向けに「自治体の住民サービス向上」「DX推進」「働き方改革」をテーマにしたオンラインセミナー窓口総合セミナー2022『自治体DXの「いま」がわかる』に協賛するといいます。

 また、コクヨは7月20日、21日の両日、本当の意味での「働く」の多様性を模索する「働くのミライ会議vol.3」をオンラインLIVEで開催するといいます。

 今回で第3弾となる「働くのミライ会議vol.3」は、『考えよう。「働く」の本当の多様性』をテーマに、2日間で合計8セッションを開催するといいます。「働く」の価値観をアップデートできているか、個性にあわせた働きやすい環境を提供できているか、柔軟な働き方ができる設計になっているかなど、多くの人が気になる問いについてともに見つめ考えていくとしています。一つの答えの提示ではなく、ワーカーや企業の数だけある考えや想いを共有し、本当の意味での「働く」の多様性をさまざま企業や職種の人たちと模索するといいます。

内田洋行、DX認定事業者に認定

 内田洋行は、経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度において、デジタル化推進に対応する企業である「DX認定事業者」に2021年11月2日付けで認定されたといいます。

 同制度は、国が策定した企業経営における戦略的なシステムの在り方を踏まえ、優良な取組みを行う事業者を、事業者からの申請に基づいて認定する制度だとしています。

コマニー、トマリキを発売

 コマニーは、コロナ禍を経てさらに多様化が進む「はたらく」をサポートする間づくりプロダクトとして、「ワーカーの心を整える」と「カジュアルコミュニケーションを誘発する」を同時に実現する「Tomariki(トマリキ)」を6月1日から発売しました。

 同製品は、床と天井をつなぐポール形状の商品となっていて、さまざまな空間に小スペースで設置することが可能だといいます。デスクや照明、モニターを設置することで、オフィス空間にオープンなワークスペースやミーティングスペースを構築することができるとしています。

 また、コマニーは6月18日、従業員や協力会社とその家族を対象にしたチャリティー・イベント「コマフェス2022・SMILE」を石川県小松市の本社で開催しました。同フェスは「楽しみながら社会貢献・家族に職場を知ってもらう」をコンセプトに従業員が家族や地域の人たちにおもてなしをするというチャリティー・イベントだといいます。

 そのなかのイベントの一つである「COMA‐ROCK‘22」で小松市立中海小学校の金管バンドと同社のブラスバンド部ブルーリアンが共演するといいます。同社によると、小松市立中海小学校・金管バンドは、児童数の減少から今年度をもって活動終了が決定していましたが、これまでの2年間は新型コロナウイルスの影響を受け、地域や学校のイベントなどで演奏する機会がなくなり、子供たちにとっては観客に向かって演奏する体験のないまま活動終了を迎えようとしていたといいます。その情報を得た同社のブラスバンド部が、クラブ活動としての思い出作りとしてこの度開催するチャリティー・イベントであるコマフェス2022・SMILEのプログラムにある、「COMA‐ROCK‘22‐1stSTAGE‐」のステージで一緒に演奏することを企画し、今回の共演の運びとなったとしています。

 文具関連においては、コクヨは6月22日、「テープのり〈ドットライナーフリック〉」を発売します。

 同製品は、業界最小クラスながらテープ長さ12mの詰め替えタイプで、ペンケースの中でキャップが勝手に開きにくいのに、使うときは片手でサッと開閉できる新機構の「フィリックキャップを搭載したテープのりです。同製品は、内部設計の最適化により、つめ替えタイプのテープのりで業界最小クラスの本体サイズを実現したといいます。コンパクトながらテープ長さ12mで、使用頻度の高い学生にも使いやすくなっているとしています。キャップには、商品名でもある新機構の「フリックキャップ」を搭載。バネを内蔵し、さらに横方向に開閉させることで、ペンケースの中でのキャップが開いてしまうことを防ぎながら、使用時はワンアクションでスムーズに開けることを可能にしたとしています。

注目のコラム オフィス山人の少し深掘り

 今週特に注目をしたことについては、まず、オカムラが、オフィスシーティング・シナーラが、INTERIOR DESIGN誌が主催する「HiP Awards 2022 at NeoCon」において、ワークプレイス:カンファレンスシーティング部門のWinnerを受賞したということです。

 シナーラの受賞については、同社は2019年のソファシリーズ「NAGARE」、2021年のオフィスシーティング「フィノラ」に続く受賞だと思います。しかもシナーラはそのなかでも「Winner」を受賞しました。

 ネオコン(National Exposition of Contract Furnishings)は1969年から毎年米国・シカゴのマーチャンダイズマートで開催される北米最大といわれる商業インテリアの展示会です。 オカムラは2008年にシカゴのマーチャンダイズマートにシカゴ支店とショールームを開設して以来、毎年多くの新製品を発表・展示してきたといいます。余談になるかもしれませんが、そのなかでネオコンに出品された製品のうち優れた製品に与えられる賞である「Best of NeoCon」を2010年にはオフィスシーティング「レオパード」のミドルバックタイプが、2014年には点滴スタンド「ディーボ」が、2015年にはカンファレンステーブルの「トラバース」が、2018年にはカンファレンステーブル「トラバースサテライト」などが受賞しています。それくらい同社のネオコンをはじめとした、海外市場進出の熱意は大きいものがあると思いますし、また、その技術と製品は海外でも大きな評価を得ていると思います。前述しましたが、その会場となるマーチャンダイズマートにシカゴ支店とショールームをつくることから(もっと前段階での準備もあると思いますが)はじめないと受賞も販売も実績を残すことができないということなのだと思います。今回のシナーラのHiP Awards Winnerの受賞にしても、これは山人(筆者)の憶測ですが、同社の今までの積み重ねがシナーラという製品をより魅力的にし価値あるものにしているのであり、オカムラの製品開発と世界のトレンドの傾向が一致しているという評価にもなっているのではないかと思います。

 イトーキのサリダYL9Gの新色「ブラック×グレー」の発売については落ち着いた色合いを求める顧客からの声に応えたとしていますが、当業界でもゲーミングチェアが提案されるようになっていろいろとゲームにおけるユーザーのさまざまな志向も少しずつ明らかにされてきていると思います。プロゲーマーが使用するのももちろんですが、空いた時間にたしなむ程度という人もまた多く存在するようです。ユーザーの年齢も若い人たちとも限らず、設えの素材やカラーに対する好みもさまざまなようで、その要望の一つにも同社が応え、拡充したということなのではないかと思います。ワークチェアとしての利用も訴求していますが、長時間のゲームプレイでも疲れない仕様と機能が市場に評価されることを期待したいと思います。

 コクヨが7月20日、21日に開催する本当の意味での「働く」の多様性を模索するという「働くのミライ会議vol.3」については、数多くの事例や考え方が披露されるのではないかと期待しています。このような機会を積極的に作り出そうとしているコクヨの取組に敬意を表したいと思います。

 内田洋行の「DX認定事業者」の認定については、情報システム分野を大きな柱とする同社の面目躍如といったところでしょうか。新しい働き方が模索され、DXが大きな課題となっている現在この認定はユーザーに対して大きな訴求力になるのではないかと思います。

 コマニーのトマリキについては、非常に興味深い製品だと思います。基本的には床と天井をつなぐポール形状の商品がオフィス空間にオープンなワークスペースやミーティングスペースを構築することができるといいます。単にただのポールと見るかワークスペースとするか、ミーティングスペースにできるかは、その利用者の必要度、さらにいえば力量にかかっているのだと思います。ワーカーの想像力、創造力が試されているということではないでしょうか。見立てるとでもいいましょうか、これは誠に日本的な発想なのかもしれません。同社は、パーティション専業メーカーとして「間づくり」を提唱していますが、「間」をつくるには、本来ある程度の素養が必要なのだと思います。さらにいえば「場」と「間」もまた違うものであって、それぞれを認識し使い分けることはもしかしたら非常に高度なことなのかもしれません。何らかの結果を残してのことでしょうが、これこそが付加価値というものではないでしょうか。付加価値を前提とする製品といえるのではないかと思います。

 さらに、注目したコメントに、「心も仕事も整える」とあります。会議前や商談の前のちょっとした作業や資料の確認などにこういうスペースが欲しいと思った人は多いのではないでしょうか。受付の待合スペースにもあれば親切かもしれません。また、オフィス家具に「心」という概念を持ち込んでいますが、これに関しては山人(筆者)も共感するところが大です。心そのものが存在するかどうかは別にして、心を前提としたオフィス家具の発想がもっとあってよいのではないかというのは、日頃から思っていることです。非科学的で論理的ではないといわれる人もいるかもしれませんが、今後のオフィス家具開発要件の大きな要素になってほしいと思っています。

(このコラムは、あくまでも山人の主観的なものです。従って各メーカー様には何の関係もありません)

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